Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス? |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

リチャード


世界でいちばん、

赤いバラと蝶ネクタイが似合うのは

間違いなく あんただよ

ギアさんよ~


いわずと知れた周防監督の手による名作のリメイク。
日本だけにとどまらず世界各国でヒットした
『Shall we ダンス?』のハリウッド版。
日本人にとって異質な文化である「社交ダンス」という別世界が、
周防版では 滑稽で涙ぐましく、多くの感動を誘さそったわけで、
それが社交的な人が多数で、ダンスも奇異ではないハリウッドで、
どういうふうにアレンジされ、どう描かれるのかと、
かなり興味深く、そして楽しみに観てきたわけです。

結果。
周防オリジナル版にかなり忠実に作った結果、
すごーく無国籍なラブコメディーに仕上がってた。
特に後半は、ラブコメディーの決定版、
原作の『Shall we~』とは 別物です。
ズンズズズズズン♪ ズズズズズン♪ プリティーウーマン♪
なんて、ギア主役のラブコメ王者でお手本の
『プリティーウーマン』の主題歌が頭の中で流れたほど。
ギアってば ほんま! ぴったんこ!
女心をくすぐる うすい唇のゴールデンスマイル!
以前、男の友だちに、
「リチャード・ギアって女の人にはどうなの?
 男には複雑な役者なんだけど」
と、きかれたけれど答に困る。
「うーん、嫌いではない」
と、言葉を濁して逃げてしまった。いやほんま、不思議、
ギアは全然タイプではない、のにヤツを許してしまう。 なぜ?

我ながらアホかと思うのだが、
この映画でもサメザメと涙した あたし。
いったい どこの場面かというと、
それはたくさんありすぎて (たくさんあるのかいっ!) 迷うけど、
特に、ギアが通勤電車の窓から、ダンス教室を見上げるところ。
そこには物憂げな美しい人、
ジェニファー・ロペスが窓辺に たたずんでいて、
それに焦がれてしまうギアは、まるで
空を飛びたがっている一羽の鳥のようで、
それが「満たされない理想」を求めるロマンチスト人間に映り、
ホロリ、あまりに美しく泣けてくる、だから、ときおり、
頭上の月を見て 和んでいるような人はハンカチのご用意を。

あたしが先に、無国籍という言葉を使ったけれど、
その例を 少しあげておくと、まず、
主人公のギアのおくさんが、日本人的で奥ゆかしいこと。
周防版との一番の違いが専業主婦ではなく、
職業をもっていることだけど、夫に浮気疑惑をかけていながら、
追求しないところは、アメリカ人っぽくない。
また、裕福な弁護士が電車通勤というのも、
何だか変わってる、シカゴだとマイカー通勤というイメージ。
それにダンス教室へ集まる濃いキャラ「渡辺えり子おばさん」と
「竹中直人おじさん」などは、日本人には変な人に映るけど、
ああいう人、アメリカじゃぁ普通にいるはずで、
それをイジメたり けなしたり‥‥は違うような気がする、
アメリカ人には、ハリウッド版『Shall we~』は
どこか遠い国のお話として捉えた人だけが楽しめたのでは、
と あたしは勝手に想像する。

あと、決定的に周防オリジナル版と違うところは、
ラストで奥さんが強く からんでくるところ。
これは「家庭問題」を無視できない
アメリカ事情からくるハッピーエンドだろうか。
周防版で役所広司さんが演じたプラトニックな淡い恋は、
最後のラストダンスでクライマックスを迎えるけど、
ハリウッド版では軽やかに終わってしまう。
といっても周防オリジナル版を観たとき、あたしは
「妻と一緒のエンディング」を切望していたのに、
いざ、それがハリウッドで実現されてしまうと、
いかに あたしがアメリカナイズされていたのか、
ということを思い知らされた。さらにラストは、
ハリウッド版はクドクドと結末を描きすぎ。
各人の「その後」は 少々 くどかった。

ともかく、デートや女の子同士で観るには、最適な一本。
夕方に観たとして、その後の夕食の会話が弾むでしょう。
物語の舞台となっているシカゴの風景が、
とーってもきれいに撮れてるし、
ダンスシーンも明暗を上手に使っていて美しい。ただ、
ギアとジャニファ-・ロペスの「二人っきりの濃いダンス」は
映画の見せ場にしようと組まれていて、
確かに盛り上がりなんだろうけど、あたし的には
「そんな獣みたいになられても‥‥」
と引いてしまって唖然‥‥で、失笑。
おそらく、日本以外の舞踏って「性の誘惑」だから、
限りなく日本人のあたしは冷めてしまう。
オリジナルの周防版でのダンスの表現は
あくまでも「おくゆかしい日本人の社交」の粋だったし、
草刈民代さん演じるヒロインも「つっけんどん」ではあっても、
お色気ムンムンではなく、清楚でスレンダー。
やはりアメリカ、主張がものを云う国のダンスとなると、
肉感的で、性的なダンスになるのだろう。

★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
ハリウッド版『Shall we Dance?』を観たことで、
周防オリジナル版『Shall we ダンス?』が、いかに素晴らしく、
いかに日本において異質なエンターテイメントだったか、
よくよく理解できた。いろんな意味でおもしろい1本です。

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相方・でこへ絶叫するコーナー
でことよーーーーーーー!
はよ、病の激沈から立ち直れ~~!
今度はとうとう痔か、突っ込みすぎの突き指か、
それともギクッと ぎっくり腰か?
猛犬が消えると、みんな淋しがってるでー。

●今年になって「毎月1病」を厳守している
気の毒な相方・でこのブログ