若い頃、大学院で遺伝子工学を研究させて頂いた端くれとして
今世界中で行われているmRNAの技術には少し思う所があります。
遺伝子組換えの本や論文を読んで発表したり
生徒にPCR法を教えたりしてきました。
膨大な生物学のほんの一部を学んだだけですが
今の世の中にとても違和感があります。
とあるDNAを別の生き物のDNAに組み込むのは、私の学生時代の頃にはすでに普通に行われていた技術です。
P1実験室やP2実験室と呼ばれる場所で
外に遺伝子組換えした生物が出て行かないように設計されている部屋で行っていました。
私は主に酵母菌を扱う実験をしていたので
それに関する書物を読んでいましたが
遺伝子組換えを狙って酵母菌を変化させようとしても性質が変わるのは数%しか変わりません。
そして用途が終わったら実験室に残す分以外は加熱して処分していました。
別のDNAをうまく入れる事ができても、性質が変わるまでに至らなかった個体もある可能性があるからです。
肉眼では見えない小さな生物ですら遺伝子組換えが起こった可能性があるなら実験室の外へ出しては行けないのです。
天然の物と交わって
次の世代ではどんな変化をするか
全く何も起こらないのか
私たち人間には分かりません。
何か恐ろしい事が起きている
遺伝子工学を学んできた経験から
そんな感覚があります。
高校で生徒に生物学を教えてきたのは
自分の身を守るための知識を伝える為だったのかもしれません。
けれど私の力不足で仕組みや、カルタヘナ条約、遺伝子工学の倫理観などを、きちんと全員に伝えて来れなかったかもしれません。
一方的に伝えるのではなく
相手から理論を引き出す授業
答えを言わずに
答えへ導く授業
そういった教員として当たり前の姿勢が欠けていました。
もし今患っている難病や交通事故の後遺症が落ち着いてきて、
どこかの学校でまた教壇に立てる日が来たら
もっと生徒の中から引き出す授業をしたいですね。

