誰かが言った。
人生の悲劇は2つしかない。
金のある悲劇と金のない悲劇
世の中は金だ。金が悲劇を生む。
「腐ったこの国を買い叩く」
そう言って、10年ぶりに日本にやって来た鷲津政彦
彼はホライズン・ファンドの日本代表として、様々な日本企業を買収し、再建することで利益を得ようとする。
そんな鷲津のライバルが、かつての上司でもあった三葉銀行の芝野、そして、鷲津の買収によって自殺した父を持つ西野
回を重ねていくごとに、鷲津、芝野、西野、そして鷲津がアメリカに渡った原因を作った三島製作所の娘である三島由香の行動や人間的変化が描かれる。
私が好きなのは第4話
「激震 株主総会」
三葉銀行とのバルクセール、サンデートイズ再建等を成功させた鷲津政彦は、アメリカの軍需会社であるレンダント社の依頼を受けて、日本の代表的企業である大空電機の買収にかかる。
そこに立ち歯だかったのが大空電機社長塚本に再建の依頼を受けた芝野と、創業者であり、家族主義的経営を掲げ、日本的経営の代表的経営者であった大木昇三郎
大木と芝野に経営参加を拒否された鷲津は大空電機の経営権を奪うべく、株主総会でのプロキシーファイト(委任状争奪戦)に出る。
その株主総会でのこと
株主総会に出るべきはずの会長大木は病気で欠席
鷲津は言う。
「大木昇三郎は、カリスマは、もうこの舞台から去りました。皆さん、そのことを認識してください。」
会場:ざけんな!、無礼な!
「彼は高度成長期のシンボルでした。日本の誇りでした。だが、その誇りは、もう消えたんです。」
会場:いい加減にしないか…余計なこと言うな…
「誇りで飯が食えますか。誇りで、業績が上がりますか、商品が売れますか。そんな実体のないものに囚われて、古い慣習から抜けられず、組織が硬直化して赤字800億という、今日の事態を招いたのではないのでしょうか」
「しかし、それが現実です。大木会長と共に古き良き日本型企業もまた終わりを告げた。大空電機は、いや日本の企業は、生まれ変わらなくてはならないのです。」
「皆さん、今こそ、株主として新たな時代を切り開いていくべきではないのでようか」
そう発言する鷲津を芝野が止め、大木会長の手紙を、鷲津への会社側の意見表明として代読する。
株主の皆様。
病にて、大事な総会に出席できぬことを大木昇三郎一生の不覚であります。お許しください。
今、病床にあって思い出すのは、終戦直後、たった五坪のレンズ工場の前から見上げた大空の青さです。
焼跡の上に広がった大きくて青い空、あれは希望の空でした。
戦時中、私は軍需工場でレンズを磨く技術を覚えました。
戦後、戦争のためのレンズがカメラに使うようになり、小さな工場を始めました。
ファインダーを除くと、レンズの向こうに笑顔が見えました。
泥だらけの顔もあった。少し疲れた顔もあった。
でも、みんな一様にほっとした顔に見えました。
レンズの向こうに確かに感じた人々の温かな息遣い。
それが、私のものづくりの原点です。
人と人とを繋ぐものづくり。
それが私にとって、大空電機にとっての使命だと思います。
時代は変わります。
つくるものも変わります。
しかし、人と人との繋がりは変わりません。
帳簿の数字ではない。
目先の利益だけを追っていてはものはつくれない。
長い目で見て地道な努力の上に、人と人とを繋ぐものづくりという大空電機の魂が生まれるのです。
会社は生き物と仰る方がいました。
その通りです。
大空には、人と人とを繋ぐものづくりという魂が宿っています。
会社を動かしているのはこの魂です。
残念ながら、大空電機は今苦境に立っています。
その最大の原因は、カリスマなどとおだてられてきた私自身にあります。
私には大きな責任がある。
その点は、皆さまに深くお詫び申し上げなければならない。
私も、もうそんなに永くはありません。
だけど、それで良かった。
従業員が力を合わせればこの苦境は必ず……
従業員が力を合わせればこの苦境は、必ず乗り越えられます。
株主の皆さま、後3年時間を下さい。
3年で大空電機は変わる。
残念ながら私にはそれを見届ける事は難しそうです。
株主の皆様、どうか私の代わりに大空を見ていて下さい。
私が死んでも、大空電機の魂は死にません。
以上です。
芝野「たった今、大木会長は永眠されました。」
(ざわめき…)
そして、芝野は続けます。
ここに、会長が手直しされたフェニックス計画(債権計画)があります。
先ほどの、株主様のご指摘通り、大木会長の亡き後我々はどうすべきか、何がこの状況を切り開くのか、社員一人一人が創業者の気持ちになって考えてみる必要があると思っています。
株主の皆様、3年の猶予を下さい。
従業員全員で、フェニックス計画を完成させれば、大空電機は再生します。
そして、大木会長が大空電機に託した夢と希望を必ず取り戻します。
株主の皆様、どうか、どうか3年…
3年の時間を…
3年の時間を…我々に下さい。
よろしく…お願いします。
会場:頑張れよー!
株主総会は、大木の遺言とも言える芝野の発言により形勢が決まり、大空電機側の提案の可決、ホライズン側の提案の否決となった。
会社側への声援で湧く株主総会と大空電機社内
次の株式公開買付け(TOB)に向け、鷲津は株主総会を去る。
そこで、鷲津を新興IT企業の社長となった西野が待ち受ける…
続編は自分で見て下さい(^^)♪
というか、この株主総会の良さは実際に見た方が早いですw
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