獣医師の藤沢です
最近、よく飼い主様に、
『無麻酔で歯石除去ってやっていないですか?』
と聞かれます
最近、無麻酔で歯石を除去できる施設が
増えてきましたよね
当院では…
申し訳ないのですが
今のところやる予定はありません!!
全身麻酔の危険性を考えると、
無麻酔で歯石を除去するのって、
と~っても魅力的ですよね
飼い主様のご要望はよくわかるのです
でもね、
時にはその処置が、
大きな危険を伴うことがあることを、
みなさま、ご存知でしたか?
まず、なぜ歯科処置に麻酔をかけるのか
詳しくは
『日本小動物歯科研究会』という
獣医師の中でも歯科に精通した先生方の団体の
“無麻酔下歯石除去”というPDFを調べていただければ
よくわかるのですが、
ちょっと長くて難しいので
めちゃくちゃ簡単に言うと、
①私たちが本当に取りたい歯石は歯茎に隠れた
見えない歯石なんだ!
→無麻酔では痛くて取れない
②口の中には大きな血管があるぞ!
→無麻酔で動物が動くと大出血の恐れ
③目に見える部分の歯石を削っただけでは
表面が傷つき、凸凹になり、逆に歯石が付きやすくなるので
最後に表面を磨かなくてはいけない!(ポリッシングといいます)
→無麻酔での動物の不動化の限界は20分と言われているため、
ポリッシングに十分な時間をかけられないか、もしくはできない
④口の中の処置は、常に誤嚥の危険性があるぞ!
→麻酔時に気管チューブを挿入することにより、
誤嚥の危険性を最小限にできます
現段階で、無麻酔で歯石を完璧に治療できる
機材は開発されていないのが現状です
もちろん、そのような夢の機材があれば、
当院でも導入し、無麻酔で歯石除去を行う日が
来るかもしれません。でも、今は無理なんです
ある無麻酔下で歯石除去を行っている施設で、
本当に歯石がきれいになるのか、質問したことがあります
すると、
『さすがに歯の裏側まではきれいにできない』
『でも、(表の)見た目がきれいになるから、
飼い主さんの満足度は高いよ』
という、驚きの返答がありました
私たちは歯石除去を美容目的で行っているのではありません
歯周炎の治療、もしくはその予防を目的とした
医療行為として行っているのです
無麻酔で痛くて怖い処置をされた動物たちは、
その後の口に触れる行為を極端に恐れるようになり、
中には攻撃をする子もでてきてしまうかもしれません
意識のある動物にとって、恐怖と苦痛を与える処置なのです
飼い主の皆様が歯石除去の本当の意味を理解し、
麻酔をかけて除去する必要性を認識してくださることを
祈るばかりです。
もちろん、全身麻酔に関して、不安がある場合は
なんでもご相談ください
当院は、麻酔事故防止にも力をいれております
上福岡OZ動物病院HP