聖子さんの弱点について語ってしまう禁断のこのシリーズも、今回で最後です。

また好き勝手語らせていただきますが、先に謝っておきます。

聖子ちゃん、そして聖子ファンの皆様、ごめんなさい～

・自作曲がイマイチに感じてしまう

今まで聖子さんの弱点を色々挙げて来ましたが、ある意味これが一番屈辱的な内容かもしれません

でもこれは仕方が無い事なんです。

私、中森明菜さんの事を「最強の刺客」と書きましたが、実は今回の刺客はさらにその上をいきます。

明菜さんの場合、わかりやすいからいいんです。

二人を比較して、対照的な個性だとか、ライバルだとか、そういうのは。

でも今回の刺客は、無意識のうちに比較している、っていうのがやっかいな所

知らず知らずのうちに比較して、「あ～、あれと比べちゃうとイマイチだな・・・」って感じている。

今回、聖子さんの弱点を突いて来る刺客は、そう、「聖子プロジェクト」

あの素晴らしい80年代、松田聖子というこの上ない素晴らしい素材を絶妙に彩った「聖子プロジェクト」提供曲の数々、あの宝石たちと聖子さんの自作曲が比べられてしまうわけです。

日本一のプロデューサーの指揮のもと、名だたるミュージシャンと日本一の作詞家がコンビを組んで作品を提供する。

メンバーが凄いというだけではないです。

単にメンバーが凄いだけでは、良い選手をかき集めても必ずしも結果につながらない事は、スポーツで考えるとよくわかりますよね。

しかし、この相手は隙がありません。

どうすれば、「松田聖子」という素晴らしい素材が持っている味を、上手く引き出せるのか。

日本一のプロデューサーも日本一の作詞家も、それがわかっている。

松田聖子の事を知り尽くしているんです。

聖子さんご本人よりも、です。

こんなの勝ち目はありません。

しかしながら、あの素晴らしい80年代を謳歌した聖子さんにとって、その後の創作活動において聖子プロジェクトと比較されてしまう事は、これはもう宿命みたいなものです。

自分自身がそこを断ち切ったとしても、周りは意識的にも無意識のうちにもあの当時の作品と比較する。

そもそも聖子さん、言うまでもなく「歌うことのプロ」であって「曲作り」のプロではありませんでした。

そしてその天賦の才は、やっぱり「歌うこと」にあるでしょう。

それまで曲作りという分野では素人同然だった聖子さんが、史上最強のプロジェクト・チームを相手に素手で戦いを挑んだ、90年代以降の松田聖子のセルフ活動は、そんな風に捉える事もできると思います。

もちろんご本人はそんな風に捉え方はしていないですよね、純粋に自分の力で良い音楽を生み出して、それを歌っていきたい、っていう事だと思います。

では、そういった色眼鏡を外して、純粋に聖子さんが生み出してきた曲の数々、作品としてどう評価されるのが順当なんでしょう？

これは人によって見解が分かれる所だと思いますが。

聖子さんが最初に行った創作活動は、1983年発売『ユートピア』での『小さなラブソング』の作詞から。

この曲の詞は、正直素人が作った感が強くて、でもそれがとても良いと思います

映画『野菊の墓』での民さんの演技と同じです（笑）、拙いからこそ良いのです

＊柴田学ディスコティックIIさん、ありがとうございます。

あ～、し・あ・わ・せ・・・

『ユートピア』というアルバムのコンセプトにピッタリの曲に仕上がってますね、たまらんですわ（笑）

でも「拙いからこそ良い」という評価が許されるのは最初のうちだけ。

90年代以降、自作曲を次々と発表していく中で、聖子さんの作詞に対する厳しい評価というのは常にあったような気がします。

例えば語彙の少なさですね。

「輝く」、「素敵」、「明日」、「未来」、「永遠」みたいな同じような言葉が良く出てくるとか。

作詞をするには、若い頃からある程度の読書をしている事がベースになると思いますが、聖子さんはそういうタイプでは無いと思いますし、そういう時間も確保できなかったでしょう。

