今日は読書記録です。
数年前は、よく本を読み映画を観ていた。
あんなに集めていた本も、繰り返し観ていた映画も
いつからかやめてしまった。
そんな時間と心の余裕がなくなったのが大きな理由だけど
別にどちらも嫌いになったわけではないので、きっかけがあるまでみんな埃をかぶって待っていてくれた。
そして最近
引越しと同時に退職が決まったので、わたしには時間がある。
つわりも今はおさまり、体調も悪くない。
今がそのきっかけかもしれないと思って
久しぶりに本を読んでみることにしました
その昔 1万円選書で選んでいただいた本。
※大体1万円になるよう、店主に自分向けの本を選んでもらうサービス
これは届いた中で最初に読んだ本です。
日本を含めたあらゆる国を舞台に
たまたま知り合い、もう二度と出会うことのない人との8つの物語。
わたしは元々短編集が好きじゃなかった。
1つの物語を深く掘り下げ、どっぷり世界観にはまらせてくれる方が好きだ。
だからこうして誰かに選んでもらわなければ、きっと手に取ることはなかったであろう本。
8つの物語はほとんどすべて
その出会いについて、たまたま何かのきっかけで思い出したことのように紡がれる。
いつも意識するような大きな出来事ではなく
武勇伝として語り継ぐような伝説でもなく
ふとした時に思い出す、普段は記憶の引き出しの奥底にしまわれている出会い。
どれもその場限りの付き合いの人
だからこそ彼(もしくは彼女)の人生や価値観に影響を与えたんだと思う。
多分だけど
人は今ここに存る空気よりも、過去に吸った珍しい空気の方が印象深く、忘れられないものだから。
人生の曲がり角についての物語がありましたが
わたしの曲がり角はどこだっただろう。
一度立ち止まって次の方位を決めなければならない場所。
それはやっぱり数年前、本や映画から離れて夫と出会った時期かもしれない。
この物語の語り手は、立ち止まって寄った広場から歩き出すことになった道も
以前とあまり変わらなかったと言います。
別に立ち止まってどこかに立ち寄ったって、その後の人生を大きく変える必要はない。
その代わり多くのものを見て、奥行きを知る。
それで充分なんだと、わたしも思う。
数年前に読んだ本ですが
今は環境も心境も変わっているからかとても新鮮な気持ちで読むことができました
短編集は好きじゃないなんて言ったけど
こういうのは嫌いじゃない。
また数年後に読み返したいと思う本。
初めて読んだ当時、付箋をつけていたのは2箇所。
今読んでも同じところが好きだった。
「そういうことを考えながら、それでも読むんだよ。傷口をそっと押してみてまだ痛いと確かめるみたいにね」
「生き物は少し条件が悪い方ががんばるものなのよ」