ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

ギター

the guitar


ジョニー・キャッシュという
1950年代にアメリカで大人気だったミュージシャンを
私はまったく知らない。
知らない方が、実在の人物を描いた映画を観る場合、
変な邪心や予備知識を待たず素の状態で観られるし、
しかも似てる似てないという
ソックリ度の方に うつつをぬかさずにすむから
映画を純粋に楽しめて良いのかもしれない。
というか、なんの予備知識も持たずに
本作を観た私、映画の途中で、
この話は実話か⋯? それともフィクション?
とオタオタしながら観てしまった、
それが良いのかどうか、ここでは棚上げするとして、
映画を観終わった後、
映画館の売店を覗いてようやく気付いた、
どうやらジョニー・キャッシュという人は
あのプレスリーと人気を二分した大スターであり、
アメリカではロカビリーの旗手として、
彼の足跡は神話となっているらしい。が、
日本ではあまり知られていないヒト。

映画は、この未知なるスターの生い立ちと成功、
堕落と再生、そして結論として、
運命の女神的女性との恋愛を用意している。
なんとジョニー・キャッシュは、
ジューンという運命の女性に
40回もフラれているとか。~な~んて書くと、
サエナイ男のコメディー映画に思えてしまうけど、
いえいいえ、まったくそうではなく、
反骨精神を剥き出しにした男の、
こころの葛藤と「本当の勝者とは何者か」を
追求した一本。

ジョニー・キャッシュは
多くのスターがそうであるように、
劣等感の塊として、その活動をスタート。
両親との不仲、妻との距離、
あげくのはてに お決まりのヤク中となって
スターの座から転落してしまう。

映画はジョニー・キャッシュの軌跡を
彼の歌とライブツアーの様子を交えながら、
着々と綴っていく、けれど何か⋯
何か ひと山足りない、観ていてそう思ったのは、
アーティストとしてのギリギリの孤独感や、
神経をすり減らすような際どさを
私が感じなかったため、だと思う。
映画全体としては、
単なる「伝記物」におさまらず、
反骨心をあおってくれてもいるのだけど、
残念なことに魂を揺さぶられることなく、
「ふつうの感動」で終わってしまった。


★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
実在のアーティスト、ジョニー・キャッシュを演じた
ホアキン・フェニックスはいい。
『ホテル・ルワンダ』で観た優柔記者とは
まったく違った容姿と演技で、
最初は彼と気付かなかったほどのカメレオン。
刑務所でのライブは圧巻!!
臨場感たっぷりに魅せてくれる。
歌もホアキン自身が猛特訓のうえで歌っているというから、
そうとうの精神研摩だと思われる。
けど、このキャラ、私は まるで好きじゃない。
ラテンの魂が好きで、
ロカビリーが苦手なせいもあるけど、
ホアキンの顔が濃すぎ。
(安岡力也さんに見えてしかたなかった⋯)
もうちょっとアングルで引くか、
ライト落として撮って。

運命の女性を演じたリース・ウィザースプーン、
歌唱を含む彼女の存在は
明朗でアメリカンに楽しく、
ホアキンとのライブは見応え十分。





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