初めて指導をさせて頂くバンドにお伺いする際に気をつけられること3選
今現在Nexus Brass BandとRiverside British Brassで指揮者を務めて6年目を迎えました。
その間にも日本中子供から大人まで様々なバンドで指揮をさせていただきました。
中にはバンドメンバーの9割は初めてお会いするというバンドも多く大変素晴らしい機会ばかりでした。人との交流というのは素晴らしいものです。
そんな中常任ではなく客演として指揮を振らせて頂く際に自分自身が気をつけていること3選です。6年前の自分に書いてみます。
もくじ
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形態
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音価、音量、表現記号
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どんな演奏にしたいか(それぞれの個性が活きるように)
1、形態
ハの字め
Cory band
創団したてのバンドから数十年の歴史を持つバンドまで様々な金管バンドが日本にありますが、まず最初にお伺いした際にバンドの確認をするのは「形態」つまりフォーメーションです。
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座席の位置
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Flg&Tenor Hornの配置
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扇型
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コの字
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指揮者に向かってFront rowを内側に巻き込むように設置しているか
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何が適切か迷っているか
などバンドによってそれぞれです。
Flg&Tenor Hornの位置を見ただけて参考にしているバンドの傾向がうっすら見えたり、交響的だったり色々なジャンルに対応できるよう扇型にしてみたり、賛美歌や救世軍曲に特化させるためコの字やフロントを舞い込むように配置してみたりとそれぞれのバンドの主張を感じます
コの字め
救世軍
またどちらかわからない時は直接お伺いし迷われているようだったらスタンダードなコの字と扇型の間ぐらいを勧めるようにしています。
ハの字め
Nexus Brass Band
しかし、一点だけ気をつけなくてはいけないのは座席の配置です。
リハーサルの時点から奏者同士の間隔、とりわけ各セクション毎にまとまりのある座席配置が必要です。それにはいくつかの理由があります。
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セクション毎のサウンドがまとまりやすくなる
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奏者同士の演奏上や意見の共有などのコミュニケーションが取りやすくなる
この2点があります。サウンドは距離が近くなりますので音程や音色、ヴィブラートのかけ具合などがお互いに意識しやすくなります。
実は2つ目のコミュニケーションがとても大切な部分になっており、
・ブレスの位置の確認
・演奏スタイルの確認
・各セクションのプリンシパルにアンサンブルを付けやすくなる
・細部をアドバイスし合い、ある一曲を吹く上でお互いの認識を統一
など単純に距離が近いだけで利点が盛りだくさんです。
全員が団員では無いことも多いでしょうから自然と椅子と椅子の距離が広がりやすいですし、トラの方にアドバイスをするなんてとお思いでしょうが必要です。必ずコミュニケーションを取って演奏を行わないと人数が少ないアンサンブルゆえ大変ばらけやすくなります。
なのでまず初め、音を出して頂く前に座席配置や形態を注視します。
2、音価&音量&表現記号
続いて音を出していきます。
Hymn Tuneがあればそれを、無かったり短い時間で様々な成果を出さなくてはいけない時は吹奏楽で慣れ親しんでいるTuning Bbを4拍など決められた拍数伸ばしていただきます。
Hymn Tuneもシンプルだったり簡単なものが良いです。
そして全員での
・音価
・音量
・表現記号(Articulation)
の統一を図ります。
例えば賛美歌であろうとロングトーンであろうと決めらた拍数=音符の長さというのものがあります。その長さ具合、演奏の仕方を統一します。
そして音量
大体の賛美歌がmf, mp, pの三種類の音量とcresc. dimの増大&減少をさせる記号のみ書いてあります。これをしっかり吹き分け強弱の感覚を身につけます。
さらに表現記号=Articulation、つまりスタイルの統一です。
賛美歌やロングトーン1つとっても
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出だしの演奏の仕方
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終わりの演奏の仕方
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フレーズ感&ビート感
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音色
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ヴィブラートのかけ方
など書ききれないぐらい表現のしようがあります。
これら3点をこのバンドのウォーミングアップの時点で演奏法の統一を行いその後の他の曲の練習に活かします。
例
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バンド・ウォーミングアップを行う
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行進曲のリハを開始
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音価が間違っている、短い or 長い
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先ほどのウォーミングアップで行なった例を元にアドバイス