1 裁判のIT化
今朝のNHKラジオで,裁判のIT化が話題となっていました。
昨年春に新型コロナの緊急事態宣言が出されて,ほとんどの裁判が延期となってしまいました。コロナ禍にあっても裁判が進められるようにIT化が加速しています。
争点整理は,オンライン会議システムを使って,裁判所へ行かなくても可能となっています。
2 書類の提出
また,これまで紙で提出していた証拠書類などを,PDF等にデータ化してオンラインで提出することが計画されています。
戸籍謄本や登記簿謄本などの証拠書類も紙ではなく,PDFにして提出することになるのですが,もともと,戸籍情報や登記情報は市役所や法務局にデジタルデータとして保存されています。それを弁護士が紙の形で取り寄せた上で,PDFにして裁判所にデータ提出するというのは,いささか滑稽なIT化ではないでしょうか。
戸籍情報や登記情報を管理しているサーバーと裁判所とを接続すれば,はるかに優れたIT化となります。
現在は,一般市民の人が調停などの申立てをするために裁判所へ行き,受付で「戸籍謄本を持ってきてください」などと言われて出直すことがよくありますが,こんな不便なことはありません。
裁判所と法務省,総務省が連携し,真に利用者のためになるIT化を実現してほしいと思います。
3 相続関係図
相続が関係する事件では,相続人を特定し,法定相続分を確定するために,大量の戸籍謄本を取り寄せて,一人一人の生年月日,死亡年月日の先後などを確認して,相続関係図というものを作り上げます。
できあがるまでに1ヶ月以上かかる場合があるほか,漏れがあって裁判所から指摘されてやり直すこともあります。
しかし,これらの戸籍情報はほとんどがデジタル化されています。技術的に,相続関係図の自動作成はできるはずです。時間もかかりませんし,正確です。是非,実現してほしいと思います。
4 不動産の登記情報の活用
民事裁判に対する大きな不満の一つが,勝訴判決を得ても差押えできる財産を見つけることができず,判決がただの紙切れとなってしまうことです。これも法務局に不動産所有者のデータが管理されていますので,国内のすべての不動産を検索することも可能です。そうすれば,判決に基づく差押えはもっと容易になりますし,利用者の満足も上がります。
より使いやすい裁判IT化が実現することを期待しましょう。