またまただいぶあいてしまいました
前回に続き40番の名盤についての思いを書きたいと思います。
この曲は日本人に特に愛されているような気がします。第1楽章
冒頭のメロディーは、クラシック好きでなくても、多くの人が
知っています。(CMの音楽にも使用されることがある)
また数少ない短調の曲である点でも有名です。他に交響曲25番、
ピアノ協奏曲20番、弦楽五重奏曲第4番があります。特に弦楽五
重奏曲第4番ト短調は、文芸評論家の小林秀雄が「疾走する悲し
み」と表現したことでも知られています。
私もこれまでいろんな演奏を楽しんできました。あらためて振り
返ると、実演で聴いたことはおそらく一度もなく、もっぱらレコ
ードやCDで楽しんできました。
御多分に漏れず、私もワルター=コロンビアが最初に感動した
演奏でした。その暖かさ、豊かさはこの上ないものに感じまし
た。その後、これと正反対の厳しい表現を示したカザルス=
マールボロ音楽祭管の演奏にも強い衝撃を受けました。
その他にはもちろんベーム=ベルリンとかクーベリック=バイエ
ルン放送響など、いわゆる正攻法の演奏にも心惹かれましたが、
現在入れ込んでいるのは…
シャーンドル=ヴェーグ指揮のモーツァルテウム・カメラー
タ・アカデミカ、ザルツブルクのCD(セッション録音、19
94年)です。
この演奏の何に心惹かれたかというと、第1楽章のあの有名
な第1主題、ではなくその伴奏としてヴィオラが奏でる、
「さざなみ」のような旋律です。これがかなり自己主張をし
て、この部分だけでクレッシェンド、デクレッシェンドがあ
り、切ない思いを吐露している感じがしたのです。もちろん、
ここはあくまで伴奏であり、第1主題を引き立たせるために
自己主張しないのがセオリーなのかもしれません。でも、
それだけにこの表現は異様で、なおかつ心が揺り動かされる
ものだったのです。
この表現、かなり以前に聴いた記憶があります。意外な指揮
者でした。ショルティ?カラヤン?どうも確認できません。
現時点でまちがいないのは、このヴェーグ盤だけです。これ
は彼の指示なのか?
それを確認したいと思っていたら、ヴェーグがウィーンフィ
ルを振った40番のCDをネットで見つけました。(1992年、
ライブ)そこでこれを購入して聴いてみると…
セッション録音盤ほどではありませんでしたが、やはり例の
「さざなみ」表現が聴けました!やはりこの表現はヴェーグ
の指示によるものだった可能性が高いと判断されます。
気になる方はぜひ聴いてみてください。