しかも相手はあの松本隆さんですよ！

「春色の汽車」に「映画色の街」ですから

こんなフレーズ、他の有名作詞家さんだってそうそう出てくるものではない（笑）

でも聖子さんは、この日本一の作詞家さんと比較されてしまうんです。

そりゃ勝てるわけないでしょ

＊松本隆さんのトリビュート・アルバム、7.14発売です！

松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム特設サイト | 日本コロムビア松本隆50周年を彩る、新たな風街へようこそ　松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム『風街に連れてって！』2021/7/14発売

columbia.jp

でもねえ・・・、最近特に思うんですよ。

聖子さんに救われてるな、って。

会社の昼休み、食堂のTVでワイドショーが流れてるんです。

あれ見ると凄く嫌な気持ちになるんですよね。

文句と批判のオンパレードで。

もちろん文句や批判を一切言っちゃいけない、っていう事ではないですよ。

でもそればっかり聞いていると、気持ちがうんざりしてしまいます。

攻撃しやすい対象を見つけては、みんなで一斉に叩く

聖子さんも長い間、そういう対象にされてきたじゃないですか。

日本で一番イジメられてきた芸能人と言っても間違いないと思います。

なのに何ですか、この清らかさは

散々酷い目に遭ってきたのに、どうしてこんな事言えるの

♪“ありがとう”って言わせて　笑顔でいられること♪

＊松田聖子オフィシャルYouTubeチャンネルさん、ありがとうございます。

心が洗われます・・・

さっきのワイドショーの話じゃないけど、そうやって疲れた心の処方箋は、やっぱり松田聖子なんですよ

ああ、また聖子さんに救ってもらいました😊

創作活動において、そりゃ松本隆さんみたいにはいかないでしょうよ。

あるいはそのイジメられてきた体験を歌に投影すれば、深みのある表現ができるかもしれない。

でも松田聖子はそうじゃないんです。

そこが聖子さんの長所じゃないですか

もちろん作品の評価と人物像は別の話ですし、これはファンじゃない方には全く通用しない理屈です（笑）

そして私はやっぱり80年代の曲たちが一番好きです

でも松田聖子が歌うからこそいい、っていう部分、確かにあるんです。

さっき語彙の少なさの例として挙げた言葉たち、この『風に向かう一輪の花』には見事に全部入ってます

その言葉たちが、聖子さんが歌うと「真実」になる。

作詞上のテクニックではないのです。

心からそう思い、そう生きているから

そして聖子さんの名誉の為に言っておきますと、聖子さんの自作曲、素晴らしいものたくさんありますから

その辺り手つかずの方は、ぜひ聴いていただきたいですね。

例えば2007年発売のアルバム『Baby‛s breath』。

これは聖子さん自身が全曲の作詞・作曲を手掛けた（それまでは小倉良さんとの共作が多かったので）初の完全セルフ・プロデュースアルバムです。

大人な聖子さんの魅力が一杯詰まっていて、とっても素敵なアルバムなんです。

歌詞もとても良いですよ。

代表曲は、やっぱりコレ

名曲中の名曲ですね。

『涙がただこぼれるだけ』

＊聖子命さん、ありがとうございます。

なんていい曲・・・

ダメだ、今日は泣いてばっかりです（笑）

では、作曲の方は？

80年代に聖子さんが作曲した曲、聴いてみましょう。

＊GREEN TEAさん、ありがとうございます。

何これ？

いい曲ばっかりじゃないですか～

『Canary』『とんがり屋根の花屋さん』『薔薇とピストル』『時間旅行』『シェルブールは霧雨』。

レベル高過ぎです

実際、聖子さんが曲作りをするにあたって、例えば大村雅朗さんのサポートがあったりした可能性は高いと思いますが、それでも基本的には聖子さん自身が生み出したメロディだと思って間違いないでしょう。

