家に着いた女は急に睡魔に襲われ、お昼近くまで爆睡した。そして夕方のお店にオープンする時間に合わせて、昨日忘れてきたスマホを取りに居酒屋へ向かった。


スマホを手にした後、着信履歴の中に男の電話番号らしき物がある事を密かに期待するも、未登録の着信履歴は1件もなく、その代わり福ちゃんから3件来ているのが確認がとれた。

 

きっと、突然の雨を心配して何度もかけてくれたのだと思ったが、明日会社で電話に出れなかった事情を話すとして、今日は電話をするのは躊躇った。


勿論、見ず知らずの男性の家で朝方まで過ごした経緯など、変な誤解を生みそうなので内緒にしようと心に決めた。


あれから1週間が経ち、女の住む場所も桜が満開で、すっかり春めいた気候で周りはお花見を楽しんだりと陽気な雰囲気に包まれていたが、女の心は何故か晴れる事なかった。


この時期は、去年までなら元彼と近間へ旅行したりドライブをしたり楽しく過ごしていたが、今年はその相手もいなく、休日も専ら家で過ごすことが多かった。


そして、気持ちがふさぎ込んだもう一つの理由は、あれから一度たりとも男から電話が無かったことだ。


日が経てば経つほど、男の事が気になり、会いたくて仕方ない衝動にかられ、仕事も手につかない日もあり、そんな精神状態に業を煮やしたかのようにある一大決心をした。


それは思い切って、自分から男の元に会いに行くことだった。とは言っても、彼の住んでいる場所など知るすべもなく、何とか調べ当てられないだろうかと頭を悩ませたが何のヒントも思い浮かばなかった。


結局は縁がなかったものと諦めかけたその時、ある一つの手がかりらしき物が頭にひらめいた。


それは彼があの夜出してくれた、自分の故郷では有名だというご当地ラーメンなるカップラーメンだった。


確かに、最近よくスーパーの所々で、全国のご当地ラーメンといって沢山のカップ麺が陳列されているのをよく目にしていた。


女はカップラーメンはあまり食べなかったが、ラーメンは好きな方で、外のお店で食べる時は必ずと言っていいほど味噌ラーメンを注文することが多かった。


あの時食べたラーメンは少し口にしただけなので、それが塩なのか味噌なのか醤油、はたまた豚骨系だったのかよく覚えてはいないが、スープが今まで味わったことのない独特な風味だった事は何となく覚えていたが、それもあやふやで自信はなかった。


とにかく、変な先入観は捨てて、ご当地ラーメンとして売り出されている物は取り敢えず全部食べてみようと決め、まず最初に手に取ったのは、自らも好物で一番よく食べる味噌ラーメン系の5つのラーメンだった。


・・・つづく