1 色々な依存

 

スマホ依存とか,インターネット依存と言っても様々な種類があります。

 

YouTube依存,Facebook依存,twitter依存,LINE依存,Instagram(インスタ)依存,オンラインゲーム(ネトゲ)依存,チャット依存,メール依存,ネットサーフィン依存,掲示板依存,ブログ依存,ネットオークション依存などです。

 

スマホ依存症は,数ある依存症の中で,最も深刻な影響を人間と社会に与えていると思われます。

 

2 統計データ

 

 2019年に行われたスマホ依存のアンケート調査によると,「かなり依存している」と答えた人が全体の21%,「やや依存している」という人が52%でした。

 

おそらく,スマホ依存症は2000万人を超えると考えられます。                   

 

3 SNS

 

今日,多くのSNSが存在しています。Facebook,Instagram,twitter,LINEなどです。

 

まったくSNSを使っていないという人は,少数派ではないでしょうか。

 

自分の投稿に「いいね」がつくと,脳内に快感物質が放出されます。

 

その快感を求めて,何回も何回も繰り返しスマホを見ます。

 

食事中,右手に箸を,左手にスマホを持っている人をよく見かけます。

 

トイレにもスマホ持参です。便器に腰掛けると同時にスマホを見ます。

 

風呂の中で使っている人もあります。

 

布団に入るときも,スマホは手放せないようです。

 

薬物依存やギャンブル依存と同じ現象が脳内で起きているのです。

 

4 子どもとスマホ

 

スマホが子どもの脳に与える影響は深刻です。

 

平日にスマホを使う時間が1時間未満の子どもと1時間以上の子どもの学力を比較した研究があります。

 

学習時間や睡眠時間の長短によるよりも,スマホ使用の時間が大きく影響していることが分かっています。

 

平日にスマホを使っている時間が1時間未満という子どもの割合は,小学生で54%,中学生で20%,高校生で4%となっており,すでに深刻な影響を与えていることが分かります。

 

これまでスマホ使用が学力低下をもたらす原因がハッキリしませんでしたが,最近の研究により,大脳皮質の成長との関係が明らかとなりました。

 

大脳皮質は身体の成長とともに,その体積が増えていくものです。

 

スマホの習慣と大脳皮質の体積の変化を3年に渡って調査したところ,ほとんど毎日スマホで1時間以上インターネットを使っている子どもは,平均して,3年後に大脳皮質の体積がまったく増えていませんでした(「スマホが脳を破壊する」川島隆太著)。

 

中学3年生になっても大脳皮質は小学6年生のままということになります。

 

大変深刻な問題であるにもかかわらず,まったく分かっていない人が多いのではないでしょうか。

 

皆さんのお近くにそのような人があれば,是非,スマホの影響について教えてあげてください。

 

5 親のスマホ依存

 

このような子どものスマホ依存に影響を与えているのが親のスマホ依存だと思います。

 

授乳アプリから始まり,子育て支援アプリは沢山あります。

 

共働き世帯が増え,家事をする時間に子どもの相手をスマホやタブレットに任せています。子どもはスマホを見ている間はおとなしくしているからです。

 

また,電車に乗った際,子どもが騒いで周りに迷惑をかけたくないことから,スマホを与えてしまうこともよくあります。

 

親が子どもを抱っこして,子どもの目を見て,話をすることで,子どもは安心し,健やかに成長していきます。

 

親が子どもを抱っこしながら,スマホばかり見ていては,子どもはまっすぐに成長できないのです。

 

6 日本小児科医会

 

日本小児科医会は,「スマホに子守りをさせないで!」と「見直しましょう メディア漬けの子育て」いうポスターを作成しています。

 

 

7 スマホ依存

 

小児科医会の警告は大変重要です。

 

多くの親がスマホ依存症になっていて,「分かっちゃいるけどやめられない」という状況になっていないでしょうか。

 

スマホ依存症になったからといって,すぐに多重債務などの問題が発生するわけでもなく,治療のきっかけがないことが最大の問題です。

 

ネット上に自己診断のテストも多数紹介されています。

 

「ひょっとして自分はスマホ依存症かも」と思われたら,早めに専門家に相談されることをお勧めします。