付き纏うもの物 物心付いたときから、私はあるものに付き纏われている。私は彼をよく知らない。しかし、彼からは逃れられないことを直感している。車の中にいても、家にいても、風呂に入っていても、女性といても、森にいても、彼は私から片時も離れずにいる。それに慣れると、人は何も見えなくなる。実はそれこそが生の喜びの根幹であり、生の哀しみの根幹なのだ。我が親愛なるジキル氏へ