金融庁は4月23日、IFRS(国際財務報告基準)についての17の質問とそれに対する回答を集めた「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」と題する文書を公表した。


http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100423-2/01.pdf



この中では、「全般的事項」として11項目、「個別的事項」として6項目が挙げられている。


どれも「確かに的を得てるな~」と思うものもあるものの、これだけの説明では、逆に誤解を招きかねない点もあるため、注意が必要である。


以下では特に個人的に気になる点について述べていきたい。


1.はじめに


IFRSへの考え方であるが、確かに2015年3月期もしくは2016年3月期での強制適用が検討されているが、


企業ではこの強制適用に向けて「やむを得ず」対応するのではなく、戦略的に利用することが必要である。


IFRSの導入時には、確かに社内でのノウハウの蓄積や必要に応じた外部リソースの取得等のコストがかかることも必要であるが、以下のようなメリットもあることを忘れてはならない。


・海外企業との取引のドアオープンツール

 →海外企業には、新規取引時においてIFRSベースでの情報を求めるケースが少なくない。


・国際的な資金調達の可能性


・J-SOXで達成できなかった業務の見直し

 

→J-SOXで制度対応だけのためにあわてて文書化に取り組んだ企業においては、非効率業務の見直しは、行われなかったケースがあるのではなかろうか。その場合は、IFRS対応で必要となる業務見直しの過程で、再度業務を見直すことが可能となる。


・海外子会社業務のさらなる透明化

→IFRS導入に際して海外子会社との会計基準の統一化が要求され、その過程でより海外子会社の業務への理解の深度等について充実化を図ることができる。


IFRS適用はどうしても将来的な強制適用がうたわれていることから、「やむを得ず対応」というのが多くの企業の本音であると考えられるが、会計自体があくまで企業の財政状態、経営成績をあらわすための「ツール」であり、



利用次第では「武器」ともなり得るものである。




そのため、IFRSというツールに振り回されるのではなく、どのような目的でIFRSへの対応を行うかについて常に頭に置きながら、対応を行い、IFRSを利用してあげることが必要である。



上場企業の間ではJ-SOXと同様に「また制度対応か・・・。」と正直うんざりされているところもあるかと思うが、IFRS対応をどのように利用するかが成功のカギと考えられる。



続きは次回でまた!!




本ブログでの意見はあくまで私見であります。


仕事が終わったー!!!! けど23時45分までバスがなく、バス待ちの間にブログを書いてます。


ご無沙汰です。


3月決算の繁忙期でブログ、twitterの更新がてんでおっくうになっているko-andyです。



今回は、IFRSにおける有形固定資産の取扱についてです。



経理の実務等をされたことがある方はご存じかと思いますが、日本における有形固定資産の


取扱は基本的には法人税法の実務に基づいて行っており、日本公認会計士協会においても


この取扱を事実上容認しているような状況です(減価償却についてのみですが・・・)。


http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_2.html


そのため、こと細かに規定されている税法の取扱に基づいて処理されていればOKという


ある意味「楽」な状況でした。


しかし、IFRSでこのような実務を行うともちろん


そうアウトグッド!です。


今回からの数回シリーズで日本とIFRSの違い、そして実務上のインパクトについて私見を


述べたいと思います。


有形固定資産の実務は大きく分けて以下のような段階に分かれると考えられます。


・取得(何を固定資産計上するか、どのような単位で、いくらで計上するか)←今回説明


・減価償却(何年で償却するか、定額法か定率法か等)


・処分(除却、売却)←ここはあまり日本基準と差がない


・期末の評価(減損損失を計上すべき事象がないか等)



今回は「取得」の部分について説明します。



①何を有形固定資産として計上するか

 

日本基準では、法人税法の規定によりいくらのもの、どのようなものを計上するかは明確となっています。


法人税法では、減価償却資産のうち、有形固定資産については、建物、建物附属設備、構築物、船舶・・・・etc


と計上すべきものが定められており、上記のうち、少額の減価償却資産(10万円未満)の損金算入が認められて


おり、20万円未満の減価償却資産については、「一括償却資産」として3年間での損金算入が認められていま


す。


これに対してIFRSでは以下のように抽象的な表現となっており、どのようなものを有形固定資産の


対象とするのか


日本基準のような細目は定められていません。正直「なんでも当てはまんじゃん!!」という感じです。


(IAS16号7)

 ・資産項目に関連する将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高い

 ・企業が当該項目の取得原価を信頼性を持って測定できる


上記では、特に日本の税法のように1年以上の使用可能性について規定していませんが、同基準書の8号


において「一会計期間を超えて使用すると予測される主要交換部品及び~(中略)~は、有形固定資産の


規準を満たす」との記載があるため、上記のほか一会計期間超の使用可能性が有形固定資産の計上要件


として検討されるものと考えられます。



では実務上考えられる対応としてはどのようなことが考えられるでしょうか。



実務上はある一定の金額的重要性を社内規定として持ち、一定額以上の金額のもので1年超使用する資産に


ついて有形固定資産計上を検討するということが考えられます。



②有形固定資産をいくらで計上するか


通常の取得で減価償却資産を取得した場合、法人税法上では以下のようなものを取得価額とすることとなっている。

  a.購入代価

  b.引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等


また、以下のものについては、取得価額に算入しないことができるとしています。


  a.次の租税公課

   ・不動産取得税又は自動車取得税

   ・特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの

   ・新増設に係る事業所税

   ・登録免許税その他登記、登録費用

  b.建物等の計画変更に伴い不要となったものに対する費用

  c.キャンセルした固定資産取得の契約に対する違約金

  d.取得のための借入利子

  e.割賦販売契約の割賦期間の利息及び回収費用


値引、割戻については、一定の金額の範囲内で控除できると規定されています。



これに対し、IAS16号では、


  a.値引及び割戻控除後の購入価格(輸入関税及び還付されない取得税を含む)

  b.当該資産の設置費用、ならびに経営者が意図した方法で稼働可能にするための直接付随費用

    (例)

