前回の続きです。
富士山を登るには、4つのルートがあります
一般的に知られているのは
比較的なだらかで、最もポピュラーで利用者も多く
山小屋も充実していて初心者も登りやすいとされる、吉田口
しかし、たちが登ったのは
距離的には少し短いのですが、岩場も多く、斜面も急で
膝に負担がかかりやすい、富士宮口
なぜこのコースを選んだかというと
吉田口に比べて混雑せず、自分たちのペースで登れるから。
3年前も、このルートから登りました。
各自、500mlのペットボトルの水を飲んで
出発したのは、午前3時過ぎ。
温度は15度くらい。
半袖に長袖シャツ、そして上着を着て
フリースはザックに詰め込んだ。
駐車場を出て、登山口に通じる階段を登っていくとき
たった30段くらいだったのに、
空気の薄さに慣れていないためか、
登りきったところで、いきなり息遣いがおかしくなる。
ゼーゼー、ハーハー、苦しいよ・・・
どうしよ、うまく自分の呼吸をコントロールできない
やだやだ、まだスタートしたばかりなのに・・・・
すかさず、旦那に言われる。
「ゆっくり深く息を吸って!口じゃなくて、お腹で息をして!」
複式呼吸というやつか、、、、
すごいもんだ、じきに落ち着いた
歩く順序は、RUKAまるる
RUKI
旦那。
みんなのことを配慮できて何があっても柔軟に対応できる
RUKAを先頭に置いた。
そして2番手が、体力的に心配な、ペースメーカーの。
そのの後ろをRUKIにしたのは、
彼が自分のペースで突っ走ってしまうのを防ぐため。
(4人の中で1番身体能力の高いRUKIは
前回、ハイペースで飛ばしたことが高山病の原因の1つだったから)
「お母さんのことを絶対に抜かすな!」と、旦那に言われていた。
そして、ラストはもちろん、旦那。
3時過ぎの出発だったため、暗闇の中を
懐中電灯を照らしながらのスタートとなった
1番空いているであろう時間帯を選んだから
登りの早い時間帯では、ほとんど人に会わなかった。
夜景がものすごくきれいだ、
時折足を休めては下界の夜景を見下ろす。
6合目の山小屋で、最初の休憩をとった。
空が白み始め、懐中電灯を切ったのは午前4時半頃。
暗い中では見えなかった駿河湾が
目の前に広がっていた。
日の出は、5時過ぎだったか。
たちはご来光を目的として登っているわけではないが
富士山の斜面のたちの真横から
太陽が顔を出してきたときは、胸が高鳴った
いつもは見上げている雲が眼下に広がっている、
3年前も思ったが、雲は本当に美しい。
その中に、なんとも幻想的な光景を見た。
雲から何かが灰色の長いカーテンのように伸びている・・・
そんな小さな雲のかたまりがひとつだけあった。
なんだろう、あそこだけ・・・・
「きっと、雨だ、あの灰色は雨で、あの場所だけ雨が降っているんだ」
RUKIが興奮して声をあらげる。
素人判断、真実はわからないが、たぶんそうだろう。
「雨は雲が降らせている」 という事実を
この目で実際に確認できたようで、小学生のように感動した
新7合~旧7合めの山小屋までも、けっこう距離がある。
でも、まだ大丈夫、時々足の裏のアーチが痛くなるが問題ない。
以外の3人も元気だ。
朝ご飯は、旧7合目の山小屋で食べた。
少しずつ登山客も増えてきた。
でも、数珠なりになることはない。
休憩をとるのは山小屋だけではない。
あいだで何度か岩場に腰をおろして、呼吸を整え水分を摂る。
そんな時だ、顔馴染みができるのは・・・。
自分たちと同じペースで歩いている人が必ずいる。
何度か、抜きつ抜かれつしているあいだに
自然と親しみが沸き、どちらからともなく声をかけるようになる。
その人は、たちより少し年上の男の人だった。
自分は遅くなるから仲間たちには先に上に登ってもらったと言う。
とても話しやすい、ダンディな人だった。
そして、小学6年生の少年とおじいちゃんの2人組にも会った。
孫と2人で初めて富士山に登りに来た、と言っていた。
少年は時々日記帳を出しては、気づいたことを書いている。
まっすぐで意志のある目をした子だった、
きっと、この子はたくましい青年に成長するにちがいない、
そんな目をしていた。
6年生か、、3年前はRUKIもこんなに小さかったのか。
こんなふうな人との出会いも、登山の醍醐味だ。
知らない人との出会いでその人の人生を覗かせてもらったり
それによって自分を振り返ったり・・・・
いろんなドラマに遭遇するから、登山は楽しい
さあ、もうすぐ8合目だ
【その③感動のフィナーレ(前編)につづく】