今回は『風の森』のプレミアム版『笊籬採り』です。

 前回の『風の森』の記事はこちら
『風の森 雄町80 純米しぼり華 無濾過無加水生酒』
http://ameblo.jp/kodaimaidouble/entry-12262306240.html







奈良県産 露葉風100%使用
精米歩合 70%
アルコール分 17度
製造年月 2016.09(28BY)


 酒米は露葉風(つゆばかぜ)という奈良県のみで栽培されている酒造好適米。大粒で心白が大きいのが特徴なのだそうです。当然のことながら始めて飲む品種の酒米。
 
 
 笊籬(いかき)とは竹で編んだザルのことを言います。
 『笊籬採り』というのは、笊籬をもろみの中に沈め、これをフィルターとすることでもろみから無加圧かつ無酸化の清酒だけを取ることができるという技術です。
 前回の『鷹長菩提酛』の記事にもある菩提酛は、蒸し米をこの笊籬に入れてから水中で乳酸発酵させることで、発酵液の「そやし水」を造るという工程があります。おそらく、菩提酛の製造工程を活かして開発された技術がこの『笊籬採り』なのかもしれません。

 では、3日間にかけて飲んで来たのでその記録をば。

【開栓直後】
 『風の森』ならではの心地よいシュワシュワ感はいつも通り。開けたては飲み口とのど越しがたまらない。これが笊籬採りの効果なのか……?
 表現は難しいなぁ……甘味とか苦味とか渋味などが合わさった独特な複雑味があって。しいて言うなら、少し甘味を抑えたレーズンというか、この前飲んだ『鷹長』のアイスクリームかけの後味にも似た余韻。つまりバニラっぽいところがあるのかなって。
 酸味と渋味が前面に出ていて、辛味で切れる。キレが冴えわたっているため飲み心地は軽快。レモンサワーに近い感覚で飲めてしまう爽快感。クイクイ行けちゃうから危険。つぶ貝の刺身や砂肝と合わせて飲んだらどんどん進める感じの相性の良さ。食中酒としてはかなり優秀なのかも。
 
【開栓1日目】
 バニラっぽさが増してきました。前日より甘味が引き立ってきて、全体的に甘酸っぱくなった印象。
 この日は疲れていたため一杯だけで終了。

【開栓2日目】
 炭酸は9割方抜けたか……
 なめらかさも出てきました。蜜のような甘味もそこそこに。
 ですが飲み口は相変わらず軽快で、この軽やかさを楽しむことが重要なお酒なのかな?
 しかしろくに持ち合わせていたのがチョコレートぐらいという現状でした。それでも合わせて飲んで自然と溶け合っているあたり面白いよなぁ。やっぱり食中酒だわこの作品。
 明日はお燗を試してみますかね。
 
【開栓3日目】
 だいぶフルーティさが目立ってきました。葡萄と洋梨ですかね。
 ちょっと飲んだのち、残り全てをお燗にして試してみました。




 
 ……はっきり言います。今回の『風の森』もやはり燗に付けてからが本番でした。
 蜜のような甘味が圧縮、収束され、洋梨のようなフレーバーも明瞭となり、酸の伸びも増し増し。冷やしていたときの軽快さが嘘のような濃醇さを引き出して来ます。
 訂正します。食中酒としてだけではないポテンシャルがこのお酒には秘めてありました。燗上がりという言葉で表現しきれぬほど燗上がりしているというね。
 このお酒、第一印象は「いつもの『風の森』よりも軽やかだなぁ。笊籬採りはこうしたものなのかなぁ。この前の『雄町80』のほうが個人的には好みかなぁ」というものでしたが、その認識が崩れてしまうほどの衝撃です。
 『笊籬採り露葉風』を買った方で、燗につけたことのない方は間違いなく損していると断言できますね。米の性質だろうから『純米しぼり華』でも同じような感じになるかも。少なくとも『風の森』のなかでも僕の知る限り最も燗向けの銘柄なのかもしれません。もしこの記事を読んだ方は是非お試し下さい。本気でお勧めします! 



クリックよろしくお願いいたします
にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ
にほんブログ村