私は「無想会」という

沖縄の古い空手を習っています。

 

サバニチーム羽メンバーの

旦那さんの高市澄人さん。

彼が教えてくれるという、

偶然のご縁があったからなのですが。

 

この無想会で教えてもらうことが

至るところでサバ二と深くつながるのです。

 

前回の稽古で腑に落ちたことを

記録としてここに。

「仮想重心を追いながら進むということ」

 

 

稽古で教えてもらうことのひとつに

重力を力に変える、があります。

 

背中にある大きな広背筋。

これをふっと縮めると、

上半身がわずかに下に下がります。

下腹にある大腰筋。

これをふっと縮めると

下半身が(脚が)わずかに持ち上がります。

 

両方を意識的にぐっと引く。

見た目では分からない何ミリ分、

一瞬身体か浮くのです。

身体は無重力状態となります。

 

無重力を作りながら、

仮想の重心を身体の外に置く。

それはアンバランスな瞬間の体勢。

浮いた身体を

定めた未来の重心に落下させていく。

 

無重力、仮想重心、落下を繰り返していけば

ずっとつづく移動の動きが生まれます。

自力ではなく、地球最大のエネルギーを借りて。

 

 

 

帆を張ったサバニは、前に前に移る重心に、

その重力を添わせていくように

進んでいるのではないか、と。

 

 

サバニ操船を一から教えてくれた海想の森さんが

以前、「帆柱の重さはサバニにかからない」と

教えてくれたことがありました。

なぜだろう、その時は分からなかったけど。

前にある重心を追いかけていけば、

重力はつねに動きの中を

瞬間移動し続けることになる。

 

 

アウトリガーの付かない

バランス必須のサバニ単体で舵をとるとき、

なにもかもがふと一致する一時の感覚があります。

舟が微か浮いたようになり、

何かの旋律の上に乗って

運ばれていくような感覚。

ひどく集中力がいる場面なのに、静かで軽く。

鼻を抜ける気が天に届く

真空感。

 

 

落下し続ける力に乗ることができたら

重力から放たれて

猛烈なスピードの静寂の中で

そこには大きな快があるのではなかな。

そう、感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までは、運ばれて西表島に届く港が

サバニ材との初対面でした。
 
生きた姿に逢いたいと
ずっと思っていました。ようやく。
 

 

 

 

 

こんなにも真っ直ぐ、長く。

天に向かって育つものが

地球上にあるんだ。

不思議でならない光景でした。

 

地面の下はどうなっているんだろう。

 

 

 

 

 

土と水の氣が

幹を伝って空へ上がり、

光と共に

また地上に降ってくる。

循環のジオラマの世界のような。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その中の小さき人たち。

縮尺がいつもと違うね。

 

 

 

 

 

 

私たちの小ささが心地よかった。

杉林の散歩。

 

 

 

 
 
そして
サバニはこの幹の中にあります。
 
根元を舳先にするので、
頭を下に逆立ちしている姿になります。
 
 
スリムなサバニたちが
静かに並んで眠る林。
そんなイメージが浮かびました。
 

 

 

 

 

つづく

 

 

©️kyoko kunioka 2022

 

“日南製材事業協同組合”

 

製材所の一角に、工場がありました。

覗いてみると、

 

 
そこは刃物の世界。
 
 
 
原木を切り分ける帯鋸。
その刃の研ぎ工場でした。
 
このあたりには製材所がたくさんあるのでしょう。
各所から送られてきた大きな輪の刃が幾重にも。
 
 
 



 

 
ノミやカンナをいつも研いでいるから
この刃先を見るのがとても面白い。
こんなにして研ぐんだ。
 
 


整然としていてキリリとした空気に

刃の先も
働く人たちも
清められたように美しく。

 

 

 

 

 

刃を扱う方々

危険も伴うでしょう、

みなさん静かな武士の雰囲気。

飫肥城の町だからかな。

 

 

 

 

 

 

気が澄んで

あらたまるような時間でした。

 

ありがとうございました。

 

 

