今回のお酒は日本酒好きなら誰もがお馴染み『獺祭』です。

日中から飲んでいるのは、実は仕事帰りだからなのです。
まず結論から申し上げます。
『獺祭』を買う際は製造年月を確認して、今月分のものを買って飲んで下さい。
また、なるべく特約店の適正な価格で買って下さい。
美味しく飲みたいのでしたらこれが大原則です。
とまぁ、こんな出だしではありますが、今回はかなり長い記事になりそうなので。
以降はお暇がある方から読んで頂ければと思います。ただし批判的な記述も含みます。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕はここ最近、お酒の話を会社だとかでするたびに日本酒好きを公言しているのですが、よく言われるのは
「日本酒好きなの?『獺祭』とか飲んだことある?」
ということです。
ええ、あります、と答えます。すると二言目には「美味しいんでしょ?」あるいは「美味しいよねぇ」と来て「ま、まぁ……」という話になってくるわけです。
斯様なまでに「日本酒=獺祭」という風潮が強いのかな、と思うばかりです。
兵庫県産山田錦を使用し、レギュラー品で23%という高精白の精米歩合に拘り、首都圏の顧客層を狙った取引をするなど経営者の見本とも言えるようなマーケティング戦略で人気を獲得した、日本酒界の革命児とも評することができる蔵元です。正岡子規に肖っているとはいえ、そのさまたるや、まさに日本酒界の松下村塾。
安倍総理でさえも海外に足を運ぶときは『獺祭』を持っていきますしね。そして酒屋ではプレミアム価格で取引されるわけで。
ですが僕は、もともと『獺祭』にはあまりいい感情を持っていないのです。
理由は1点に尽きます。杜氏制度を廃しているからです。
日本酒はその発祥の時点で神ながらの道の上にあります。杜氏はお酒を神様に捧げる役目があり、それゆえに神様に失礼のないようなお酒を造らねばなりません。ただの製造責任者ではなく、神聖なお役目を持っているのです。
あらゆる作品に求められるのは、作品に対するモチーフとなる様々な要素に対しての敬意を如何に払うかどうかです。
神様や先人や協力者などといったものに敬意がある作品こそ真に評価されるべきもの。そして、それが成されていない作品はヒットしていようが美味い酒だろうが駄作なのです。神様に捧げぬお酒はただの酔う機械であり、それを造っているのはただの自慰行為。
美味ければいいという思想は僕の主義に反しています。
しかし、ここまで批判しておいて何故今回は『獺祭』を買ったのかは、旭酒造様の社員とおぼしき方が直接『獺祭』を売っているところを見て、いろいろと話を聞けたことが大きいですね。
まず『獺祭』には同郷に『五橋』や『雁木』といったライバルがいて、それらがしのぎを削って互いにいい刺激を与えているという話とかも聞けましたが、そんな話をしてたら「『獺祭』は正規のルート以外では買ってはいけません」という話をして下さいました。
そしてそれゆえ『獺祭』は正当な評価がなされていない場合が多いのだそうです。と言いますのも、問屋や飲食店も含め非正規の流通先にやたら流れ込んでしまっているそうで、劣化したものばかりだとか。
『十四代』の本醸造や『黒龍』が1万円代、『No.6 S-type』が7,980円、『醸し人九平次』が5,000円近くで売られているのをよく見ます。特約店でもないところで変なプレミアが付いてしまう現状を鑑みれば、品薄が続くのは避けたかったため増産はしたかったのかも。それでもほとんどの酒屋の『獺祭』の価格は適正価格の2倍ですからねぇ。
加えてそういうお店は保管も適切ではない場合が多く、だいたいの場合は老ねてしまっているとか。一部ブログでは「『獺祭』はマズい」と評価されているところもありますが、大体それが原因なのだそうです。
僕はそうした嘆きを旭酒造様から聞いて、杜氏に在らずとも作品への愛は持っていたんだなと思いました。ええ(どこまで上から目線だ)。
それが購入にいたった経緯です。加えて、こうした対策としてこのようなお話も聞きましたね。

