最初、この本の内容について予想していたのは記憶が80分しかもたない博士が様々な事件やトラブルに巻き込まれて、それを主人公である家政婦、その周辺の人や数学を通じて解決していく博士自体は可哀想な存在、そういった物語なのかなと思っていた。
博士のは、数字に関して普通の人では感じないであろう数字のもつ個性をすごく貴重な宝物であるかのように毎度周りに語りかける。
実際、この本については博士の記憶が80分しか持たず苦しむ博士の可哀想なシーンは確かに何度か登場するが、家政婦やその子どもは言葉ではなく数字を通して博士と通じ合い、博士を温かく迎えてあげる情景に心暖まる話だった。
80分しか記憶が持たない博士は、記憶がなくなるたび自分と家政婦やその子どもがどのような関係なのかをメモを通して確認し、謙虚に周囲に気を使って生活している。
私の中で、博士は記憶が消える80分ごとに、赤ん坊のように全く新しい新鮮なものを目の当たりにしており、それは人に当たり前であることのありがたさと謙虚さを与えるのだろうと感じた。
私も今当たり前にあるこの幸せを博士のように謙虚に受け止めていきたいと思った。