当時「愛に口づけ」で『Canary』を作曲してる時の様子とか、話してくれていましたね。

という事で、曲作りの才能は間違いなくあると思います。

ただアルバム1枚をまるまる自作曲で、となると、これは聖子さんに限らず多くのシンガーソングライターでも、全曲名曲で揃える、というのは至難の業。

聖子さんの90年代以降のアルバム、名曲たくさんありますが、それでも全曲が名曲ってわけではないと思います。

80年代聖子アルバムみたいに全てが名曲、って奇跡的な事だし、それを可能にしていたのがまさしく「聖子プロジェクト」というシステムでした。

そうやって作詞・作曲両面から考えても改めて、これは勝ち目のない戦いなんです

でもその勝ち目のない戦いに挑み続けた聖子さん。

そしてついに、一つの大きな結果を出します。

そう、『あなたに逢いたくて～Missing You～』。

この曲の生歌、やっぱり発売当時のものが一番凄いですね、これは最高です

＊聖子命さん、ありがとうございます。

素晴らしい～！！！

「松田聖子のシングルで一番売れた曲は？」

そう、この曲です

もちろんCDバブルの時代等、諸条件は違うにせよ、聖子さんの自作曲が聖子プロジェクトの名曲達をセールスで上回った、ここに値千金の価値があるんです

聖子さん、心からおめでとうございます

あ、ごめんなさい、また泣いてしまいました（笑）

という事で、これまでたくさんの聖子さんの弱点をあげつらってきました。

まだまだありますよ、ダンスが苦手とか、（アイドル時代は）英語が苦手とか。

こうやって見ると、聖子さん、弱点多いですね

そこでもう一度言いたい。

声を大にして言いたい

弱点が多い事こそ、松田聖子の最大の長所である

と。

そもそも何故弱点が多いか、っていう話です。

それこそが、松田聖子が松田聖子である所以。

それは、チャレンジし続けたから

だってそうでしょう

楽器が苦手？

別にアイドル歌手が楽器を弾く必要は無いでしょう。

でもコンサート等でチャレンジしたから、そう思われるんじゃないですか？

演技が苦手？

だったら映画とかドラマにでなけりゃいいんです。

私は演技ができないからやりません、って

自作曲がイマイチ？

だったら曲作りなんてしなければいいんです。

私はあくまで歌に専念します、って

英語が苦手？

だったら英語の曲を歌わなければいいんです。

全米進出なんてリスキーな事、しなけりゃ良かった

＊聖子命さん、ありがとうございます。

でも彼女はやったんです！

チャレンジしたのです！！

松田聖子は弱点が多いわけでは決してありません。

ただ、こうやって色々と弱点を挙げられるのは、チャレンジし続けたから。

もしチャレンジをしなければ、弱点を知られる事も無かったでしょう。

それはつまり、戦略としては間違っていたのかもしれない。

でもね、そうやってチャレンジし続けたからこそ、今の聖子さんがあるんだと思うのです。

あのまま永遠に聖子プロジェクトを続けていたどうなっていたでしょう？

英語を習得して全米に出ていかなかったら？

もしかしたら「あの人は、今」みたいな番組で取り上げられるような存在になっていたかもしれませんよ。

だからもっと大きな視点で言えば、聖子さんがやってきた事、結果的に大成功だったと私は思うのです

＊LULLABY 80'sさん、ありがとうございます。

こんなにも深みのある歌唱を、しかも英語で・・・

常に変化し続けるからこそ、松田聖子。

チャレンジし続けるからこそ、松田聖子。

チャレンジの過程では、色んな弱点が見える事もあるでしょう。

でも恐れず突き進んでいくのが松田聖子。

時には批判される、バッシングされる、でもそんな中でも『風に向かう一輪の花』でいられるのが松田聖子。

“ありがとう”って言えるのが松田聖子。

『挑戦して行こう！』

＊konimomoさん、ありがとうございます。

もう信じられないぐらいのストレートな曲（笑）

正直、歌詞の出来としてはイマイチだと思います。

でもそれを信じられないぐらいに、そのまま実践しているのが聖子さん。

この信じられない程のストレートさがあるからこそ、聖子さんは歌手になれたのです。

お父さんがあれだけ反対しても、どんなに時間がかかっても、歌手になったのです。

常に変化し続けるのが松田聖子。

でも根本の所は、終始一貫、何も変わっていないのが松田聖子。

これもある意味、

「松田聖子という奇跡」

なんだと思います。

私はそんな明日に向かって素敵に輝く聖子さんが、未来永劫、永遠に大好きです😊

松田聖子の弱点③