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うな。職人さんにちゃんと要望伝えてしっかり作ってもらうように一言説教しておかないとな。服と同じ感覚で満足されたら職人さんがかわいそうだ。服って言うのは普段着で、オークがわざわざ巴と澪の為に織ってくれている物。あれはあれで凄く大変だと思うけど、ドワーフが作るのは防具。命を守る為の、攻撃を防ぐ物で別物なんだって。

「いえ、物自体はそれなり、でしょうな」

 それなり。長老さんが見てそれなり。かなりのレアモノか。nike ウエア

「……」

 識が黙っている。珍しいな。素材とか武具も好きな癖に。あの杖だって凄く喜んでいたし。

「澪様にも話を聞かせて頂き、素材と着物を調べた結果ですが。適応力の高いタイプの魔物が運良く強大に育っただけのケースだと言う意見が大勢でした。しかしごく初期に風属性の精霊を、しかも恐らくは中位精霊を食らって取り込んでおります。元々荒野には風属性の精霊は極僅かしか存在しませんし中位精霊ともなると儂も見た事がありません。元々の魔物の実力を考えると、例え弱っていても精霊を捕食したり取り込んだり出来るとは考えられず、あくまでも個人的な意見ですが作為を感じました」

「作為? 誰かが意図的にやったと?」

 何処かで精霊を捕まえてきて進化に近いような適応をする魔物に食わせて成長させた? 物騒な話だな。

「澪様が遭遇した場所は荒野の外、ツィーゲから伸びる街道の一つだったそうです。つまり荒野を分ける山脈を越えた事になります」

「って事は。澪が遭遇したから人的被害は少なかったって事ですか?」

「そうなります。森鬼が近辺を探る範囲では魔族などの目立った動きもなく、原因がわからぬままで少々不安を覚えましてな」

「確かに。足元で何かされているかもしれないなんて気持ちの良いものじゃないですね。わかりました、すぐに――」

 調べます。と続けようとした時に。

 識が静かに手を上げた。

「識様?」

「どうしたの、識?」

「……わ、私です」

「何が?」

「その、魔物の実験、私が致しました!」

『……え?』

 僕と長老の声が重なった。

「若様と出会う前になりますが。森鬼の体に入り込んでいる時に色々とした実験の内の一つです。風の中位精霊を何体か捕らえまして、その弱らせた上で抵抗できない状態にして、ある魔物に捕食させた事があります」

「……」ナイキ サンダル

「精霊を取り込む事で、既存の精霊に至るかそれに近い変化をするのではないかと思ってやったのですが。精々が武器の鎌の威力を高める程度しか出来ない失敗作になりまして……。興味が無くなったので捨てました」

 捨てましたって、識。お前なんて危ない事するんだよ。

「何と、識様がおやりになったのですか。ああ、原因がわかって胸の痞えが取れました。これで澪様の防具改良に憂いもなく取り掛かれます」

「申し訳ない、長老」

「良いのですよ。素材もどこぞの冒険者の武器に使いましたがベレンの修行にもなりましたでな。澪様も再度同じ事が無いか一応気を揉んでらっしゃったようですから、ご安心頂けますし」

「!? まさか澪殿に」

「……ああ、お教えすると識様がお叱りを受けるやも。若様、如何しましょうか」

 長老は識を案じて僕に判断を仰ぐ。

「……識」

「は、はい」

「……まあ、怒られろ。着物をぼろぼろにしちゃったのは事実だし」

「っ!? あぁ……」

 うっかり識さん。まさかのポジションだけど。

 まだ戻れる、と思うから頑張れよ識。

 この世の終わりみたいな顔をしている識を尻目に、僕と長老は二人で頷き合った。
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