1 依存症とは

 

依存症の本質は,物質の体内摂取や自分自身の行動により,脳内にドーパミンなどが放出されて快感を得るが,しばらくすると喪失感が訪れるため,快感を得るために何度も繰り返していくうちに耐性ができ,摂取する量や行動の頻度が上がっていくというものです。

 

2 買い物とドーパミン

 

自分自身を振り返ると,「車を買い換えよう」とか「高級一眼レフカメラを買おう」となると,急に気持がウキウキしてきます。

 

「買い物モードに入った」とか「スイッチが入った」と表現する人もあります。

 

買い物をするときに,私たちの脳内にドーパミンなどの快感物質が放出されるのです。

 

買い物自体が楽しいのですが,買ってしまった後は,その快感は失われます。

 

3 依存症

 

買い物の快感にはまってしまい,買い物を繰り返すうちに,買い物依存症となる人があります。

 

買い物依存症は若い女性の比率が高いといわれています。

 

家庭内や仕事場において自分が大切にされていないと感じている女性が,高級ブランド店に行くと,若い男性店員から綺麗な洋服の試着を勧められ,「とても上品で,お客様にお似合いですよ」などと褒めてもらえます。

 

家庭や職場において受けているぞんざいなあしらいとは天と地ほどの違いです。

 

この快感が忘れられなくなります。

 

買ってしまったものには興味はなくなり,買い物自体の快感を求めるようになるのです。

 

また,インターネットショッピングでも,画面に出ている綺麗なモデルのように自分がなれるように思い,衝動的に買ってしまうこともあります。

 

4 人口の6%

 

アメリカでは人口の6%が買い物依存症であると言われています。

 

日本も同じ割合として,計算すると約700万人となります。

 

5 多重債務

 

買い物依存症によって,多重債務となってしまう人があります。

 

弁護士が借金の相談を受けて,その原因を尋ねると買い物がやめられないという人が相当数あるのです。

 

そんな人は洋服,着物,カバン,靴など,家の中に新品のものが山積みになっています。

 

買うことそのものが快感なのであり,買ってしまうと興味がなくなってしまい,買った服を着ることはほとんどありません。

 

買い物依存症で多重債務になってしまった場合,家族がその借金を肩代わりしてしまうことがあります。

 

しかし,これは絶対にやってはいけません。

 

肩代わりによって債務がなくなれば,クレジットカードも使いたい放題となり,限度額が上がることさえあります。

 

6 債務の整理

 

債務の整理は,弁護士が関われば簡単にできると思います。

 

しかし,債務を整理しただけでは解決しません。

 

買い物依存症の治療が必要であり,そのためには家族の理解も不可欠です。

 

専門の医療機関の受診やグループミーティングへの参加を勧めることが必要となります。