フォロン展2 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

like a Foron
I'm 5*SEASON


御成門のメトロクスで開催中の
フォロン展で面白かったのは、
フォロンが初来日したときの雑誌記事。
それは1970年、大阪万博のこと、
初めてフォロンは日本の土を踏まれた。

私も行った大阪万博、
世界の国からこんにちは!
雑誌記事によると、なんとベルギー館では
フォロンのアニメーションが放映されていた!
し、知らなかったっ! 見たかった!
見たかったけど、どうやらフォロンの弁によると、
「あのアニメーションは最悪。
 色の発色が悪すぎる!」
とのこと、ずいぶんご立腹であらっしゃった。
しかし、フォロンは
この時の来日をずいぶん楽しまれたそうで、
とりわけ、わが故郷・京都での滞在は
その後のフォロンの作風に
大きな影響を与えることに。

たとえば、暗号のような印鑑。
たとえば、たんぽぽのような耳かき。
たとえば、そこかしこの店先で並んでいる茶碗や
ざるや、かごや、竹ぼうき。
そして、京料理こそがアートであると。

京都。その街並はヨーロッパにはない完成度、
生活そのものに美的感覚にあふれている。
            by フォロン


浮世絵のように端的に描かれるフォロンの作品の中で
ときどき漢字を使っているものがある。
それらは印鑑。
初来日の折に日本で作ったらしく、
「目」や「口(くち)」などの一文字を
人の顔の、相応の場所に朱肉で押してあり、
そのせいか作品に無国籍な広がりが感じられ、
私の好きな作品群となっている。
それらの作品の、ルーツとなった京都の旅を
当時の雑誌は 多くの写真で紹介していて、
まるで、友人から
学生時代のアルバムを見せてもらったような、
みょうに華やいだ気持になった。
しかも写真で見る若き日のフォロンは
なかなかにいい男であった。

けれど残念なことに、
フォロンが初来日のときに見た憧れの京都は、
今はもうない。京都も進化してしまった。
ちなみに、フォロンの作品に
よく登場するモチーフに「矢印」があって
これも日本で発見されたようだ。

ふたたびフォロンの弁、
「日本の道路には
 あらゆる方向を指し示した矢印が氾濫している」。




●ジャン・ミッシェル・フォロン
●フォロン展開催中のメトロクス東京