1 コロナも笑う
美味しそう パンデミックとクラスター (津田暹)
これは,先日,北國新聞に掲載された川柳です。
聞き慣れないカタカナ言葉から,美味しそうな食べ物を連想したというものです。
今日は川柳について書きたいと思います。
2 サラリーマン川柳
川柳というと第一生命が毎年募集しているサラリーマン川柳が有名です。
退職金 もらった瞬間 妻ドローン
スポーツジム 車で行って チャリをこぐ
など,毎年笑わせてくれます。
3 川柳のおもしろさ
川柳は,5・7・5の17文字で表現する芸術です。
川柳がおもしろいのは,私たちに「あるある」という共感を与えてくれることです。
身体を鍛えようと思うのなら,自転車でジムに行けばいいのに,車に乗って行く。しかもできるだけ玄関に近い駐車スペースを必死に探して,車を停める。そして,ジムでは一生懸命に自転車をこいでいるというのは,滑稽ですよね。
川柳のもう一つのおもしろさは,自分が持っていなかった別の視点を与えてくれることです。
パンデミックやクラスターを美味しい食べ物に見立てるというのはなかなかおもしろい視点です。珍しい外国料理に関心のある人などは,確かにそのように思うのかもしれません。
4 川柳は生もの
川柳は鮮度が重要です。その時代に読むから分かるのであり,時間が経ってからだと何のことか分かりません。
英語には強いが物理には弱い
この川柳を読まれて何のことか分かる人はほとんどないと思います。受験生の得意不得意の科目のことだろうと普通考えますよね。
これは宮沢喜一氏が総理大臣をしていた時代(平成4年頃),PKO法案の国会審議に野党が物理的に抵抗をした際に読まれたものです。宮沢総理は,通訳なしで海外要人と話ができるという英語力のある人でしたので,英語と物理にかけて作られた川柳です。
川柳と違って,俳句は時代を超越します。芭蕉や一茶が作った江戸時代の俳句が現代の私たちに感動を与えます。
5 笑い
笑いは私たちに必要なものです。できるだけ笑顔で生活することが大切だと言われます。
「おもしろいこともないのに笑えない」という人がありますが,そうではありません。
落語家の枝雀が言っていました。
おもしろいから笑うのではなく,笑うからおもしろいのです。
美味しそう パンデミックにクラスター
この川柳は,暗い話題を楽しい笑いに変える優れた作品だと思います。
そう考えると,三密(三蜜)もおいしそうに思えてきますね。
できるだけ笑顔で暮らしましょう。