うちの坊主が生まれたとき。
もう一年以上前の話だが。
同じ日に同じ病院で生まれた子が10人くらいいた。
おかげで看護師の数が十分ではなく、寝不足でふらふらの僕が代わりを務めた。
妻の足を抱え、いきむのを手伝った。
さっさと生んで欲しいのに、妻は、
「誕生日は今日はダメ!明日がいい!」
と日付がわかる3時間後を待っている。
なんでも、とある友人と同じ誕生日になるのがいやなのだとか。
日付も変って早々に、大きな産声をあげて無事に生まれたわが子は僕にそっくりだった。
シワシワでムラサキのサルみたいなのを想像していたが、思っていたより『人間』に近いものだった。
僕がへその緒を切った。
肉をはさみで切っている感覚だった。
おとなしくて僕になついている坊主はかわいかった。
・・・が、今はあの瞬間が悪夢の始まりだと固く信じている。