『約束』という言葉で子どもを縛っていませんか?
大人は子どもとの会話で「約束」という言葉を使いがちです。でも、それは本当に“約束”なのでしょうか?
もしかすると「命令」を「約束」に置き換えただけではありませんか?
1. 命令と約束、その違い
- 命令(指示・お願い)は「やってほしい行動」を大人側が一方的に要求するもの。
- 約束は「AをしてくれたらBをしてあげる」という、双方の合意に基づく契約関係です。
たとえば「家に帰ったらすぐ宿題をするって約束でしょ!」は、実際には大人の命令を「約束」と言い換えただけ。
子どもにとっては「自分で決めた覚えのない約束」を盾に叱られ、納得できないままモヤモヤを抱えてしまいます。
2. 大人社会における約束の事例
大人の世界では、ほとんどすべての行動に対価をともなう約束があります。
- 就業契約:決まった時間働けば、月給や時給を受け取る
- プロジェクト納品:レポートや成果物を期日までに提出すれば報酬が支払われる
- 成果給・インセンティブ:売上目標を達成すればボーナスが支給される
- フリーランス契約:納品物の仕様が満たされれば報酬が支払われる
- 会員サービス:継続利用に応じてポイントや特典が付与される
- SLA(サービスレベル契約):提供する品質を下回れば返金や割引が適用される
これらはすべて「行動」と「対価」が明確に結びついており、どちらも合意しているからこそ成立します。
3. 子どもに対価なしで行動を期待する難しさ
大人同士でも、依頼には対価が必要です。
子どもに無条件で「大人の望む行動」を求めるのは、本来不可能に近いことだと理解しましょう。
- 子どもは語彙や論理が未熟なため、反論や交渉が苦手。
- 対価なしの「約束」は、子どもの主体性を奪い、行動へのモチベーションを削いでしまいます。
4. 対価の本質と、宿題をする意味
子どもを「お菓子で釣る」「お金で釣る」こともありますが、対価はそれだけではありません。
宿題をする対価は以下のように連鎖します。
1.学力が上がる
↓
2.周囲の役に立つ力が身につく
↓
3.将来、仕事で成果を出せる
↓
4.収入(お金)を得られる
つまり「お金のために勉強する」という本質を、子どもにもわかりやすく示すことが重要です。
5. 対価を明示して“本当の約束”に
命令を約束と言い換えるのではなく、以下のようにしてあげましょう。
- 「宿題を終えたら、一緒にゲームを30分しよう」
- 「漢字テストで90点以上取れたら、好きな図書を一冊選んでいいよ」
- 「毎日30分読書したら、週末に映画を見に行こう」
これらの約束は「行動」と「報酬」がセットになっており、子どもも納得して取り組めます。
6. 親が果たすべき役割
- 対価の選定:子どもにとって魅力的かつ学びにつながるものを考える
- 具体的な約束:何をいつまでに、どのようにやったら何がもらえるかを明確に伝える
- フォローアップ:約束を守れたかを確かめ、報酬をきちんと与える
このプロセスを通じて、子どもは「約束=信頼の絆」であることを学び、自らの主体性も育まれます。
まとめ
命令を「約束」という言葉に置き換えるのは、子どもの理解や納得を阻む手法です。
大人社会の契約と同じように、必ず「対価」を用意し、行動と報酬を明確に結びつけることで、本来の意味での約束を交わしましょう。
子どもと真剣に向き合い、対価と約束を丁寧に紡ぎ出すことで、信頼関係と主体性が育つ育児を実現できます。