インフルエンザが猛威を奮っていますが、
ボクの周りは何故か一人も罹患者が居ません。
今朝も朝から野球の練習でしたが、
話題にすらなりませんでした。

どうやらボクの属性は
「馬鹿科」のようです。
残念なコトです。
30年以上も生きて来たのに。

それにしても思うのですが、
昔ってこんなに
マスクしてましたか?

先日、満員電車にブチ当たりまして、
キュウキュウな車内で、
ふと読んでいた文庫から顔を上げると、
ボクの周り360°全部マスクマン。
しかも、満員で体ずらせないポジションの中、
全員ボクに正対する奇跡のポジショニング。

変なプレイしてる気分になりました。
ちょっとした視姦プレイです。

それにしても、
最近はマスクしてる人を
年柄年中見かけますね。

予防や他人に対するエチケットとして
マスクは当然必要なのは理解出来ますが、
馬鹿なりの見解を述べさせて頂くとすれば、

風邪引かないカラダつくる努力してますか?

なんだか大人の男のマスク姿って
ホント、情けないですね。

とまあ、
戦中派みたいな小言言ってみたボクの体温は
まもなく38度になろうとしてますが。

そんな訳で、
ひ弱な自分に対する戒めの意味を込め、
ビデオライブラリーから
久しぶりに取り出した一本が
「復活の日」(80)です。

SARSの脅威が世界中を震撼させて以来、
鳥インフルエンザや狂牛病など、
様々な媒体で未知の病原体を
テーマにした作品が発表されています。
「アウトブレイク」や、「28日後」
近年では「感染列島」など。
まあ、
題材にしやすいテーマなのかもしれません。
「復活の日」も同様のテーマです。
ちなみに海外版タイトルは「Virus」

最近はCGなどの映画技術の進歩で、
映像化不可能。という謳い文句も
霞んだモノになってしまいましたが、
小松左京の筆で40年以上も前に、
この原作が世に発表された当時、
間違い無く「復活の日」は
映像化不可能の代名詞でした。

細菌の恐怖や核戦争という部分を
全面的に押し出していますが、
その先にある「人間とは」という
非常に哲学的なテーマを描いた作品
であるコトも、映像化を困難にした
一因なのかもしれません。

65年に東宝が映像化断念した後、
その権利を20世紀フォックスに譲渡。
類似原作を基に
「アンドロメダ…」
なる映像も製作されましたが、
日本映画界がその世界観を映像化するまでには
80年の公開まで待つコトとなります。

角川春樹の登場はそうした意味でも、
日本映画界にとって
必然だったのかもしれません。
評価は賛否両論ありますが、
海外に眼を向ければ、
ハワード・ヒューズもいましたし、
どの世界でも、
古い業界の因習に捉われない人間の登場は、
時代の要請であるといえます。
少なくとも、この作品を映像化した
功績は大きいでしょう。

日本、カナダの合同撮影クルーにより
南極ロケ敢行!
カナダ、チリ海軍の全面協力!
日米オールスターキャスト集結!
監督、深作欣二!撮影、木村大作!
でもって、金出したのハルキ⁉

と来たら、まあ、食いつきますよね。
当時、小松左京の作品とは最も縁遠い母が、
小さなボクの手を引いて勢い込んで
映画館に連れて行ってくれたのを
よく覚えてます。

当然、映画は大ヒット!
角川文庫版もそこそこ売れて、
ハルキ万々歳‼

と行きたいところですが、
「長期の撮影期間による製作費の増大」
「共同クルーによる撮影進行の難しさ」
おまけに、南極で座礁事故起こしたりで、
まあ、踏んだり蹴ったりです。
少し前でしたか、木村大作がインタビューで
撮影時のエピソードを語っていましたが、
まあ、糞味噌言ってましたね。
深作欣二もこの作品については、
踏み込んだコメント避けてましたし。
挙句、ハルキが広告費に湯水のように
金を使ったもんだから、
結局、赤字です。
まあ、この作品に関わらず、その後も

ハルキ御乱心→コスト増大
→→なんとかヒットして回収。
でもやっぱり赤字。

という懲りないスパイラルを
繰り返すワケですが、
それでも、薬師丸ひろ子の発掘や
日本映画の可能性を模索した点では、
奥山和由よりは評価されていいでしょう。
何と言っても、角川映画には
「華」がありました。