     ・建設及び取得により直接生じる従業員給付費用

     ・整地費用

     ・当初搬入及び取扱費用

     ・据付及び組立費用

     ・試運転費用(見本品の販売がその間にあればそれを控除)

     ・専門家報酬

  c.資産の解体、除去費用、原状回復費等


 またIAS16号では、取得価額に算入しない費用として以下の項目を挙げている。

  a.新しい施設の開設費用

  b.新製品、サービスの導入費用(宣伝、プロモーション活動含む)

  c.新たな場所で新たな顧客層向けに事業を行う費用

  d.管理費及び一般管理費


上記からIFRSとの差異がある以下の項目につき、留意が必要である。


・不動産取得税、自動車取得税につき、TAXメリットを得るため損金計上している場合は、

 IFRS導入に際して、資産計上が要求されます。


・登記等に際して専門家の利用を行っている場合で、当該報酬を損金計上している場合は、

 資産計上が要求されます。従業員給付についても当該資産の取得に個別に紐付く費用が

 あれば算入が必要となります。


・割賦の利息につき、資産計上している場合は、IFRSでは金融費用であるため、費用計上が必要です。


・資産の試運転を行った際に見本品の販売を行った場合は取得価額からの控除が必要です。


・看板等広告目的に取得した固定資産は広告宣伝費等の科目で費用計上する必要があります。



上記のように取得価額の測定に際しては、日本基準とIFRSとで大きく差異があります。現状有形固定資産


の取得に際して、税法に基づく細かい社内規程を保有し、それに基づき取得価額を測定している場合は、


上記を加味して、規程の見直しが必要です。


広告宣伝用看板を多く保有している会社は非常に大きな影響があるため留意が必要です。



③有形固定資産の認識の単位 


有形固定資産の認識の際に必要なもう一つの要素として認識の単位という考え方が必要です。


よく航空機の事例が出されますが、機体ひとつをとっても座席、エンジン等があり、それぞれ交換期間が


異なります。


認識を行う際は、認識可能な範囲内で単位を細分化する必要があります。


製造業でラインを3年間に1度オーバーホールし、ほとんどの部品を取り換えるような会社は当該部品部分


を分割し、交換期間の3年間で償却する必要があります。



(総括)

上記のように有形固定資産取得のひとつをとっても非常に影響があります。


有形固定資産の場合最初を間違うとその後影響が当該資産の償却期間にわたって継続していきます。


有形固定資産の取得件数が多い企業等は十分に注意が必要であり、決算だけで日本基準→IFRSへの修正


対応をするのは非常に困難であり、日常業務の一部の修正が必要と考えられます。



※当ブログでコメントしている意見については、あくまで私見でありますので、情報を利用する際は十分に

ご留意ください。


  


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一時期よりはおさまったものの、新聞紙上、ビジネス雑誌において「IFRS(国際財務報告基準)」という文字が盛んに取り上げられています。これを受けての各上場会社での2015年もしくは2016年3月期のIFRS強制適用に向けての動きが徐々に出てきています。そんな中、話題に上がったのが海外子会社のIFRS適用についてです。一部のクライアントからは「うちはもう対応が終わっているのでは?」という声もあるため、ここで個人的な私見を述べたいと思います。


私が在籍している事務所のクライアントには海外子会社を持っている会社も多く、2009年3月期決算で話題になったのが、「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱」(企業会計基準委員会実務対応報告第18号)です。この基準の適用により、各社では現地基準を多くの会社の場合、IFRSに修正する手続きをおこなったことと思われます。

そのため、一部ではここで「対応が終わった」という認識をしているケースがあります。しかしながら、以下のような影響が残っていることから注意が必要と考えられます。


①決算日の統一化そしてそこから派生する決算早期化等の影響

 IFRSでは連結財務諸表作成に際し、子会社を連結するに当たっては、「実務上不可能な場合」を除き、親会社の決算日現在の財務諸表を連結することとなっています。この「実務上不可能な場合」の定義はないものの、仮決算を組んで対応しているケースもあることから、多くの場合は不可能とはいえない状況であるため、事実上決算期が異なる子会社を連結する場合は、IFRS対応のために仮決算が必要と考えられます。中国子会社は特に12月決算が法的に定められていることから、仮決算を強いられることとなります。

 今まではかなりの時間的余裕があった決算が、親会社と同じ決算日に仮決算を行うために決算早期化が求められるケースも少なくないです。さらに中国子会社の春節等に決算業務を行う時期が該当する場合には現地スタッフへの理解の浸透が必要と考えられます。


②会計処理の親子間統一と内部統制評価への影響

IFRS適用に際して親会社側でグループ会計方針の見直しが行われることとなるが、それに際して子会社側でも当該会計方針に準じた処理がなされることとなります。

それに伴い、各子会社では親会社の会計方針を取り込む際に、A.決算修正仕訳で取り込むか、B.日常業務から修正するかのどちらかの方法を採用することとなります。

Aを採用した場合は、各子会社の決算財務報告プロセスに影響することとなり、Bを採用した場合には該当する業務プロセスに影響することとなります。

Bの場合で変更が必要な業務プロセスが内部統制報告制度の評価対象となっている場合には、影響が経理部門だけでなく、内部統制を評価する部門(内部監査部門等)まで影響するため、注意が必要です。


そのほかにもさまざまな影響が発生することと思われます。担当会計士との綿密な打ち合わせや海外子会社との連携が今後より肝要となってきます。




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