「言論の不自由 香港、そしてグローバル民主主義にいま何が起こっているのか」

 

本書は、香港民主化運動の若きリーダーであるジョシュア・ウォン(黄之鋒)氏による、香港の現状について書かれた本です。著者は1996年10月に生まれた23歳の若者ですが、逮捕、弾圧を繰り返されながらも不屈の精神で立ち上がり続ける姿が世界中から注目を浴びています。

本書は三部構成になっており、第一部は著者が2014年のデモ活動を理由に起訴され有罪判決を受けるまで、第二部は刑務所に投獄されてから釈放されるまで、第三部は釈放後、中国共産党及びその影響下にある香港政府により民主化運動の弾圧が着実に進捗する現状が描かれています。

第二部においては、他の受刑者と交わりなどを通して、刑務所の生活の様子が描かれています。著者の何事も前向きに捉える精神が随所に表れており、刑務所で得たことの一つとして、多岐にわたるバックグラウンドの人々と知り合い、多様な物の見方が身に付いたことをあげています。

また、刑務所における最後の日記には、「この六十九日間は、香港が民主化に向けて闘ってきた数十年の歴史に比べれば些細なものに過ぎないが、ぼくの政治抗議活動における七年間の道のりにおいては重要な節目になった。刑務所はぼくから自由を奪ったが、内省する時間、成長する余地、そして一生忘れえない思い出といった多くのことを与えてくれた。何よりぼくは今、大義を遂行することを以前にまして固く決意した、より強い人間となって刑務所を出ていく」と総括しています。

第三部においては、アメリカ・プロバスケットボール協会(NBA)への圧力などを例に挙げ、民主活動家に対する中国共産党及び香港政府の締め付けを、単に香港だけにとどまらず、世界の問題であると説いています。

「今や、たとえ好もうが好むまいが、ぼくらの闘いはあなたたちの闘いになった。まさにそれこそ、悪化し続ける香港の状況を、自由世界が座視してはならない理由である。香港が陥落すれば、世界の防御最前線も陥落する。そして、諸国政府や多国籍企業が中国の圧力に屈し続ければ、ぼくらが過去二十年間日々感じてきた痛みを世界中の市民が実感しはじめるようになるのも時間の問題だろう。国際社会は、共産党政権と闘う香港を支援することを通して、圧政の蔓延に対するより大きな闘いに貢献することになる。その圧政は、気候変動やテロのように、人々の日々の生活と自由をあらゆるところで脅かしている。だからこそ、香港を支持することは、自由を支持することになるのだ。そして、それこそ、あなたが今すぐ行動を起こすべき理由である―――手遅れになる前に。」

新型コロナウィルス感染症について、「第二波」が来ていると言われています。緊急事態宣言が発出された4月と比較しても、感染者数はほぼ同水準にあり、数字上は「第二波」といってもよいレベルかもしれません。

一方、重症患者の少なさ、医療機関の余力などの理由により、まだ緊急事態宣言を発出するほどの切迫した状態ではないことから、「GOTOトラベルキャンペーン」が今日から実施となりました。

私は、「今は重症患者が少ないから大丈夫」ではなく、「これから重症患者が増えてくるので危険」という状況だと思います。若年層は感染しても無症状でいることが多いことを考えると、現在の状態は無症状者にほとんど検査をしなかった2月3月頃と同じ状況で、今後、重症患者が増える可能性は大きいと思います。

これから、病院や介護施設などへの感染が再び始まれば、医療崩壊の可能性は高いと思います。今こそ、感染防止に向け一人ひとりが注意をすべきと思います。

不確実な世の中においては、リスクはつきものです。「リスクがあるからやめておこう」とは何もしないことと同じです。

リスクは許容範囲内に抑えることが大切です。許容範囲内のリスクには絶対的な定義があるわけではなく、「その時代の社会の価値観に基づく環境下で受け入れられるリスク」を許容可能なリスクのことです。

国内旅行需要を喚起する、GOTOキャンペーンに対して、「感染のリスクがあるから旅行をしない」というのも一つの考えです。一方、旅行により生計を立てている人がいることから、その人たちの生活が成立する仕組みを考えていくことも必要であり、感染というリスクを許容できる範囲に抑える方法を考える必要があると思います。

感染率の低い地域から順に対象にしていく、感染した場合の重症化する可能性の高い人はキャンペーンの対象としない、などの対策も必要でしょう。どのように感染症と共存していくかを考えていく必要があると思います。

東京の劇場で、観客も含めた感染者が出て、クラスター化しました。

主催者によると、「ガイドラインを作成し、できる限りの感染防止対策に努めてまいりましたが、多数の感染者が生じてしまった」とのことです。しかしながら、イベントの参加者の声によれば、実態としてはかなり濃厚な接触があった模様です。

企業においても、不祥事が発生した場合、「ルールを定め順守するよう努めていたが、このような事態を引き起こして遺憾である」といった会見がなされることが多々あります。単純にルールを守っていないのであれば、ルールを守る仕組みやそもそも実現可能なルールになっているかどうかの検証が必要です。「アリバイ」のために順守不可能なルールを作成しても、意味はありません。本人のモラルに依存したルールだけでは逸脱してしまうリスクがあります。常に、仕組みを見直して、自然に守りたくなるルール作り、いわゆる「仕組化」の検討が必要でしょう。

