映画 ガンダム THE ORIGIN Ⅱ 哀しみのアルテイシア | アラサー、サッカー、オタク。

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どうか皆さん、温かい目でご覧下さい。

大人気コンテンツだからこそ、広げられる世界観があるのだというのをまざまざと
感じた作品でした。

※少しネタバレを含むので、以下ご覧になる際はご注意を。


皆さんは作品を見て、ご自身で描かれていないところを想像するのが
好きですか?それとも、作者に描いてほしいですか?

僕はどちらも価値がある事だと思いますが、特に後者の立場が強いです。

その理由は作品は基本的に誰か別の人が生み出したもの。生み出したものには
個性があって、その個性を通して他者の考え、その考えから生み出された
キャラクターの言動から刺激を受けられる、それが自分の人生を豊かなものに
してくれる、そう考えています。

今回のTHE ORIGINも根強いガンダムファンの期待に応える、濃厚な人間ドラマを
観られると期待していました。


シャア・アズナブルとセイラ・マス。

二人の兄弟を中心に展開される物語ですが、彼らがどういう経緯を経て、どんな
想いで、あの一年戦争をくぐり抜けたのか。

物語から想像できはしても、明確にはわからなかったものが、物語を通してひとつ
ひとつ明らかになり、腑に落ちていく瞬間ばかりでした。


例えば、二人の個性の違い。

兄のキャスバルが戦争の中でその才覚を発揮したのは、幼いながらに妹を守らねば
ならぬ、という優しさ、兄としての責任感からくるものだということがわかります。

一年戦争時、二人のやり取りから兄としての優しさは感じられますが、まさに命がけで
妹を守り抜いたキャスバルの優しさが変質し、また、愛する母を失った哀しみから
その才覚を復讐に向けたのだというのが痛いほどわかります。

また、そんな兄に守られながらも、妹だからわかる兄の苦しみを支え続けたアルテイシア
だからこそ、周囲の人を観察し、愛に溢れた人柄へと成長したのだとわかりました。

天真爛漫さを持ちつつも、兄を常に気にかけ、母への愛情を強く持ち続けた姿が描かれて
いますが、一年戦争の時に時に秩序を乱してまで自らの意思の元に行動した彼女の
芯の強さの根底が、こういった幼少期にあったことが、より明らかにされた気がします。


では、今回のTHE ORIGINが一つの作品としてどうか、という話に移ると、最終的に
どういう結果になるのか、わかっているからこそ、大賛成出来るわけではありません。

僕個人は一人のキャラクターを掘り下げ、その心の動きが、変化がわかる作品はとても
好きですし、それに応える声優さんの演技は素晴らしく、胸を打つものはもちろんあります。

しかし、これはいかにして復讐劇が行われたのか、という前日談なのだ、という考えが
どうしても拭えず、兄弟の哀しみに心を寄り添いながら、作品を強く愛することは
出来ません。

一つの作品としての素晴らしさを感じつつも、その世界にどっぷりとは浸れない。

以前のガンダムユニコーンを鑑賞していた時とは大きく違う点です。

間違いなく最後まで作品を見届けますが、きっと作品を購入して何度も見返す事は
しないでしょう。見終えた後に作品の哀しみに浸れる、そんな余裕が自分に生まれる
までは。


さて、本編の最後に気になる予告が流れました。

個人的には少しネガティブな印象のある今の流れから、ガンダムという作品がもっている
ポジティブな印象をもらえるような作品展開があれば、と願っています。