1 「Think Smart」

 

 ロルフ・ドペリー著「Think Smart」をオーディオブックで聞きました。面白い話がいくつもありましたので,その中から一つ紹介したいと思います。 

 

 多くの人がニュースを見たり,新聞を読むことは必要なことだと思っているが,ニュースは本当に自分の役に立っているのだろうか。

 

著者は所有していたテレビとラジオを捨て,新聞,ネットニュースなど一切を見ないようにした。これを3年間続けたところ,思考は明晰となり,洞察力は増し,決断の質は上昇し,時間にも余裕ができた。そして,本当に必要な情報は知人や友人から提供され,仕事や生活面で何の問題もなかった。

 

 ニュースはインパクトのある事件や事故を,インパクトを与えるように伝え,人々の注目を集めようとする。その結果,ニュースを見ている人の頭の中には間違ったリスクマップが作られる。飛行機の墜落事故のニュースを見ると,しばらく飛行機に乗らないようにする人もいるが,そもそも自分が飛行機事故に遭うリスクは大きなものではない。

 

 ニュースを見る前と見た後で,生き方が変わったということがあっただろうか。このニュースを見て私は生き方を変えたと答えた人はいなかった。

 

 ニュースは時間の無駄である。多くの人は働いている時間の半分程度の時間をニュースを見たり,読んだりすることに使っている。膨大な生産性の損失である。

 

 テロで200人が殺害された事件についてテレビニュースやコメンテーターのトークを全世界で10億人が平均1時間見たり聞いたりしたとすると,10億時間が消費されたことになる。これは2000人の一生分の時間が失われた計算になる。テロの犠牲者の10倍の被害だ。ニュースによって膨大な時間が浪費されている。もっとニュースダイエットに取り組む必要がある。

 

2 自分を振り返って

 

 自分を振り返ってみると,著者の言うとおり,ニュースに毒されていると感じます。新聞は3紙(地元紙,朝日新聞,日経MJ)を読んでおり,テレビかラジオで朝,昼,夜のニュースを見たり,聞いたりしています。

 

 ニュースを見ないと時代に取り残されるように思っていましたが,著者が言うように,ニュースをまったく見なかったとしても何の問題もないように思います。

 

3 ニュース依存症

 

 しかし,なぜかニュースを見ずにおれないのです。これは,どうしてでしょうか。まるで「ニュース依存症」とでも言うべき状態であり,大変おそろしいことです。

 

 通常の依存症は脳内の快感物質(ドーパミン,セロトニンなど)が関係していますが,ニュースとこれらの物質との関係を論じた文献はまだ見たことがありません。今後,是非研究してほしいと思います。

 

 残り少ない人生の時間を,無駄なニュースに奪われないように,これからニュースダイエットに取り組もうと思います。