アルコール分16%
精米歩合50%
製造年月 17.04
この「製造年月」に注目するようにとのことです。
『獺祭』はフレッシュな状態こそが理想であり、それゆえ製造年月は今月であることが望ましいとのことなのです。
まぁ色々な感情がありますが私心を抜きに利いてみます。
上立ち香はそこそこの吟醸香で、含むと蜜のような甘味から入ってきます。渋みも少しあって、後から来る辛味で切れていきます。ほのかに乳製品っぽいクリーミーなところも感じられます。
しかし特徴的なのは、酸味がまるで無いということです。甘味→辛味に至るプロセスのなかで酸味が助長した痕跡も無し。意図的に酸味は避けているかのようにさえ感じられます。
僕としては酸味が適度に効いているタイプのほうがキレやコクを感じ易くて好きなんですけど、この酸味は好みが分れますからねぇ。確か母がそうだったんですが「日本酒は変なすっぱさがあるから苦手」と聞いたことありますし。
多くの人に飲んでもらうためのお酒としての設計理論として、そうした棘のある部分を排除しているのかもしれません。
コストパフォーマンスも、適正価格なら決して悪くありません。むしろ良いほど。
2合で700円ほどのものと仮定するならそれでもなかなか行けるところありですね。

安倍総理お気に入りの『獺祭』と、小泉元総理の説得のための切り札「干からびたチーズ」ことミモレット(6ヶ月熟成)による内閣総理大臣的なコンボ。
存外いい組み合わせですね!チーズの酸味が乗っている分、『獺祭』の甘辛系の味わいが妙にマッチしています。
同時に、『獺祭』は今流行りのワインっぽい日本酒とは違うものだと実感。そうした味わいゆえに安倍総理は「国酒」の姿をそこに見たのかな?
でも、先述の通り杜氏のいない酒造会社は"蔵元"と認められないところもありますし、「国酒」の精神に反しているのではという気持ちもあるわで、うむ……
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日中から飲んでいるのは、実は仕事帰りだからなのです。
まず結論から申し上げます。
『獺祭』を買う際は製造年月を確認して、今月分のものを買って飲んで下さい。
また、なるべく特約店の適正な価格で買って下さい。
美味しく飲みたいのでしたらこれが大原則です。
とまぁ、こんな出だしではありますが、今回はかなり長い記事になりそうなので。
以降はお暇がある方から読んで頂ければと思います。ただし批判的な記述も含みます。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕はここ最近、お酒の話を会社だとかでするたびに日本酒好きを公言しているのですが、よく言われるのは
「日本酒好きなの?『獺祭』とか飲んだことある?」
ということです。
ええ、あります、と答えます。すると二言目には「美味しいんでしょ?」あるいは「美味しいよねぇ」と来て「ま、まぁ……」という話になってくるわけです。
斯様なまでに「日本酒=獺祭」という風潮が強いのかな、と思うばかりです。
兵庫県産山田錦を使用し、レギュラー品で23%という高精白の精米歩合に拘り、首都圏の顧客層を狙った取引をするなど経営者の見本とも言えるようなマーケティング戦略で人気を獲得した、日本酒界の革命児とも評することができる蔵元です。正岡子規に肖っているとはいえ、そのさまたるや、まさに日本酒界の松下村塾。
安倍総理でさえも海外に足を運ぶときは『獺祭』を持っていきますしね。そして酒屋ではプレミアム価格で取引されるわけで。
ですが僕は、もともと『獺祭』にはあまりいい感情を持っていないのです。
理由は1点に尽きます。杜氏制度を廃しているからです。
日本酒はその発祥の時点で神ながらの道の上にあります。杜氏はお酒を神様に捧げる役目があり、それゆえに神様に失礼のないようなお酒を造らねばなりません。ただの製造責任者ではなく、神聖なお役目を持っているのです。
あらゆる作品に求められるのは、作品に対するモチーフとなる様々な要素に対しての敬意を如何に払うかどうかです。
神様や先人や協力者などといったものに敬意がある作品こそ真に評価されるべきもの。そして、それが成されていない作品はヒットしていようが美味い酒だろうが駄作なのです。神様に捧げぬお酒はただの酔う機械であり、それを造っているのはただの自慰行為。
美味ければいいという思想は僕の主義に反しています。
しかし、ここまで批判しておいて何故今回は『獺祭』を買ったのかは、旭酒造様の社員とおぼしき方が直接『獺祭』を売っているところを見て、いろいろと話を聞けたことが大きいですね。
まず『獺祭』には同郷に『五橋』や『雁木』といったライバルがいて、それらがしのぎを削って互いにいい刺激を与えているという話とかも聞けましたが、そんな話をしてたら「『獺祭』は正規のルート以外では買ってはいけません」という話をして下さいました。
そしてそれゆえ『獺祭』は正当な評価がなされていない場合が多いのだそうです。と言いますのも、問屋や飲食店も含め非正規の流通先にやたら流れ込んでしまっているそうで、劣化したものばかりだとか。
『十四代』の本醸造や『黒龍』が1万円代、『No.6 S-type』が7,980円、『醸し人九平次』が5,000円近くで売られているのをよく見ます。特約店でもないところで変なプレミアが付いてしまう現状を鑑みれば、品薄が続くのは避けたかったため増産はしたかったのかも。それでもほとんどの酒屋の『獺祭』の価格は適正価格の2倍ですからねぇ。
加えてそういうお店は保管も適切ではない場合が多く、だいたいの場合は老ねてしまっているとか。一部ブログでは「『獺祭』はマズい」と評価されているところもありますが、大体それが原因なのだそうです。
僕はそうした嘆きを旭酒造様から聞いて、杜氏に在らずとも作品への愛は持っていたんだなと思いました。ええ(どこまで上から目線だ)。
それが購入にいたった経緯です。加えて、こうした対策としてこのようなお話も聞きましたね。

