1 漢字とカナ

 日本語の文章は漢字とカナからできています。この漢字とカナの比率が分かりやすさに影響します。 細川直義氏の「記事の書き方・直し方」に次の文章があります。

 

 現代の日本文は,だいたい平がなと漢字のまじり合った文章であるが,そのまじり具合が問題なのだ。

 

 この文章を可能な限り漢字を使って書いてみると次のようになります。

 

 現代の日本文は,大体平仮名と漢字の混じり合った文章であるが,其の混じり具合が問題なのだ。

 

  一見してゴツゴツとした印象を与えますし,「大体平仮名」には引っかかってしまいます。

 反対にすべてをひらがなにしたらどうなるでしょうか。

 

 げんだいのにほんぶんは,だいたいひらがなとかんじのまじりあったぶんしょうであるが,そのまじりあいぐあいがもんだいなのだ。

 

  とても読みにくくなりますね。ある本には,漢字の割合は3割程度が読みやすいと書かれていましたが,割合だけの問題ではありません。

 

 その結果いま腸内発酵が盛んになった。

 

 閣下がほんの今おならをなさいました。

 

 前者の「いま」を漢字にすると「その結果今腸内発酵が」となって,とたんに分かりにくくなります。それに対し,後者の「今」を平仮名にすると「王様がほんのいまおならを」となって,何度も読み返す必要が生じてしまいます。全体的なバランスと前後の文章からより適切な方をえらぶことになります。

 

2 段落について

 段落は一つの思想のかたまりですので,内容が変わるときに段落を変えることになります。同じ内容の文脈が続いているのに改行すると,文章の流れが止まってしまいます。

 

 しかし,ブログでは,このような考えは少数派のようです。改行が頻繁にあり,更に行と行の間に何行もの空白を入れている文章があります。

 

 スマホの画面上に文字が埋まっていると,「読みたくない」と思う人が多いためかもしれません。私も,改行のときに,1行あけています。しかし,あまりに空白だらけの文章は,「じっくりと読むのではなく,どんどんスクロールして読み飛ばしてくれ」と言っているように思われるので注意が必要です。

 

3 司馬遼太郎

 私は歴史小説をよく読みますが,中でも司馬遼太郎が好きで,彼の歴史小説はすべて読破しました。私のお勧めを3冊選ぶとすると,「国盗り物語」,「坂の上の雲」,「竜馬がゆく」ですね。司馬遼太郎は,中学生が読んで理解できる文章を書くように心がけていたそうです。是非,見習いたいと思います。

 

 その司馬遼太郎が太平洋戦争に出征した際に肌身離さず,ひまがあると読んでいたのが「歎異抄」だそうです。流れるような文章が特徴で,深遠な内容も相まって,ファンがとても多い本です。私もファンの一人です。1000年以上も読み継がれる文章は滅多にありません。時代を超えた普遍的な内容が,美しい文章で書かれているからだと思います。できることなら私もそんな文章を書きたいと思っています。