改めて「復活の日」観ましたが、
オリビア・ハッセーはそんなに
登場シーン多く無いんですね。
記憶とは曖昧なもので、
もう少し
出演シーン多かったと思ったんですが。。。
刷り込みとしての
「あのオリビア・ハッセーが‼」
という広告戦略に
見事に嵌められたいい例です。

そういえば、ジョージ・ケネディも
なんか、やたら日本映画出てたなぁ…
って印象あったんですが、実は
この作品と「人間の証明」だけなんですね?
まあ、「大地震」とか「エアポート'75」とか、
やたらパニック映画出てたんで、
映画の中でパニック発生すると、
無条件に誰でもジョージ・ケネディに
脳内変換されていたのかもしれません。
思い込みは怖いわね、のいい例です。

まあ、オリビア・ハッセー以外にも、この映画、
豪華オールスターキャスト‼
と銘打つだけあって、
ふんだんに役者の
「無駄遣い」してます。

夏八木勲や渡瀬恒彦は
ストーリーに絡んできますが、
千葉真一は濃厚な
「サニーイングリッシュ」を
披露した以外見せ場も無く、
緒方拳は演技より、
顔色の悪さが目立ち過ぎるし、
永島敏行や森田健作なんて、
何故か画面内にいるハルキと
そんなに立ち位置大差ないような…?
小林稔侍にいたっては、
「あ!稔侍⁉」って、
今回初めて気付く始末で。。。

鼻に付くようなロバート・ヴォーン
に対する接待演出と比較すると、
あまりに不憫でなりません。

まあ、チャック・コナーやグレン・フォード、
E.J.オルモスといった
キャスティングだけみても、
かなり製作サイドの好みみたいなモノが
色濃く反映されているのかもしれませんが…。

そんな中で草刈正雄は主人公・吉住を
演じきりました。

近年は「ケータイ刑事」シリーズなどで
コミカルな中年を演じたり、
隠れた迷作
「0093 女王陛下の草刈正雄」
でその演技の幅の広さを発揮していますが、

数十年前、日本では
「かっこいい、美男子」
イコール→「草刈正雄」
の時代がありました。

現在の世の中、その特濃フェイスは
必ずしも受け入れられるかどうか、
疑問符がつきますが、

少なくとも当時はそうでした。
勝手に断言しますが。

今現在でもボクの中の
「世界の三大かっこいい男」
のチャートでは、

草刈正雄
チョン・ウソン
ヘルムート・バーガー

の三人は350週連続チャートインです。

娘が彼氏を家に連れて来る際に、
「彼、草刈正雄にそっくりなの」
なんてのたまった日にゃ、
父さん、軽く、雄としての敗北感。
母さん、赤飯炊いて大喜び。

華のキャンパスライフでは、
「今度リョーコに私の彼紹介するね」
「ねえ、サチコの彼って誰似~?」
「ええ~とねぇ…草刈正雄ソックリ」
「ええ~ッ‼サチコ凄いぃ~‼
(テメェ、ブッ殺すぞッ‼)」

そんな時代です。
って、どんな時代だよ。

まあ、キムタクみたい、山Pみたい、
亀梨クンみたい、出川哲朗みたい、
といった日本人の造形の進化に伴う
美男子に対する価値観の多様性の変化
といったモノに関係しているかもしれませんが、

当時のコマ不足のカッコイイ男界では
草刈正雄は間違いなく正横綱でした。

木村大作の壮大なカメラワークに
草刈正雄は画面負けすること無く、
映画の終盤、渾身の演技を魅せます。

草刈正雄を映画で観る度に思うのは
日本映画界はもう少し上手くやってあげれば、
「ミフネ」とまでは届かなくとも、
国際的スターというステージを
彼に用意出来たんじゃないか?
といつも思ってしまうのです。
演技力といった役者としての素養に
物足りなさを指摘する評論家もいますが、
三船敏郎も最初はそうでした。
どうもその辺が日本映画に足りないような気がします。
松田優作や渡辺謙、北野武といった
海外組が居ますが、
邦画界での地道な活動の末、
国際的な評価を受けた途端に
日本映画の手柄にしてしまうような…

本人達は、
何を今更。
な感じではないでしょうか。

そういった意味で、
ボクの中の草刈正雄は
「早過ぎた男」なのです。

そんな早漏気味な草刈正雄を
おおに盛り上げてくれるなのが、
ジャニス・イアンが歌うテーマ曲
「You are love」
です。
角川映画の代名詞として、
その主題歌が挙げられますが、
ジャニス・イアンが歌うこの曲も
邦画史に残る名スコアですね。
彼女は「ダーティハリー4」にも
楽曲を提供していますが、
これも名曲です。

