夜。夫婦の いとなみが終わったとき、
島の各家から もも色吐息が立ち上る。
多くを望まむ島民たちよ、
ボンボンバカボンバカボンボン
これでいいのだ！
ほらもう、また「あ行の映画」。
なんで、こんなにも あたしは
「あ行」を えこひいきするのか。
今年一年、ちょっと徹底分析してみよう。
・・・どうでもええことやねんけど。
オッサン讃歌2作目の『大いなる休暇』は
先に観た『何でもツッカー』と ほぼ同じ設定。
舞台背景がカナダの小さな島に移っただけ。
“身の丈にあった幸せ”だけを求め、
「もっともっと」と、より多くのお金や
地位も名声にも目もくれない。かつての海の男たちが
人間としての尊厳を 少しずつ取り戻していく姿を、
静かに ほのぼのと描いた物語。
『何でもツッカー』の背景は都会、
こちらカナダは小さな島。場所は違えど
描こうとしているのは「個人の尊厳」。
テーマは同じだけど、都会と田舎で絶対的に違うのは
近所付き合いの差。2作品の違いはここ。
尊厳を取り戻す行程が一方が個人プレイなのに対し、
他方はチームプレイ。野球とサッカーの違いに似てる。
だから人口の少ない田舎、特に『大いなる休暇』のような
島という限定された土地で暮らすためには、
家単位の 横のつながりなしに地元の安定は有り得ない。
ここが田舎の魅力であり、煩わしいところでもあるが、
間違いなく「魅力ある方」に傾けば幸せということになる、
この映画では、はて？
物語を ほんの少し書いておくと、
かつて漁業で栄えたカナダの小さな島。
が、今や過去の栄光は みる影もなく、
仕事はなくなり、覇気もなくなり、
すっかり過疎の孤島となりはてた。島民のほとんどは、
行政から支給される「失業手当て」を受け取ることで、
ようやく日々の暮らしを立てていた。
そんな貧しい島に あるとき、
某企業の工場誘致の話が持ち上がった。
工場が建てば、失業にあえぐ島民の職は確保できる、
きっと夜の夫婦の いとなみも心置きなく‥‥。
工場建設する必須条件として企業があげた中に、
「医者がいること」という項目があった。
島は永らく無医村だったが、
ひょんなことから島へ来るハメになった若き医師を、
どうにかして常任医師として招き入れようと、
あの手この手を使って大芝居をうつ。
島民たちは 島の安泰のために一致団結、
若き医師が「名もなき島」に恋するよう、
実に涙ぐましい努力をする。その結果、
都会の生活に疲れていた若き医師は、
島民が仕掛けた罠にハマっていくが‥‥。
光を上手に取り込んだ島と海の鮮やかな映像が
何にもまして感動をくれる。
島の むさ苦しいオッサンたちの
涙ぐましくもアホ臭い大芝居が
「落語」のように、くすっと笑えてくる。
オッサンたちがウソとはいえ、
若き医師に「天国の島」を演じて魅せるうち、
だんだんに男としての誇りを取り戻していく、
あたしゃ これは『オッサン版アメリ』だと思った。
ウソはいけないが、
人を幸せにするウソもある。『何でもツッカー』も同じように
ウソをつくうち、自己の内面と回りの人間が変わっていった。
だとすると、ウソは最後まで つきとおすか、
“バレどき”が大事ということになる。
この映画の“バレどき”はというと、
人間の幸福とは こういうものだと具体的に示してくれる。
心を裸にして ぶつかってくれる相手がいるか、どうか。
この部分にはホロリ、胸を打たれ、
良い余韻に浸りながら映画館を出たのであった。
が、ウソの“バレどき”が片手落ちというか、
オッサンたちの視点でしか語られない点に不満が残る。
あと、映画に出てくる人が皆、
「いい人ばかり」という点も ヘソ曲がりな あたしには
優等生過ぎて、やや物足りない。でも、それは これより先に
『何でもツッカー』を観たせいかもしれない。
観た順が逆だったら、どうだったか。
★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
島にあるパソコンは一台だけ、大型テレビも一台切り、
レストランだって一軒しかない。
最新のものなんて皆無だけれど、
物にまみれた都会では見えないものが、
島では実によく見える。
これは都会に住む人間が観るべき映画。
…にしても、淡々と進んでいた物語が
結末になって、これは こうだとハッキリ描く。
実にハリウッド的だけど、
それって大陸気質なのだろうか。
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相方へのつっこみ本日分
「今日のでこ米」はダブルにしてみましたー！
どうや？ すごいやろ？ あたしの職人芸！
でこが描いた「米絵」、ほんまにあるのぉ？
カメラに拒否られるなんて、『大いなるウソ』と違うかぁ？
【ちゅーい！】今週末からアメブロさんが
大規模なシステム・メンテナンスに入られるそうじゃ。
それまでに めいっぱい吠えておくのじゃ。
前のようにイカれたメンテになって、
怒りのナイアガラにだけはならんよう、祈っとこ。
●どうやら水虫の疑いも出て来た
コマ犬の相方・でこのブログ