1 薪ストーブとの出会い  

 自宅を新築する際,建築家から薪ストーブを勧められました。「週に1回か2回は使うだろうか」と思って設置しましたが,使い始めるとその素晴らしさに魅了されました。毎日,朝と晩に薪ストーブを使っています。

 

2 薪ストーブの魅力

 エアコンのようにボタン一つで動かないことが最大の魅力です。

 朝起きると,まず,薪ストーブの掃除から始まります。薪ストーブの扉にはガラス製の窓がありますが,煤で汚れていますので,濡らした布で拭き取ります。ところが,焼け付いてなかなか取れない汚れがあります。それには,ストーブの中の灰を布に付けて拭くと,たちどころにきれいになります。この方法は先輩の女性に教えてもらいましたが,それまではかなりの時間をかけて腕が痛くなるほどこすっていました。

 

 掃除が終わったら,いよいよ着火の準備です。薪ストーブの中の灰を左右に寄せて,真ん中に空気の通り道を作ります。そして,焚きつけ用の小さな枝や端材を入れて,その上に薪を2本置き,更にその上に端材を数本置きます。

 

 ストーブの給気口をすべて全開にしたら,着火剤の登場です。着火剤には色々な種類がありますが,私が使っているのは冨士屋の「文化たきつけ」です。近くのホームセンターには12本入りが100円程度で売っています。1本10円もしないのですが,私は1本を半分に割って,更に半分に割って使っています。これで十分着火します。1回当たり2円の計算ですね。

 

 着火剤を空気の通り道のところに押し込んで,チャッカマンで火を付けます。そして,扉を閉めますが,最初は少しすき間を空けておくと,薪に火が付きやすくなります。

 

 掃除から着火まで約5分間です。その後,ラジオ体操をしながら,火の様子を見ます。ラジオ体操が終わる頃には,火が安定します。

 

 エアコンと比較すると手間がかかりますが,その手間こそが,薪ストーブの魅力だと思います。もうやめられませんし,暑い時期から冬が待ち遠しくなることがあります。

 

3 薪ストーブの暖かさ

 暖房にはいくつかの種類があります。エアコンは暖かい空気を循環させて部屋全体を暖めるものです。薪ストーブで部屋全体を暖めるには相当な時間がかかります。しかし,部屋が暖まらないのに身体が暖くなるのが薪ストーブの特徴です。それは輻射熱があるからです。

 

 輻射熱は,温度の高いものが発する熱を身体が直接受け取ることによって暖かさを感じます。真冬でも,太陽の光を浴びると身体全体が暖かくなりますね。あれも輻射熱であり,気温が低いのに暖かいのが輻射熱の特徴です。

 

 私の家でも,真冬の室温は18度程度ですが,薪ストーブの輻射熱で十分に温かさを感じます。

 また,薪ストーブの火は薪が燃え尽きるまで消えませんので,朝も,前日夜の薪のおかげで,部屋の中がほんわりと暖かい状態となっています。

 

4 熱の利用

 冬場は部屋が乾燥しますので,加湿器を利用される人も多いと思いますが,薪ストーブに加湿用の器を載せて水を入れておけば加湿器になります。また,ヤカンを載せておけば,コーヒーやお茶をすぐに入れることができます。

 

 また,薪ストーブの上にアルミホイルを置いて,餅を焼いたりすることもできます。昔の火鉢のように使えるのですが,火が外部には出ていないので,火鉢に比べるとかなり安全です。

 

5 焚きつけ用の小枝

 自宅の近くに公園があり,木の枝が沢山落ちています。特に風の強かった日の翌日には,枝の数が増えます。落ちている枝は,ほとんどが枯れた状態です。前日の風で枝が折れて落ちてくるのではありません。おそらく,冬場の雪の重みで枝が折れて,完全に分離しないままの状態で枯れていきます。風が吹くとゆらゆらと揺れて,時間の経過によってやがて枝が完全に分離します。そのまま地面に落ちてくる場合もありますが,多くの場合は,下の枝に引っかかります。また,風が強い日に,引っかかった枝から落ちて,更に下の枝に引っかかります。これを繰り返し,最後には地面に落ちると思われます。

 

 数ヶ月から1年程度かけて地上に到達するのではないでしょうか。そのため,地面に落ちている枝は完全に枯れていて,焚きつけ用としては最良の状態となっています。

 週に2,3度,公園で枝拾いをしていますが,公園の掃除にもなり,一石二鳥です。

 

6 薪の調達

 最大の問題は薪の調達です。最近は,薪ストーブを設置する家が増えてきて,薪の価格が高騰気味です。灯油を使うファンヒーターと比較すると暖房費はかなり高く,私の家では一冬で5万円程度になります。

 

 毎年,お願いしている人があり,軽トラックで運んでもらいます。11月初め,12月終わり,2月初めの3回に分けて運んでもらい,家の中の薪だなで保管します。

 

 焚きつけ用の小枝は近くの公園で拾いますが,それだけでは足りません。私はふるさと納税で端材を調達しており,いくらかの地域貢献にもなっていると思います。

 

7 地球温暖化

 薪ストーブの燃料である薪は大気中の二酸化炭素を吸収していますので,薪を燃やすことによって二酸化炭素を排出したとしても,プラスマイナスゼロという計算になります。カーボンニュートラルと言うのでしょうか。地球環境にも優しい暖房です。

 

 また,大規模災害が起こって電気が止まってしまっても,薪ストーブは大丈夫です。災害に対する備えとしてもメリットがあります。

 

 色々と薪ストーブの魅力を書いてきましたが,私の場合,普段,時間に追われていることが多いため,余計に薪ストーブの不便なアナログさに魅力を感じるのかもしれません。薪ストーブがあれば,どんな厳しい冬も乗り越えられる気がしています。火の付いた薪ストーブを上手く撮影できませんでしたが,画像を載せておきます。