今更ですが、最近、Twitterをやっていますが、政治家、マスコミ関係者、学者、タレント、スポーツ選手など、非常に多くの人が参加していることに驚かされます。玉石混交ですが、非常に多くの情報が流れており、隙間時間に楽しんでいます。

一方、非常に偏った見方をする人が多いことにも驚かされます。過激な意見に対して追従する意見も多いため、そのような意見ばかりを読んでいると、世の中全体がそのような意見に支配されているかのように勘違いしてしまう危険性があります。

私自身は、むしろ極端に偏った両方の意見を持つ人をフォローし、読むようにしています。政治的に支持する意見もあれば、反対する意見もあります。豪雨災害の被災状況を頻繁に発信する人もいれば、まったく無関係な日常のつぶやきを発信する人もいます。様々な人が自分の思いを自由に発信する。そういう自由な場が大切だと思います。自由な発信ができない状況だけは避けなければなりません。

最近、通勤時間を利用して、論語や孫氏など、中国の古典を読んでいます。何といっても、一文一文が短く完結していること、前後の文脈は関係ないことから、途中でやめてもよく、どこから始めても構いません。また、内容的に職場内の人間関係など、仕事との関連性が高く、仕事の進め方についてのヒントが得られるため、仕事モードになっている通勤時間向けの本と言えます。

例えば、孫氏の中に「孫氏曰く、凡そ先に戦地に処りて敵を待つものは佚し、後れて戦地に処りて戦いに趣くものは労す。故に善く戦う者は、人を致して人に致されず」とあります。これは、相手の機先を制し主導権をいかに確保するかが重要である、ということですが、仕事においても重要です。他にも情報収集の重要性や、成功パターンに拘ることの危険性、部下を本気にさせる方法など、示唆を得られる内容が非常に豊富です。実体験と照らし合わせながら読むと大変面白く読むことができます。

本日、東京都知事選の投票が行われ、即日開票、小池百合子都知事の再選となりました。

当落そのものは、議論の対象ではありませんが、やはり気になるのは投票率の低さです。小池知事の優勢が伝えられる中で「自分だけ投票しても変わらない」と考え、投票意欲が低下していた人が多くいたのではないかと思われます。さらに、今回の新型コロナウィルス感染症の影響により、「不要不急」の外出を控えた結果、投票率が低下したものと考えられます。

有権者が自らの最大の権利である選挙権を行使することは、民主主義の根幹であるはずですが、棄権が多かったことは大変残念なことです。

「なくなって初めて分かる大切なもの」は色々とありますが、投票権もその一つでしょう。他の国を見ていても、自分たちの代表を選ぶことができない時代が来る可能性は、ゼロではありません。そのような時代にならないようにするためには、選挙権を行使し続けるしかありません。

熊本・鹿児島での記録的な大雨について、毎日新聞の報道によると、以下のとおりです(2020年7月4日 11時44分)。

 

熊本県では4日未明から降り続いた大雨の影響で、県南部を中心に各地で土砂崩れが発生し、1級河川の球磨川が氾濫した。県によると、午前10時現在、芦北町と津奈木町で少なくとも13人の安否が不明という。

同県は5段階の警戒レベルで最も高い「レベル5」に当たり、災害が発生していることを示す「災害発生情報」を芦北町など4自治体1万6127世帯3万8615人に出した。この他、同県と鹿児島県では一時、計11自治体の9万2233世帯に避難指示、計11自治体の8万4992世帯に避難勧告が出た。

 

最近、毎年のように大規模な風水害が発生しています。特に、今年は新型コロナウィルス感染症の影響とのダブルパンチです。

このような災害は、いつどこで発生するか分かりません。他人事とせず、いざという時に避難できるように準備しておくことが不可欠です。

本書は、著者がこれまで発信してきたTwitterを振り返りながら、新型コロナウィルス感染症に対する日本国内の初動対応の遅れや中国の情報操作、台湾の感染制御の状況などについて、まとめられています。

危機管理の鉄則「大きく構えて小さく収める」ことの重要性を改めて認識します。常に最悪の事態を想定して、行動しておくことが必要でしょう。もちろん、危機管理は心構えだけでは成立しません。日頃からの訓練や体制の整備など、平常時から整えておくべきことも多々あります。今回の事象を契機に、自ら振り返りを行いたいと思います。

また、僅か半年程度での出来事にも関わらず、既に記憶から薄れつつあることに危機感を感じます。感染者数が再び増加している状況を踏まえ、改めてこれまでの出来事を振り返ることの必要性を感じます。昨日、記載した通り、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」であってはいけません。もう一度、危機感をもって生活することが必要でしょう。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺があります。まさにその通りで、私たちはこの約半年間の出来事を既に忘れかけてしまっているようです。

今日、東京都内の感染者数が5月2日以来となる107人を記録しました。もはや、第二波の兆しといってもよいのではないでしょうか。

一方、居酒屋などの人出を見ると、元に戻りつつあるように感じます。緊急事態宣言前の状況を忘れてしまったかのようです。

ワクチンの開発などの抜本的な対策はいまだ講じられていません。これまで感染者数が低位で推移していたのは、外出自粛などにより「社会的距離」を保つという対症療法による成果にすぎません。

やはり、今一度、一人ひとりが感染リスクを認識し、リスク低減に向けた努力が必要でしょう。「国が緊急事態宣言を出したから外出を自粛する、解除したから外出を再開する」ではなく、自らの命を守る行動を、自らの判断により行う必要があるでしょう。