「歌うことが好きなら、続けていけば良いのに、引退とか言わないで。」
たくさんの人に言われました。たくさんのお言葉をいただきました。
昨年、9周年を迎えた11月16日のこと。
10周年を迎える節目に、全国区になってなかったら潔く歌手は廃業、もとの絵描きに戻る、そう発言したことに対して「それでいいの?」という意見を数多く頂戴しました。
多くの場合、歌が好きだから歌手になる。憧れて歌手になるもの。私だって、歌うことは好きです。ですが、ですが、ですが、好きではないんです、大勢の前で歌うことは。目立ちたがり屋ではまったくなくて。
今日まで人前で歌うことを続けて来たからわかるんです、どこかで私の歌は遠慮がある、と。なんというか、プレゼン力に欠けるというか、押しにかけるというか。
「私のようなものが歌ってスミマセン」
どこかで卑下しながらステージに立っている。それが、分かる人には分かると思う。伝わってるでしょう?
こういった負の要素が幸いし成功に結びつくケースもあると思いますが、私の場合は負の方に傾いてしまったままです。
51歳という高齢での歌手スタート。このことにもどこか照れがありました。人は年齢ではない、そう思っている私ですが、文化系から運動系に、インドアからアウトドアへ、180度のスイッチをしたことは「私のようなものがスミマセン的スパイラル」にさらに陥ってしまった。
こういう後ろ向きな考えは表には出さないように努めていた私ですが、身近な人にコソッと愚痴ることも度々でした。萎縮して歌う歌手、いかがなものでしょう。
ネガティブな考えが続きましたが、思考はポジティブではあるんですよ、こんな風変わりな歌手がいてもいいやん、私は私と。
<つづく>