アルコール分16%
精米歩合50%
製造年月 17.04
この「製造年月」に注目するようにとのことです。
『獺祭』はフレッシュな状態こそが理想であり、それゆえ製造年月は今月であることが望ましいとのことなのです。
まぁ色々な感情がありますが私心を抜きに利いてみます。
上立ち香はそこそこの吟醸香で、含むと蜜のような甘味から入ってきます。渋みも少しあって、後から来る辛味で切れていきます。ほのかに乳製品っぽいクリーミーなところも感じられます。
しかし特徴的なのは、酸味がまるで無いということです。甘味→辛味に至るプロセスのなかで酸味が助長した痕跡も無し。意図的に酸味は避けているかのようにさえ感じられます。
僕としては酸味が適度に効いているタイプのほうがキレやコクを感じ易くて好きなんですけど、この酸味は好みが分れますからねぇ。確か母がそうだったんですが「日本酒は変なすっぱさがあるから苦手」と聞いたことありますし。
多くの人に飲んでもらうためのお酒としての設計理論として、そうした棘のある部分を排除しているのかもしれません。
コストパフォーマンスも、適正価格なら決して悪くありません。むしろ良いほど。
2合で700円ほどのものと仮定するならそれでもなかなか行けるところありですね。

安倍総理お気に入りの『獺祭』と、小泉元総理の説得のための切り札「干からびたチーズ」ことミモレット(6ヶ月熟成)による内閣総理大臣的なコンボ。
存外いい組み合わせですね!チーズの酸味が乗っている分、『獺祭』の甘辛系の味わいが妙にマッチしています。
同時に、『獺祭』は今流行りのワインっぽい日本酒とは違うものだと実感。そうした味わいゆえに安倍総理は「国酒」の姿をそこに見たのかな?
でも、先述の通り杜氏のいない酒造会社は"蔵元"と認められないところもありますし、「国酒」の精神に反しているのではという気持ちもあるわで、うむ……
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