 

つづく

 

 

©️kyoko kunioka 2022


 

2022年3月1日

「サバニをめぐる旅」に出ました。

 

製作中のサバニは、曲げがきれいに仕上がり、

心安堵して、少しお休みをいただきました。

 

 

いつか!と思っていた

あの場所、逢いたかった人、話したいこと、

よいタイミングが重なり、思い切って。

 

春の兆しの中、一人で飛ぶ。

この一人旅っていうのも、

娘が生まれてから初めてのこと。

 

まずは九州、宮崎へ。

サバニの原料である飫肥杉(オビスギ)に会いに。

 

 

“日南製材事業共同組合”

 

 

 

 

 

杉山に囲まれた製材所に、杉丸太の山。

手前には大木、奥に行くほど細い材が積まれ、

さらに奥には、木材チップの山も見えました。

杉は隅々まで利用されている様子。

 

どこで、どんな風に使われるのだろう。

 

 

 

これがサバニの材。

樹齢約70年、直径約50センチ、長さ8メートル。

 

 

 

お話ししてくれた組合の川越さん。

 

あの舟大工さんはこうやって買うよ、

この舟大工さんはこう選ぶよ、

各地の舟大工さんの木の見方を

思いがけず、聞かせてもらえて、

その場に居合わせてような嬉しさ。

 

 

 

 

ウッドショックだからでしょうか。

杉材は世界中から必要とされていて、

原木の現場は、活気に溢れていました。

木の息吹と、働く人たちの手際よさと。

 

そして、現場の全てが初めて見るものばかりで

小学生の社会見学みたいに、面白い。

 

 

⤴︎重さ別に仕分けしていると思われる機械

 

 

 

今回、宮崎の旅に同行してくれた

サバニ友がいます。

アイアイ(三浦藍子さん)と娘の翠ちゃん。

アイアイは、海想というサバニチームの

名スキッパー、舵取りです。

 

私にサバニを発注しようと

検討してくれていました。

 

二人で年輪見ながら話すうち。。

 

場の上昇気流と

ウグイスの声に誘われて

「このまま、これくださいって買っちゃおうか」

と心躍るような展開に。。

 

いやいやいや

運搬手段や、輸送費の調べが全くついないよね。

夕飯の買い物じゃないし、

さすがにちょっと頭冷やして出直そか。

となり。

 

名残り惜しみつつ、

その場を後にしました。

 

 

 

 

 

母たちの興奮の後ろで。

翠ちゃん。

 

 

つづく

 

©️kyoko kunioka 2022

 

 

底板をカーラと言います。

 

厚さ20センチ、幅45センチ、長さ700センチの

こんなに大きな杉材。

ここから彫り出します。

 

 

 

 

購入したのは2017年3月⬇︎

 

 

 

2艇分の材料。

水の滴るような、生気あふれる杉に

ドキドキした日。

 

 

一艇分は舟になり、

もう一艇分はしばらく手が付けられず、

4年以上経ってしまいました。

 

 

 

今回

白太の部分が乾燥しすぎて

粘りがなくなってしまったので、

きれいに取り除き、赤身の部分だけを取り出して

カーラに仕上げます。

 

 

長く寝かせてしまった、木への後ろめたさと、

木のタイミングを逃していないか?という

不安がちくちくと胸の底にあったけれど。

 

赤身を削り出していくうちに、

大丈夫だという木の力を感じて

ようやく、木と会話が始まったような

気がします。

 

私より、ずっと長く生きてきた杉。

その懐に抱かれて

私は制作させてもらうのだと思います。

 

 

 

アパッチが舷側板を仕上げ、

私がカーラの制作に入っています。

 

 

 

 

 

ペッカーちゃん(チェーンソー)で切り出し。

久しぶりのチェーンソー作業。

 

このペッカー、学生の時に買ったもの。

30年前!

マイチェーンソーが嬉しくて、

ずっと名前で呼んできた、道具。

 

 

現役だし、快調です。

 

 

 

 

©️kyoko kunioka  2022