![ウサシ](https://stat.ameba.jp/user_images/8b/0b/10002758044_s.jpg?caw=800)
『f』ではいつも決まってジンジャーエールを飲む。あたしの前には だまっていてもジンジャーエールがやってくる。だからあの日も何の疑いもなく、目の前に置かれた細長いグラスを口にした。帰る頃、なんだかポッポッポッと身体の芯が、気泡でも弾けるような感じに明るいので、「今日のは とびっきりジンジャーエールが美味しいね」と店主に言うと、なんとそれはジンジャーエールではなかった。
シャンディーガフ。
少しのビールをジンジャーエールで満たした軽いカクテル。
あたしはそれをジンジャーエールだと信じて飲み干した。
お酒を飲むと目が真っ赤になってしまうあたしは、
滅多なことでは飲まないのだけれど。
あの日、『f』のドアを開けたとき
やりたいことが うまくいかないイライラのせいで
すでに目は真っ赤っか。それが、
帰る頃にはスッキリ澄んでいたのは、
喫茶店のメニューにはないはずの、
黙って出されたシャンディーガフという妙薬のせいだと、
ある初冬の朝、ウサ氏は私のところへ
少し長いメールくれた。
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