もう一ついってみよ~ | イタリアよもやま話

もう一ついってみよ~

もう一つ。ちょっといい気持ちのネタじゃないですけれど。

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会社員、大工、警察管(カラビニエーレ) 3人の死刑宣告者達に、
いよいよ死刑執行の日がやってきた。

一人目の会社員が廊下を通って死刑執行の部屋に通された。
執行人が厳かに会社員に向かって尋ねた。

「お前は自分の死刑執行の方法を次の三つの中から選ぶことができる。
一つは絞首刑、一つは電気椅子、そしてもう一つが銃殺刑。」

会社員は少し考えた末、電気椅子を選んだ。
電気椅子に座り、執行人がレバーに手をかけた。
「では、死刑執行!」
ガチャン!レバーがひかれた。

「・・・・・ん?」
会社員は、まだ生きている自分に気がついた。
どうやら電気椅子は壊れているらしい。

「なんて運のいい奴だ。しかも一度執行された死刑は2度と
行なわれない。助かったみたいだな、改心して新しい人生を
歩むことだ。」
と会社員に執行人は言い渡し、電気椅子から解放した。

その帰りの廊下で、会社員は入れ代わり死刑に向かう大工
すれ違いさま、大工に小声で
「電気椅子は壊れてるぜ・・・。」とささやいた。

大工は死刑の部屋に通され、会社員同様に執行方法の選択を訊かれた。
「お前は絞首刑、電気椅子、銃殺刑のどれを選ぶか...」
大工はさっきの会社員の言葉を思い浮かべ、迷わず、
「電気椅子で!」
と答え、大工は電気椅子に座らされ、執行人の手がレバーにかかる。

「死刑執行!」
ガチャン!
なにもおこらない。
「・・・・・・。(助かった!)」 ほっとした面持ちの大工。

やはり会社員の言った通り、電気椅子は壊れていたのだ。
大工も会社員同様、一度かぎりの死刑執行というきまりによって、
その命をとりとめることが出来た。

大工は帰り際、廊下で三人目のカラビニエーレとすれ違った。
例によって大工はカラビニエーレに
「電気椅子が壊れてるぜ!」
とささやいた。


カラビニエーレは死刑執行の部屋に通されると、
厳かな死刑執行人の声がした。

「お前は自分の死刑執行の方法を次の三つの中から選ぶことができる。
一つは絞首刑、一つは電気椅子、そしてもう一つが銃殺刑。
どれを選ぶ?」

カラビニエーレは考えた。
(う~ん、絞首刑はぶざまだし、
あの大工が、電気椅子は壊れてると言ってたから・・・)

「では、銃殺刑で!!!」