1 400万の企業

日本全国には中小企業から大企業まで合わせて,約400万の企業があります。

これらの企業はほぼ税理士と顧問契約をしていると思われます。

しかし,弁護士と顧問契約を締結している企業は少ないのが実情です。

 

2 法律顧問

税理士は税務顧問,弁護士は法律顧問ということになりますが,税務問題も法律問題も企業経営にとっては重要な課題です。

税務申告は毎年必ずしなければなりませんが,法律問題となると,何かトラブルが起きてから相談すればよいと考えている経営者が多いようです。

 

3 潜在的なトラブル

しかし,潜在的なトラブルは沢山存在しています。

たとえば次のようなものです。

 

(1) 固定残業代や変形労働時間制を実施しているが,就業規則に不備があり,多額の残業代を請求される可能性がある。

(2) 問題を起こした従業員を解雇したいが,適法に解雇する方法が分からない。

(3) 労災保険に加入しているが,労災に上乗せされる賠償責任保険に入っていないため,高額の賠償債務を負担する危険がある。

(4) 従業員が企業秘密や顧客情報を持ち出してライバル会社に転職する危険がある。

(5) 従業員の給料が差押えられた場合,どのように対応してよいか分からない。

(6) 議事録は作成しているが,実際に株主総会を開催していないため,重要な決議が無効となる危険がある。

(7) 後継者対策がされていないため,後継者がスムーズに事業を承継できず,経営破綻の危険がある。

(8) 取引先から示された契約書について,内容を確認せずに押印している。

(9) なかなか回収できない売掛金があり,消滅時効にかかってしまうおそれがある。

(10) 取引先が倒産した場合に,納入した商品を引き上げる方法が分からない。

 

4 社内対応の限界

上記以外にも,日常的に様々な問題が発生しますが,すべてを社内で対応しようとすると大変です。

総務担当者や,場合によっては社長自身がネットで調べて対応しているケースもあります。

中には不正確な情報に基づいて誤った対応になってしまうこともあります。

すべて社内で完結させるのではなく,外部の専門家を上手に使うことをお勧めします。

しかも,社内の事情をよく理解してくれている弁護士であれば,相談もスムーズに進みます。

多くの弁護士は,顧問先であれば電話やメール,ZOOMなどで,すぐに対応してくれるはずです。

わざわざ事務所へ出向く必要もありません。

社内スタッフが長い時間をかけて,不確かな情報を集めて対応するよりも,余程早く,適切な対応ができますので,月3万円から5万円の顧問料は必要ですが,費用対効果が高いと思います。

 

5 顧問弁護士についての説明

顧問弁護士は企業経営にとって必要性の高いものですが,弁護士は顧問契約の説明をあまりしません。

昔から弁護士は「営業」が苦手です。

私は,企業からの相談の際には,必ず,顧問契約の説明をするようにしています。

説明を聞かれると多くの企業が顧問契約を希望されます。

こちらから説明もしないのに,顧問契約を申し込まれることはほぼありません。

 

全国の企業400万社がすべて顧問弁護士を持つようなると,弁護士人口は約4万人ですから,平均1人100社になります。

すべての企業が健全に成長を続けるために,弁護士との顧問契約は不可欠であり,弁護士にはもっと顧問契約の説明をしてほしいと思っています。

そして,顧問先に対しては,定期的にニュースレターを送ったり,セミナーに無料招待したりするなど,よりサービスを充実してほしいと思います。