ケロ氏のカプチーノの話 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

ケロシ『f』という喫茶店の脇に自転車を止める。

足元に目を落とすと、店の壁には三つ穴の丸い形のコンセントがあり、そいつがいつもいつも話しかけてくる。
「おっ! また来たのか」
ヤツはムンクの『叫び』と同じ表情をしてる。口を縦長に開け、驚いて、そんなことを言っている⋯ように見える。いつもいつも。

美味しいカプチーノが飲みたくて
『f』へ行くようになって数カ月。
あそこのドアを開けるようになってからというもの、
そこら中のものが“顔”に見える。
自動販売機の横にあるゴミ箱、
胚芽入りパン、立てかけたモップ、自転車のベル。
みんなみんな、じっと、こっちを見てる。

もしかしたら『f』のカプチーノの効能かもしれない。
いつも何かに見られているような、
そんな気配を感じるようになったのは、と
或る よく晴れた日の夕暮れ、
ケロ氏はそんな電話を私にくれた。


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