アガサ・クリスティーの代表的作品です。
ミステリー作品は深く考えずにサラッと読めて心地よいですね。
通勤時はしばらくクリスティー作品を読もうと思っています。
以前、テレビ朝日でこの小説を原作にしたスペシャルドラマをやっていました。
主演は渡瀬恒彦で、彼の遺作となった映像作品です。
録画して数回見ましたが、本を読んだのは今回が初めて。
訳者は青木久恵という人で、今年2026年に新訳版として発売されたばかり。
旧訳版を読んだことがないので比較できないのですが、何か〝軽い〟気がしました。
ちょっと旧訳版も読んでみたい気がしましたね。
さて、テレビドラマ版は舞台が日本ですし、原作との相違は色々とあります。
登場人物について比較・整理してみます。
| 原作 | ドラマ |
| ロレンス・ウォーグレイヴ/元判事 | 磐村兵庫/元裁判長(渡瀬恒彦) |
| ヴェラ・クレイソーン/体育教師 | 白峰涼/元水泳選手(仲間由紀恵) |
| フィリップ・ロンバード/元陸軍大尉 | ケン石動/軍事評論家(柳葉敏郎) |
| エミリー・ブレント/老婦人 | 星空綾子/女優(大地真央) |
| ジョン・マッカーサー/退役軍人 | 門殿宣明/元政治家(津川雅彦) |
| エドワード・アームストロング/医師 | 神波江利香/医師(余貴美子) |
| アンソニー・マーストン/青年 | 五明卓/ミステリー作家(向井理) |
| ウィリアム・ブロア/元警部 | 久間部堅吉/元刑事(國村隼) |
| トマス・ロジャーズ/執事 | 翠川信夫/執事(橋爪功) |
| エセル・ロジャーズ/トマスの妻 | 翠川つね美/信夫の妻(藤真利子) |
※以下、ネタバレを含みます。
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テレビドラマ版も面白いのですが、失敗は磐村兵庫が死んだふりをするシーンです。
※島で起こる連続殺人の犯人は原作・ドラマ共通してこの判事です。
6人目の被害者となったフリをする判事。
実は、この時、判事は医師を味方に引き入れています。
医師は、判事の遺体に近づき簡単な検死をするのですが、他のメンバーに近づかないよう指示します。
もちろん、生きていることがバレないようにするためです。
この流れは、原作のウォーグレイヴもドラマの磐村兵庫も同じです。
で、判事の疑似遺体を2階にある本人の部屋に運ぶのですが、ここがドラマだとおかしい。
原作では、生き残っているメンバー(クレイソーン、ロンバード、アームストロング、ブロア)の4人で運びます。
が、ドラマでは判事の死にショックを受けて倒れた白峰涼を、ケン石動が久間部堅吉とともに白峰涼の部屋に運んでいきます。
その間に、神波医師が1人で判事の遺体を椅子ごと2階の部屋に移動させるのです。
しかも階段を使って。
そんなことができるわけがありません!![]()
まして、ドラマでの医師は女性となっています。
もちろん、判事は本当は生きているので歩いて移動したのでしょう。
ですが、ひとりで判事の遺体を部屋に運んだ、という神波医師の説明を、他の3人が違和感をおぼえずに受け入れているのがおかしい。
また、この作品の重要な小道具に10体の小さな兵隊の人形があり、1人死ぬたびに1体の人形が消えていきます。
この人形、原作ではただ台の上に置いてあるだけですが、ドラマでは頑丈な防弾ガラスのケースの中に入っており、強靱な男が二人がかりで開けようとしても開きません。
これは、最後に謎を解いていく刑事・相国寺竜也(沢村一樹)が、一瞬で仕掛けを見抜いてケースを開けることで、その頭脳明晰さが図抜けていることを示すための演出だと思います。
しかし、これも裏目に出ています。
それは、上述の磐村判事が死んだフリをしているシーンです。
神波医師は、判事が本当は生きていることを知っています。
しかし、1人殺されたことを示すために兵隊の人形が1体減っているわけです。
原作のように、人形が台の上にただ置いてあるだけなら、判事が「私が殺されたフリをして人形を一つ消しておく」とアームストロング医師に伝えておけば良いだけです。
※そんなシーンはありません。
しかし、ドラマ版のように「誰も人形が入ったケースを開けることが出来ずにいる」という設定にした場合、本当は判事が死んでいないことを知っている神波医師は、「人形が減っている=判事がケースを開けて人形を減らしている」ことに気付いてしまい、判事が真犯人であることがバレてしまうはずです。
が、神波医師はこの点に何の疑問も抱かずに進行していきます。
もう一つは今の2点に比べれば、許容範囲ですが、白峰涼の犯した罪についてです。
原作のクレイソーンは、明らかに意図して子どもを死に追いやっており、物語において裁きの対象に選定されたのは頷けます。
が、ドラマ版の白峰涼は、どう見ても事故で子どもが死んだようにしか思えないんですよね。
監督不行き届きではありますが、裁きの対象に選ばれる理由としては疑問が残ります。
まあ、そんなわけでやはり原作の方が良いなと思った次第です。
とはいえ、ドラマ版も5回くらいは見直しているので気に入ってはいるのですが。
ではまた。
