今日は久しぶりに読書記録です。

興味のない方はスルーしてくださいねにっこり




数年前は本と映画の感想を綴るブログを書いていたのですが
その頃からずっと大好きなブロガーさんがいます。
その方の感想を読んでから、ずっと気になっていた本を読みました。


家事も料理も大掃除もしたいけど、息子が膝で眠る時間は何も出来ない。

読書時間確保ーーー!


他にも読みたい本や見たい映画はたくさんあるんだけど
産後、最初に読むのはこれにする。










 かか  宇佐見りん 河出文庫



方言とも違う独特の喋り口調で書かれているので、最初は戸惑いました。
最後まで読めるかなと不安になりましたが
あっという間だった。
読みづらいのは最初だけで、なんだかクセになって味があって深みがあって
この作品はこの文体だからこそ良かったと、読後の今は思います。


うざくて憎くて大嫌いで大好きなかか(母)
かかはととに捨てられ、大好きなババに忘れられ、壊れてく。
壊れていくかかを見て、19歳のうーちゃんは旅に出る。


「かかを産みたい」といううーちゃんの気持ちはわりと最初の方に明かされるんですが


何を言ってるの、と思いながら読み進めていくと


痛いほどわかるんですよ。


そうか
そうだったんだね
だからかかを産んであげたいと思ったんだね。


金魚の話や体毛の話からも連想されるように
うーちゃんは別に男性になりたいわけではないんだろうけど、神秘的な女性の身体的特長や無垢な存在の赤ん坊を嫌悪している。
女性に産まれたことの悲しさみたいなものが、文章のそこかしこに滲む。



SNSに自分の居場所を求める今時なうーちゃんと
壊れゆくかかを「あいしとうよ」と言って抱き締めるうーちゃんは、まるで別人なようだけど同じ生き物で

いつしかうーちゃんに
自分を重ねて読み進めていました。



かかがババに愛されなかったことや
ととに捨てられてしまったことは
うーちゃんは何も悪くないはずだけど
うーちゃんは自分のせいだと言って、何にも頼らず神になろうとした。

もうそうするしかなかったから。


子が親に愛してもらえなかったら、そしてそれを克服できなかったら、それは子だけの不幸ではなく
子の子ははたして親をどう見るだろうか、という視点


もしかしたらババにも、しんどい生い立ちがあったのかもしれない。


どこかでそれを断ち切ることはできたはずだけど

それにはきっと、強い意志と代わりに愛してくれる人が必要だから。


でもかかは
うーちゃんの愛だけでは救われないんじゃないだろうか、と思う。



悲劇のヒロインがヒロインになれるのは、登場人物の中で1番可哀想だから。

だったら中途半端に可哀想な人じゃなく
1番可哀想な存在になりたいという心境も、なんだか理解できてしまいました。



カバーの絵の女の子が痛々しくて
読む前は抱き締めて慰めてあげたいような気がしたのに
読後に改めて見ると、簡単には触れられない神聖さを感じた。



指1本分の薄さの文庫本
息子が膝で眠っている間に少しずつ
4日ほどかけて読み終えた。

執筆当時10代の女の子が書いたデビュー作だなんて信じられない。
才能があるってこういう人のことを言うんだな。


情景描写も気持ち悪いくらい上手で
目の前に広がるイメージにも気を取られ、読み進める手を何度も止めた。


ラストは怒涛の文章の雪崩
最後の一文で、真っ暗闇に取り残される気分を味わいました。





何も言えねぇ







併録されている書き下ろしの短編『三十一日』

かかでは泣かなかったけど、こちらは泣きました。
そもそも犬系には弱いのだけど
あの短さで訴えかけてくる情報量の多さ
スゲーーー





痛くて哀しくて苦しくて、すごく良い読書時間

改めて息子を大切にしようと思いました。









以下、付箋をつけた箇所一部抜粋


「おそらく誰にもあるでしょう、つけられた傷を何度も自分でなぞることでより深く傷つけてしまい、自分ではもうどうにものがれ難い溝をつくってしまうということが」


「まだかかが優しく厳しいかかであった頃に、かみさまのまましんでほしかった。そう願いながら介護の末に親と心中をはかった人間がこの国に何人いるでしょう。」


「耐えがたい哀しみが頭蓋骨にふかい裂け目をつくり黒い穴をのぞかせる。理不尽な一瞬にあらがえるものなど本当はこの世には何一つとしてないと尚子は思った。」(三十一日)