映画のオープニング、南極の壮大な
全景とこの曲が流れると、
子供の頃観た時のゾクゾクした感触が
再び蘇ります。
30年も前にオールロケで
この映画を撮ったコトを考えると、
今の時代こそ、
もう少し、過小評価気味なこの作品を
再評価しても良いのではないでしょうか。

すでに38度を突破した
ボンヤリした頭で
画面の中の草刈正雄を
眺めながら
ボクは思うのでした。。。













iPhoneからの投稿
「将来の夢」が
「やり残したコト」
に姿を変える境界線は
漠然とではあるが、
確かに存在する。

先日、付き合いの長い友人と
子供の頃の夢の話になった。
ボクの夢はプロ野球選手か登山家で、
巻けるものならIWGPのベルトを巻い
G馬場と戦うというもので、
彼のほうはというと、
宇宙飛行士になって、金髪の白人娘と
スイスで結婚するというものだった。
どちらの夢も30代の今となっては、
「やり残したコト」以前に
挑戦すらしてない
「門前払いクン」なのだが、
幾つになっても夢の前に
居座りを決め込んでしまう。

そんな心残りの穴埋めなのか知らないが、
ボクは今だにグラウンドで球遊びに興じ、
彼は自称スペイン人のコロンビア娘相手に
女遊びに興じた挙句、
その美しい金髪がパチモンと気付く頃、
見事に150万円持ち逃げされたりするのである。
28歳の春。
スイスから遠く離れた沼津での話だ。

今更ながらの挫折感の蒸し返しで、
ビールが来る前から、
お互いドンヨリしてしまったので、
少しハードルを下げて、
子供の頃から気になってるコトや
分からないままのコトについての
話になった。
それでも、わからないコトの筆頭に
「女ゴコロ」
と口を揃えて言ってしまうあたり、
もう、死ねよオヤジの心境で、
お互いになんとも
クサクサしてくるのだが、
もうひとつ、共通して気になる
「アノ映画」の話になった。

現在、30代後半から40代半ばぐらいの人なら、
幼少期にテレビで観たという人も
多いのではないだろうか?
ボクの記憶ではテレビ東京が
ヘビーローテーションで放送していたと
記憶しているのだが、
なんだか午後の中途半端な時間や
深夜帯だったりして、
その全貌があまり世に語られるコトは無く、
いつしか放送されるコトも無くなり、
記憶の片隅に追いやられてしまった
アノ映画。

そう。いつしか、

「アメーバ出てるやつで、え~と?
最後ボーリング場の『アレ』」

で片付けられてしまう
「アレ」である。

この映画とボクの因縁は深い。
よりによってこんな映画がかよ、
である。

あれは小学生になる前だったと
記憶しているので、5歳くらいだったか?
当時母親は自宅のそばで
小料理屋を切り盛りしていて、
たまに遊びに行っては厨房とかで
遊んだりしていた。
要するにつまみ食いできたワケだ。
で、ある日、深夜にまたがりそうな作業があり、
母親とスタッフ、そして、私は
二階の居間に泊まるコトとなった。
皆が寝静まった深夜、
目が覚めてしまった私は、
密かに在処を知っていた杏仁豆腐を
つまみ食いする為に厨房に向かったのだ。
真っ暗な厨房で明かりの場所がわからず、
苦し紛れに触れた14インチTVの
スイッチを入れた瞬間、
ボクとコイツの長い因縁が始まるは、
杏仁豆腐の盗み食い程度で、
スパイを気取っているボクちゃんには
この時点では知る由も無い。

暗闇の奥で煌々と光るブラウン管に
映し出される異空間に、
ボクは魂を吸い取られていた。
恐怖のあまりその場から動けないボク
を、
厨房の裏戸口の小窓から零れる
陽の光が暖かく照らし出す頃、
ブラウン管の中の砂嵐の奥に、
杏仁豆腐を手にして憔悴しきった
少年が居た。

人生最初の徹夜。
人生最初の映画。

地方都市の場末の特殊浴場で、
どさくさ紛れに母親ほども
歳の離れたおばさんに
童貞を奪われてしまったような、
取り返しのつかない喪失感。
そう、いくらその後に、
小津の映画論やゴダールの映画哲学について
キャバ嬢に薀蓄タレたところで、
ボクがシネマバージンを奪われたのは、
間違いなく、
「アノしょーも無い映画」
なのは動かしがたい事実なのだ。
「砂の器」の加藤剛の気持ちが
ボクには痛い程よくわかる。

