スマイルサービス闘争の約1年を少しだけ振り返る | 悪徳不動産会社スマイルサービスとの闘い   blog版

スマイルサービス闘争の約1年を少しだけ振り返る

少し前ですが、インパクションという雑誌の情報欄に署名記事を書きました。

09年2月発売の167号 です。


こちらでも読めるようにしておきます。


-------------------------------

スマイルサービス闘争の約1年を少しだけ振り返る


スマイルサービス闘争を支援する会 sino


 みなさん、こんにちは。こちらはスマイルサービス闘争を支援する会です。
 私たちが取り組んでいるスマイルサービスに対する被害回復運動は08年1月頃に始まり、約1年が経ちます。簡単ですが、これまでの取り組みを振り返ってみたいと思います。
 スマイルサービスは、西新宿にある不動産会社で、主に都内に約4000戸あるワンルームマンションの入居者の募集や契約を行っています。
 この会社が扱っている物件は、保証人不要で敷金ゼロ礼金ゼロのいわゆる「ゼロゼロ物件」と呼ばれるもので、通常であれば、敷金礼金や仲介手数料を取られるのに比べ、入居時の初期費用を格段に安く設定しています。そのためか入居するのは、主にフリーターや外国人、仕事を失った人などが多いようです。このような貧困層を対象としたビジネスは「貧困ビジネス」と呼ばれ、貧しいがゆえに充分なサービスが受けられないことに付け込んで事業を展開し、貧困を固定化する要因になっていると社会的な批判を受けています。「貧困ビジネス」は他に日雇い派遣業者やサラ金業者などが挙げられます。
 そもそも最初は、メンバーがたまたまスマイルサービスとほぼ同じバジリカという管理会社の物件に居住しており、契約更新時に、家賃滞納時の違法な違約金の支払いを含んだ不当な契約条項への締結を求められ拒絶し、合意更新を拒否したことを理由に家賃増額を要求され、その家賃差額分と更新料などを請求され提訴されたのがきっかけでした。相手の要求に違法な契約条項も含むことから、これは個人の問題ではなく社会的な問題では? と感じ、他にも同じように悪徳不動産業者に困っている方とつながるためにHPを作り、ビラを作成しました。当初は困難の連続で、相手業者のHPに掲載されているいいかげんな地図から、自転車に乗って、所有物件を一件ずつ割り出し、活動を共にする仲間たちと地道にポスティングを行いました。当事者ゼロから始めましたが、ビラやHPで、業者を弾劾し被害を回復させましょうと呼びかけると、現入居者や元入居者からなんらかの反応がしっかりと返ってきて、徐々に手応えをつかみ始めました。
 このような消費者運動は、被害の実態や契約書を確認することが大切なのですが、実際に鍵交換された方から、被害状況をおうかがいし、スマイルサービスの契約書を見せられたときの衝撃は今でも忘れられません。家賃を数日滞納したことを理由に、鍵を勝手に変えられ、違約金を2万円ほども取られており、契約書には「生存確認出張料」などというふざけた言葉があったのです。
 その後5月に、あるデモでスマイルサービスについてすでに著書でその違法性を指摘していた湯浅誠さんと知り合いになり、後にスマイルサービス被害対策弁護団事務局長を務めることになる戸舘圭之弁護士をはじめとする若手法律家たちとつながったことで大きく事態は動きました。
 6月には被害相談会を、7月には電話による被害110番を行い、さらなる掘り起こしを図りました。その間もビラ撒きは続け、ビラは撒いたら撒いただけ反応がありました。当初マスメディアでは相手業者について匿名報道でしたが、徐々に実名報道されるようになり、社会的な問題としても認知されていきました。
 そんな中、7月19日には、メンバーの一人がポスティング行動中におそらく相手業者によると思われる尾行から110番通報され、警察に1時間以上も中野区内の路上で拘束されるという事件が発生しました。任意の職務質問を理由とする拘束は違法であると、その場で電話連絡の取れた戸舘弁護士と共に強く抗議し、警察からの要求をすべて拒否し、なんとか解放に至りました。ビラ撒きの危うさを感じるとともに、警察と一緒に周りを取り囲む相手業者のあくどいやり方に許せないという憤りをさらに強くしました。
 8月には相手側弁護士の要求により、これまでこまめに更新してきたHPが突如閉鎖されるといった妨害を受けながらも、その後、なんとか10月8日には原告5名による集団提訴に至りました。現在は追加提訴者4名も含めて9名の原告団になります。
 訴訟外でも違約金を返還させた被害者は20名以上に上ります。ただ、これは03年から営業を続けてきたスマイルサービスによる違約金や鍵交換、無断侵入、荷物撤去処分といった被害全体のほんの一部に過ぎず、被害を受けていても被害回復に至らない方も数多くいらっしゃいます。家賃を遅れたのは自分のせいだし、契約書に書かれているから仕方がないと被害に気付かないケースや、回復できると知っているにも関わらず自己責任だから取り戻す必要はないと納得しているケース、交渉や裁判が面倒だからと泣き寝入りを余儀なくされるケースなどなど。
 メディアに大きく取り上げられたことで、ブログなどへの反応も多々ありました。やはり大きな割合を占めたのは自己責任論による提訴批判で、家賃を払う約束を守らなかったんだから自業自得でどっちもどっち、ゼロゼロで入居しているのだからそれなりのペナルティーを受けても仕方がない、家賃が少しくらい遅れても許されるというのは入居者の甘え、といった意見などです。ブログ上で類型化して反論しましたが、相手業者の違法行為を棚に上げて被害者を非難する自己責任論の根深さにほとほと呆れながらも地道にやっていくしないと腰を据える覚悟です。
 こんな七転八倒しているなかで新たに運動に参加してくれる仲間と出会ったり、当事者で運動に参加してくれる仲間が出てきたりしたときは、やっていてよかったなと思える瞬間です。これだけが私の希望です。
 第2回審理期日は09年2月18日(水)13時20分から東京地裁631号法廷です。どうぞ傍聴をお願いいたします。裁判はまだまだ続きます。


悪徳不動産会社スマイルサービスとの闘い blog版
http://ameblo.jp/knockout-smile/
連絡先:nosmileact@gmail.com


カンパのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
ゆうちょ銀行 総合口座 記号:10040 番号:16341201
口座名義:スマイルサービス闘争を支援する会