今回も三重県のお酒ですね。
 『田光』(早川酒造)です。


 三重県三重郡菰野町の地酒であり、呼び方は「たびか」。「たひかり」「でんこう」ではありません。蔵元の近くで流れている田光川にちなんで名付けられたとか。
 さらに言うならその川は田光という地名に由来しており、そこには多比鹿神社という神社もありますからおそらく当て字ではないかとも考えられます。なかなか珍しい地名なのは確かでしょうけどね。




原料米 雄町(岡山県産)100%
精米歩合 45%
アルコール分 16度
製造年月 平成29年2月
 
 もともと『田光』は、現在の杜氏が雄町に惚れ込んで造ることになったとのこと。
 わかるなぁ。雄町は岡山で見つかった原生種のお米。背丈が高く病気にもなりやすいから栽培が難しいとされるものの、そのコクのある独特の旨味はクセになります。
 山田錦を優等生とするなら、雄町は野生児や問題児と評価されているんでしたっけ。ですが気性が荒いとしても磨かれれば猛々しさのなかにあるオーラを放つもので、歴史上の偉人にはそうした方も多いんですよね。織田信長とか。

 なお『田光』は今回2回目です。前に飲んだのは純吟の無濾過生原酒で、フルーティかつジューシーな味わいで驚いたぐらいでしたね。その味わいは、そのとき一緒に飲んだ『醸し人九平次』にも負けないどころか『花陽浴』の純大吟と一緒に飲んでも美味く感じるほどでしたね。 
 今回は一回火入れはしてありますが純大吟です。どうでしょうか……? 
   
 上立ち香は常温で程よく開くフルーティさ、飲み口は透明感のある柔らかさ。
 含むと雄町ならではの複雑味を内蔵した米の旨味が広がってきます。マスカットのような香りも覗かせ、それらが渾然一体となって濃醇な味わいを演出します。そして、後からくる辛味できちんと切れてる感じ。
 しっかり主張するところは主張して、しつこくないバランス感は見事ですね。
 
 
 結論からすると、無濾過生原酒のほうが雄町ならではのコクのある旨味の余韻が長くて酸味が乗っていた分個人的には好みです。しかし、火入れしてある分保存しやすく劣化はしにくいでしょうから飲みやすさではこちらが上なんでしょうかね。それにスッキリと引き締まった味わいな分飲み飽きすることは無いでしょうし。そう考えると、この両者は一長一短なのかな?
 どちらにしても、完成された高いレベルのお酒なのは変わりませんけどね。
 そうなると純大吟のムロゲンがどうなるか気になるんだよなぁ……


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