ユナイテッド93 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


フライング・ピース


・・・
この地球では いつもどこかで
朝が はじまっている。
(略)
経度から経度へ。
ぼくらは あさを リレーする。
そして いわば ぼくらは
交替で地球をまもる。

・・・・   「あさ」谷川俊太郎(部分)


谷川俊太郎さんの「あさ」という詩が好きだ。
「ぼくらは交替で地球をまもる」
という表現に慰められることが多く、
朝は地球番のための合図なのだ、と思う。

その「朝」だった、
2001年の9月11日、
ニューヨークにテロの惨事が起ったのは。
映画『ユナイテッド93』を観て、
「あの朝」の空が あんなにも晴れ渡った青色で、
あんなにも希望に満ちあふれていたことを、
阿呆なことに、私は5年過ぎてようやく知ったのだ。
あの朝のニューヨークの事件は、日本ではもうすぐ
一日が終わろうとする夜に勃発、
ニューヨークは、私たちが送った朝を
きちんと受けとめてくれた。なのに、
絶たれてしまった!!!!
あってはならない手段で。

映画を観て、さらに確信。
私たちは「9.11」の真相を、
まだ何も知らないと考えた方がいい、と。
なぜなら真相が報じられていないばかりか、
真相は検証されてもいないし、
真相を積極的に知ろうとしない、
私たちの無知にも責任があると思うから。

『ワールド・トレード・センター』を観た後すぐ、
本作を観た。悲惨で、残虐で、虚しい事の成り行きを
可能な限りドラマ性を排除し、
ドキュメントとして描いている。しかも きっちり
“ぶっちゅ政権批判”も盛り込まれている、
と私は感じた。

朝を輝くばかりの詩文に変えるのも人間ならば、
最悪の地獄絵の朝に変えるのも、人間。
どちらが素敵で、どちらが奈落か⋯?
分かり切ったこと。

税金を納めている立場の人間ならば、
機会をつくって しっかり観ておきたい映画。
「朝」のリレー、いえ、地球上の、
「自然のリレー」が途切れることのないように。



★★★★★★★ 7点満点で満点


ガタガタ震えながら観た。怖かった!!!!
あんなにも不安な想いで
映画館の椅子に座ったのは初めての経験だった。

「2001.9.11」でハイジャックされた4機の飛行機のうち、
計画を遂げることなく墜落した1機、
ユナイテッド93便の記録を軸に映画化。
結末はメディアでも報じられている通りなので、
ここに書いてしまっても差しつかえはないだろう、
ハイジャック犯を含めた乗客全員が死亡。
たまたま機に搭乗した乗客たちの生存願望も、
犯人たちが定めた狙いも
両方共に遂げられることはなかった虚しさ、悲劇。
この映画にヒーローは現れない。

生存者がいないわけだから、
飛行中の93便で起った出来事はすべて想像であり、
ドラマはここでのみ展開する。
なんとか生き抜けようと力を合わせて
ギリギリまで努力する姿は、
『ワールド・トレード・センター』でも
主題となっていた「希望」であり、
人類が次世代に伝えていくべき
最も大切なことではないか。

『ワールド・トレード・センター』と
ある意味 対になる本作。
2パターンの映画が公開されて本当によかった。
どちらか一方だけだと、誤解が生じやすい。
本作の主人公をあえてあげるとしたら、
真っ青の「朝の空」。

~新宿武蔵野館にて観賞~






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