その後、
そのおばさんの源氏名もわからず、
心の片隅に引っかかるモノを抱えたまま、
何年もの月日が経った。
ただ、コトある度に映画好きな人間や、
こういう「しょーも無い」モノに
強い同世代の変人に尋ねるてみると、
意外に多くの人間が、
「ああ~、アレね」
と食い付いたのである。
それでもやはり皆の記憶は曖昧で、

「苺ジャムみたいなアメーバが増殖して、
散髪屋でワァー!下水道でワァー!
でボーリング場でキャー‼」

な具合で詳細を記憶する者は
誰一人居なかったのだ。

その後、ハタチを過ぎた辺りで
この映画が若き日の
スティーブ・マックィーン主演の
「マックィーンの絶対の危機
/人喰いアメーバの恐怖」(58)
の続編であるコトと、
「ブロブ」として88年にリメイクが
公開されたコトまでは掴み、
かつて、「悪魔のモンスター」の邦題で
VHSが発売されていたコトまでは
確認出来たのだが、
それでも結局再会出来ずに、
ボクの心の隅に引っかかったまま、
「アイツ」との腐れ縁は
30年近い年月を迎えようとしていた。

ところが事態は急変する。
突然のDVD化。勿論、国内初。
オリジナル劇場予告編付き!
でもって、税込1500円⁉ って安ッ‼
脈絡の無い突然の発売告知と低価格、
見知らぬ発売元と、観る前から
一抹の不安は抱いたが、
ボクは
「アレ」との決着を付けるべく、
そいつをカートに押し込んだのだった…。


彼女はお婆さんになっていた。

長い年月の間に、憧憬と感傷によって、
松坂慶子にまで肥大化した妄想の彼方の、
あの筆下ろしをしてくれたおばさんは、
すっかり別人としてボクの前に現れた。
間違いなくボクの前にいるのは

樹木希林だった。

せめて、木の実ナナだったら良かったのに。
虚脱感漂うボクに一言も言わず、
アリアリなオチと
イタ過ぎるラストショットと共に、
彼女は遠くに行ってしまった。

ボクにとってのトラウマ映画。
「人喰いアメーバの恐怖 2」

ある田舎町の配管工が作業場から掘り出した、
「要冷凍保存」と表示された金属ケース。
それは、かつて全米を恐怖に陥れた
人喰いアメーバ「ブロブ」の標本だった。
ケースから赤いゼリー状となって
這い出したブロブは、
周囲の生き物を次々と吸収し、
成長を続けていく…。
(DVD解説より)

オープニングから赤字で
「SON OF BLOB」
悲鳴混じりの間抜けなBGMをバックに、
野原で戯れる、可愛い子猫。
もう、この時点でお里が知れるのだが、
唯一の収穫は、「ロッキー」シリーズの
トレーナー、ミッキーでお馴染みの
バージェス・メレディスが僅かながら、
ホームレス役で出演しているコトだった。
正直、映画としての完成度は稚拙で、
メインキャストとサブキャストとの間の温度差が
画を通して痛い程伝わる。
こうなると、どんなに金が掛かっていようと、
作品としての仕上がりは良く無い。
ましてや、その金すら無いとなると、
もうA級とは無縁の完全無欠のB、C級。
映画の中のノンキャリア組として、
その記憶に刻まれる。

ただ、期待を胸に席に着いたものの、
結果的にB級映画を掴まされた後の
なんとも言えない生温い気分には
不思議とならなかった。
ただ、長い年月の間に肥大化した幻影が、
取るに足りない作品だった。
ただ、それだけのコトだ。
決着をつけずに、子供の頃、
深夜の厨房の片隅で観た、
「あのスゴい映画」
のままでも良かったのかもしれない。
敢えて「わからないでおく」コトも
大人になったら大事なコト
なのかもしれない、
なんとなく、思った。


「もう一度観て観たいなあ」
ボクの目の前の友人は、
二杯目のビールを注文しながら、
そう呟いた。
遠くを見つめる瞳の奥に、
取るに足りない映画の一コマ以外の
何かを見つけたボクは、
喉元まで出かけた
「アノ映画」
のタイトルを無理矢理ビールで押し込んだ。
そして、
「いつか観れるさ」
と下手糞な相槌を打ったのだった。
photo:01







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