プラダを着た悪魔 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


おっ着物美人!!
でも、なんか変! 足元が・・・!
こういうファッション、芸者さんの運動会ならまだしも、
ちょっと、普段には・・・。



着物にスニーカー、
こういう人ってけっこういる。
ある日、電車に乗っていたら、
ヴィトンのバックを持ってる人に目がいった。
全部で3人。全員がモノグラムの、あのタイプ。
ひとりは座っていた私の すぐ前に立っていた男子で、
年齢は20代の前半ってところかな、
スクエアタイプの手提げヴィトンを持ってた。
彼の服装は穴あきボロボロ・ジーンズに、
黒のタートルネック・セーター、
靴は黒いレザースニーカー、
ヘアスタイルは長髪で、ちょいとホスト風、
セーカクは軽っぽそうなカレなんだけど、余談ながら
読んでいる本は『1級建築』がどうのこうの。
本はともかく、ヴィトンの彼のコーディネートは
可笑しい。ヴィトンと 他のバランスが取れてない。
残り2名のヴィトン保持者の服装はどうかというと、
くっちゃくちゃに哀しい。いずれも女性で、
着ている洋服がヴィトンに釣り合うものではなく、
どうみてもワゴンの安モン、
さらに ふたりとも髪の毛がバッサバサ、痛みまくり。
あのぉ、ヴィトンを持つなら
髪の毛ぐらいはきちんと手入れしてください、
せめて清潔感ぐらいは持つべきです。
そもそも・・・ヴィトンを持つんだったら、
電車に乗るな! お抱えドライバーが運転する車で!
えっと~この「そもそもの話」は、
知り合いのフランス人の男性から以前 きいたことで、
彼いわく、ルイ・ヴィトンとは
とにかく超々々高級品なんだから、バックひとつでも
その価値相応のファッションと姿勢を示すべきっ!
だそうだ。電車&お抱えドライバー云々については
お国の事情が違うからまだしも、確かに私も
ヴィトンを持つなら本人も高級であれ、と思う。

ただし高級というのは、とにかくブランド物を身にまとえ
というのではなく、まず内面の話。
例にとったヴィトンにしても、
高級ブランドと呼ばれる由縁や
今日までの歴史をちょっとでも知っていたら、少なくとも
ボサボサ頭でヴィトンを持つなんて出来ないだろう。
きっと多くの人たちが人気ブランドだから、
オシャレなパリの製品だから、
ヴィトンを持ってれば まず間違いない、とかなんとか、
とかく安易な気持で手にしてるんじゃなかろうか。

などと言っている私も、
実のところブランド品に熱中したことがある。
エルメス、シャネル、ディオール、セリーヌ.......etc....
アクセサリーやら時計やらバックにスーツ、
けど、フランスに行ったとたん目が冷めた、浅はかだった、
私は高級ブランドに釣り合う人格がまだない、
ブランド品が持つ、芸術的な職人技に見合うだけの内面が
まるっきり私にはなく、たとえブランド品を持っても
高級品のオーラに呑まれてしまうのがオチだと思い知った。
かつて、6畳部屋の押し入れにコレクションしたブランド物は
全て友人たちに引き取られ、あれからというもの
高級ブランと呼ばれる海外製品とは
スッパリと縁を切ったし、デパートの1階とは
まるで遠いライフスタイルをしている私。

あれからずいぶん月日が流れたけれど、
今もなお海外ブランド品を手にすることなど出来ない、
まだまだ高級品を持てるだけの品位をもっていないから。

映画『プラダを着た悪魔』に出てきた若いヒロインが、
かつての私⋯、初めてのパリ旅行で
とんでもないカルチャーショックを受けた、
20代の頃の私の姿と重なった。
映画チケットをいただいたし市場調査でもしてみるか、
こんな軽い気持で観に行った本作だったのに、
意外にも けっこうな想いを たくさんくれた。


【あらすじ】 ローレン・ワイズバーガーの同名のベストセラー小説を映画化した、ハートウォーミングな女性映画。ゴージャスなファッション業界誌の舞台裏をコミカルにみせる。カリスマ編集長を貫禄たっぷりに演じたのは『クライシス・オブ・アメリカ』のメリル・ストリープ。助手役の『ブロークバック・マウンテン』のアン・ハサウェイと大物女優のやり取りもスリリングだ。続々と登場する一流ブランドのファッションや着こなしも必見。(シネマトゥデイ)

★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
ひさしぶりに観た“女の子映画”
力作とはいえないまでも、好感度は高い映画。

タイトルになっている悪魔は誰か? というと
メリル・ストリープ演じる鬼編集長でもあり、
彼女と対立して成長し、
大変身していくアン・ハサウェイでもある。
そう、女はみんな悪魔。
で、油断すると天使にもなるのだ。

テンポよく、最後まで痛快に駆け抜ける物語なので、
たいくつはしない、仕事をもっている人なら、
男女を問わず、共感できるものが きっとあるだろう。
「私生活が破綻しはじめると
 仕事が軌道に乗って来た証拠」
というふうな台詞があった。チクッと刺さる。

アン・ハサウェイが演じるのはジャーナリスト志望の
ファッションセンス・ゼロのダサイ女の子。
この子が ちょっとした間違いで、
オシャレ度ナンバーワン雑誌の
編集長の元で働くことになる。
最初は毛嫌いしていたオシャレ&ブランドだったが
いつしか目覚めた彼女は、オシャレの楽しみ方を覚える。
が、やがて自分の本当の進路と向き合ったとき、
彼女の中には葛藤が芽生える⋯さてどうなる?
これは私も通ってきた道
最後の彼女の選択には共感はする。が、
アン・ハサウェイが本来目指していた
ジャーナリズム界の素晴らしさと、
そっち方面での彼女の才能の豊かさ、
これをしっかり描くべきだった。

ブランド品の素晴らしさもを汲んでもよかった。
また、それらを雑誌で紹介することで、
どれだけ女の子にゆめを与えているのか、
プラダを身にまとうことで、どれだけ内面が豊かになるのか、
私の好みでいうなら、これらを描いてほしかった。
読者の顔や反応が出てもよかったのでは。

アン・ハサウェイが惹かれていく、
業界人のタレメのオッサン、彼の描き方がいけない。
彼がどのような仕事をしているのか、
いかに人の心を打つ名文を創るのか、
せめて才能の欠片ででも見せてくれたらよかった。
映画のあれでは、ただのエロ親父でっせ。
さらにアン・ハサウェイの彼にしても、
もう ちょっと性格がつかめるよう登場回数増やしてよ。

メリル・ストリープはさっすが~貫禄!
この映画は彼女の映画。

~新宿東亜興行にて観賞~






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