「勝利くん?
 今日はどちらへ
 送り届けたらいいですか?」

帰りの車の中
運転席から
マネージャーが聞いてきた。

僕と健人くんの関係を
知っている数少ない人間のひとり。

僕はテレビ番宣の後、
自宅へ直帰していいっていう
マネージャーの言葉に 
甘えさせてもらった。

だから
仕事帰り事務所へ顔を出していない。



「う~んと、ちょっと待ってね?」
・・・今の時間だと
健人くんはまだきっと
事務所で打合せしてる・・はずだ。

スマホをみたけど
健人くんからのメッセージは
何も入ってなかった。

うん。
想定内。
僕と健人くんの
優先順位は【仕事】であり
【グループ】だから。

どちらかが仕事が終わったら
連絡するっていう暗黙の了解。

明日は
ふたりともお休みだから
前日から一緒にいた方が
何かと都合がいい。
そう判断して
健人くんへLINEを送る。


お疲れさま。健人くん。
僕、今、帰りの車の中。
これから
健人くんち行っててもいい?


速攻でつく既読。
自然と顔がニヤけちゃう。

ちょうどいま
打ち合わせの、なか休憩時間。
もう少しかかりそうだから
着いたら
部屋入ってて。
外で待ってちゃダメだよ?
寒くなってきたし
風邪引くと悪いからね。

相変わらずなメッセージ。
全くもう心配性なんだから。
と思いながらも
嬉しいと思ってしまう僕は
どうしようもない。



「勝利くん?」
「・・・・・。」

「勝利くん?連絡つきました?」
「・・あっ!ご、ごめんなさい。
  ぼーっとしてて・・。」

健人くんからの返信が嬉しくて
画面を見つめたままだった。

・・・今の絶対に
マネージャーにバレてる。
うぇぇ~、恥ずかしい。

気を取り直して平常心をよそおって
「今日は健人くんちでお願いします。
  それで、少し買い物したいから
  健人くんちの近くのコンビニで降ろしてよ。」
って言ったら

「買い物終わるの待ってますから
  また戻ってきて下さいね。」
と返事が返ってきた。

「大丈夫だよ。そんなに引きずるほど
  たくさん買うわけじゃないし
  コンビニから歩いて行けるから
  僕を降ろしたら帰ってい・・・。」

「ダメです!!そんな事をしたら
  私が叱られます。」

『・・・・なんなの?  もぉ~?!』

「ちゃんとマンションまで送るように
  そして
  中に入るのを見届けるように
  何度も何度も
  耳にタコが3つも4つもできるくらいに
  言われてますから!!」
全力で力説されてしまった。

「もう・・・誰がそんな事を言ってんの?
  送ったって事にしたらいいじゃん。」
なんだか申し訳なくて
段々と返事が小さくなる。

「荷物が重いとか軽いとかではなくて
  安全面です。
  もしも・・勝利くんに何かあったら・・・。
  私は、あの方に・・・?!
  あぁぁ~考えただけでも恐ろしい。」

「あのさ、僕だって男なんだよ? 
  自分の身くらい自分で守れ・・・。」

「ダメです!!」
マネージャーの勢いにおされる。

「分かったよ。じゃあ、ちょっと待っててね。」
仕方なく返事をした。

それから
車は2~3分走ったかな。
見えてきたコンビニの明かり。
ゆっくりと
駐車場に入って車を止めた。

「ちゃんと戻ってきて下さいね?」
「分かったってばっっ!!」
と言って車を降りた。





 
「・・・って事が
  今日あったんだけど・・・。」

コンビニで買った鍋の素と
前に買い置きしてあった野菜を
適当にザグ切りにして
鍋にして食べている最中に
健人くんへ話した。

「マネージャーもさ?
  心配し過ぎだよね?
  健人くんだってそう思うでしょ?」

「・・・・・。」

「全くさ、僕の事いくつだと思って・・・。」

「俺が頼んだ。」

「へっっ!?」

「俺がマネージャーに頼んだ。
  だって勝利可愛いし、さらわれちゃうもん。」

「・・ここにいたか。張本人。」

向かい合って食べていた手を止めて
健人くんが僕の隣りにきて座る。
「俺のいない所で
  勝利にもしもの事があったら・・・。
  どうしてくれるんだっっ!!」

「もしもの事なんて、そんな事・・・。」

言い終わらないうちに抱きしめられる。
『うわぁぁぁ~。どうしよう・・・・。
   メッチャ嬉しい。』

だけど素直じゃない僕は
そのままの嬉しい
っていう気持ちが伝えられない。
「っと・・てよ?・・ま・・って・・よ・・。」

「勝利?よく聞こえない。もう一度言って?」

「・・・だ・・から・・・。
  ずっとそばにいてよ・・。
  ずっと僕の事、まもってよ・・・。」


「御意。マイハニー。」

返事と一緒に
痛いくらいに
ぎゅうぎゅうに抱きしめられ
その後
優しい甘い甘いキスがおりてきた。








そして数日後・・・。
僕のお願いを完璧にこなす健人くんに
うんざりした顔の風磨くんがいた事は
健人くんには内緒にしとこう。