ストレンジアンティーク 3
「遅かったな。グリム。」
「すいません。少々手こずってしまいました。」
「あれは、手に入れたか?」
「はい。こちらに。」
粗末な袋の中から取り出す。
「まさに。これは吐息。なんと轟々たる形よ。あとは血か・・・。」
「その血なんですが、少々厄介なとこにあることが分かりました。」
「厄介と?」
「はい。ルシファーが持っているとの情報が・・・。」
「その名を聞くと虫唾が走るわ。」
「まったくです。早速、回収に向かいます。」
「まてグリム。これをもっていけ。」
「これは?」
「奇跡を模したモノだ。粗悪品だが十分使える。」
[8月2日]
「お早う御座います。」
ボサボサの頭で階段を下りるとテンがいつものように掃除をしていた。
「おはよう。」
そのまま顔を洗いに行く。後ろからテンの声がした。
「昨日の話は受けるとお考えですか?」
顔をタオルで拭きながら答える。
「面倒はごめんだが、今回ばかりは受けようと考えてる。」
「盗まれたのは吐息だと聞きましたが。」
「ああ。吐息で間違いない。模倣品ではなく、本物だ。」
「では、目的は・・・。」
「間違いなく目的は”血”だな。たぶんだが、ここにあるということもすでに知っているだろう。」
からんからん。ドアの入り口が開いた。
「お早う御座います。」
元気な声がした。テンがドアの方へ急いで向かった。
「では、今日からよろしくお願いします。」
「あの、私は何をしたらいいのでしょうか?」
「とりあえずは、掃除をお願いいます。」
俺は、いつもの椅子に座り、新聞を広げた。
「今日からよろしくお願いします。」
蓮が挨拶をしてきた。元気に振舞っているが、緊張していると感じた。
「ま、気楽にやってくれ。お客はあまり来ないがな。」あはは。と笑って答えた。
新聞に一通り目を通すが、これといったことは乗っていなかった。
「どうぞ。時間が無かったのでティーパックですいません。」
テンは紅茶をテーブルにおいて蓮の掃除の仕方を教えにいってしまった。
まったく。テンは女の子に弱いな・・・。
紅茶を飲みながら、考える。
吐息を盗んだということは、間違いなく目的は”血”だ。近いうちに”血”を奪いくると考えるべきだろう。
しかし、今、ここに太刀打ちできる武器が無い。どうするか・・・。
「テン。少し、出かけてくる。」
「どちらへ?」
「なに、ちょっと飲みにね。」
実家に・・・
やっぱり実家いいねー。だって作らなくてもご飯が出てくるんだもの。まぁご飯は別として・・・・
親と話すのはやっぱり良いものだなぁ。友達とはどこか違う会話・・・たまに話すからできる会話。
一人暮らし始めてから親との関係が変わった気がする。
もちろん良い意味で('-^*)
ストレンジアンティーク 2
[8月1日]
蝉の鳴き声がうるさい。この声だけは好きになれない。
「暑いな~。」
思わず出てしまう一言。もう何度つぶやいただろう。
「蓮は、いいじゃない~。これから家でクーラーつけてごろごろでしょ?」
「そうだけど、未苑はバイト?」
「うんバイト~。この夏は稼いでおかないと、卒業旅行けなくなっちゃう。」
卒業旅行。高校生活の最後を締めくくる大きなイベントだ。高校の行事ではなく生徒達が決めた旅行だそうだ。もちろん私も誘われている。
「卒業旅行か~。行きたいけど、めんどくさいな~。」
「めんどくさいて・・・蓮そればっかだよね~。」
「そう?」
「めんどくさいが口癖みたいなもんじゃない~」
私は、気づけばめんどくさいの一言をつけるらしい。私自身きにしたことなかったし、私自身めんどくさがりだとは思ったことはない。
「ま、蓮もバイトでもして、お金ためておきなよ~。たくさん買い物するんだから。」
にこにこして、未苑が笑う。未苑、高校に入って初めて友達になった女の子。最初は暗そうな雰囲気な子だったけど、今ではクラス1,2を争う明るさ。3年間同じクラスだったことと家が近いということで、今では、ほとんどつるんでいる。
「私もバイトでもするかな~。」
「私のとこ紹介しようか?」
「未苑ってコンビニでしょ?」
「うん。今、人手不足だって、オーナー言ってたから、すぐに入れるよ~。」
「ありがと。でも、人が多いとこ苦手だから遠慮するよ~」
昔から、人が多いとこが苦手だ。わざわざ、在学生が少ない高校を選んで来たほどだ。
「そっか、気が変わったら声かけてよ。いつでもOKだからさ。」
未苑はとてもいい子だと思う。とても明るくて、人当たりもいい。八方美人ってこんな感じなのかなぁと思う。
「じゃ、私はここで~。」
大きく手を振りながら別れる。またね~。と手を振りかえした。
バイト。今までやったこと無かった。別にお金に困ってるわけではないし、親からやれと言われた訳でもないし、そこまで興味がなかった。
「暑いな~。」
またつぶやいてしまう。言っても涼しくはならないのは分かってる。
あれ、こんなとこにこんな店あったかな・・・。
喫茶店のような雰囲気の、ちょっと変わったアンティークショップ。
「でぃおん?」
古ぼけた感じの看板にはD-onと書かれていた。中を見た感じ流行っているようには見えなかった。
こういうとこならバイトできるかな~。人もいなさそうだし。
よし、言ってみるだけいってみるか。
からんからん。ドアを開けた。
中は、薄暗く、木の匂いと紅茶の甘い香りがした。
定員らしき2人がいた。とても綺麗な女性と、髪の毛がボサボサの男性。カップルじゃないなと一瞬で感じた。
男性はめんどくさそうに目をそらした。
「すいません。ここってバイト募集してませんか?」
思わず綺麗な女性に声かけていた。
「はい。大丈夫ですよ。お名前は?」
「来栖 蓮です。」
「いいお名前ですね。」綺麗な女性は微笑みながら返してくれる。
ボサボサの男性がめんどくさそうに店をでていってしまう。
嫌われたのだろか。とっつきにくい人だなぁと感じた。
綺麗な女性は、嫌な顔せずに男性を送り出す。彼女は彼にもともと興味がないのかもしれない。
「こちらにどうぞ。」
彼女はテーブルを片付け、椅子をさしだしてくれた。
「あ、すいません。」
ぺこぺこ頭をさげながら椅子に座った。
とても古そうな物が所狭しとならべてある。どんなお店なのかもしらずに入ってきたのはまずかったかな。
「採用です。」
「え?」
変な声をだしてしまった。採用の言葉の意味は分かったけど、突然すぎておどろいた。
「採用です。」
綺麗な女性は、微笑みながら見つめる。思わず目をそらしてしまう。彼女の瞳はとても綺麗で純粋で。
「有難うございます。」
「では、明日から大丈夫ですか?」
「大丈夫です。」
「では、明日にやることはいいますので。明日お待ちしておりますね。」
彼女のなすがままに話が進み。約束を交わして店をでた。
「暑いな~。」
バイトがんばろう。
相変わらずうるさい蝉が鳴いていた。