…
僕は彼女に礼を言われることなんか、何一つしていない。むしろ傷つけているのに、彼女に礼を言われる始末で……
男同士で話すと、まだ15だったから、セックスをやりたがる奴ばかりで、やるチャンスがあれば離さないような勢いだった。僕はまだ、その興味に至ってはいなかったけれど、そんなものだと思っていた。
でも違うんだ。セックスをするには覚悟がいる。彼女の存在を全て受けとめる覚悟か、相手を傷つけてでも何かを埋めたいという覚悟が。
そして、資格がいる。片一方の気持ちに報いる資格が。
僕はどちらもなかった。ベッドの中で、彼女に僕が与えてしまった寂しさを、バッグ ブランド 一覧
埋めることも詫びることも出来なかった。それ以前に、彼女の孤独の埋め方すら真剣に考えられていなかったんだ。
僕はこれ以上、彼女を傷つけることが許せなかった。もっと早くそうすればよかったのに、次の日に別れを告げて……
こんな僕に体を捧げてしまった彼女の優しさに、今までどれだけ甘えていたんだろう……最後の最後にそれに気付いて……
彼女に平手打ちされても、涙をこらえることを覚えていたから、僕はその時、彼女にただ酷薄な表情を向けるしかなかった。
僕はあの時、何も彼女に償えなかった。
「あ……あ……あ……」
僕の手は、ミズキの胸元でバスローブを掴んだまま止まっている。
ミズキの大人っぽい顔が、間接照明で照らされて、僕の顔を見上げている。
「……」
硬直する僕に、ミズキは両手を開いて体を無防備にする。
その姿、表情が、聖母マリアのように見えた。胸が痛くなるような感覚。
気がつくと僕の体は抱き寄せられ……唇が熱いもので塞がれた。温めた蜂蜜みたいに甘くとろける舌が入り込む……
でも、僕はもうそれに応えなかった。僕は抱き寄せていた手を解く。ミズキの両耳の脇に手を突き、四つんばいの形になる。
「どう――したの?」
ミズキも僕の変化に気付いたようだった。僕を不安な表情で見上げる。
「――同じだ。あの時と」
「え?」
「――あの時、あの娘も立ち止まる僕を抱き締めてくれて……ありがとう、と、愛してる、を繰り返して……僕は……僕は……」
声が震えだす。でもやっぱり僕の目から涙は出なかった。
ミズキの顔をこれ以上見ていられなくなって、僕は後ろを向き、キタムラ バッグ
ベッドにあぐらをかいてしまった。
ミズキが体を起こす音。
「……私、何かまずいことしたかな」
「……」
この言葉を言ったら、ミズキはなんて言うだろう。僕をあの娘のように罵るのだろうか。
今日のはじめ、僕には毒を飲む覚悟がいると思っていた。それがこんな土壇場――もはや手遅れとも言える時に、決意が固まるなんて。
――言わなくちゃ。
「やめよう,Kate Spade。こんなこと、間違っているんだ」
「……」
部屋の時間が凍った。
「……どうして?」
ミズキは聞く。
「……」
言葉がまとまらない。ここまで来ても僕は、ミズキを傷つけないようにと考えている。
でも……こんなのじゃ駄目だ。こんなこと続けたら……
「僕は、これ以上は君に傷を残すことしかできないんだ。セレブ バッグ
これ以上君を傷つけるなんて、僕には出来ない」
Pathetic
説明が抽象的だ。だけど、具体的にしようにも、主観の導きだした答えだから、それは出来そうにない。
沈黙は背中越しにミズキの存在を感じさせる。鳴るような静寂だけど、その空間は息づいている。
「僕は……」
沈黙を破る。
「君が言うような奴じゃない。はじめから自分の苦しさを埋めるために、君を利用しようとしていたんだ。君のことなんて、何も考えてやしなかったんだ」
