鎌倉時代以降になると、
それまで漠然として信仰の存在となっていた温泉に対し、
医学的な活用がウェートを占め、実用的、実益的なものになり、
一遍らの僧侶の行う施浴などによって入浴が一般化した。
鎌倉中期の別府温泉には大友頼康によって温泉奉行が置かれ、
元寇の役の戦傷者が保養に来た記録が残っている。
さらに戦国時代の武田信玄や上杉謙信は特に
温泉の効能に目を付けていたといわれる。
江戸時代になると貝原益軒、後藤艮山、宇田川榕庵らにより
温泉療法に関する著書や温泉図鑑といった案内図が刊行されるなどして、
温泉は一般庶民にも親しまれるようになった。
この時代は一般庶民が入浴する雑湯と幕吏、代官、藩主が入浴する殿様湯、
かぎ湯が区別され、それぞれ「町人湯」「さむらい湯」などと呼ばれていた。
各藩では湯役所を作り、湯奉行、湯別当などを置き、湯税を司った。
温泉