た男達は中々の体格をしているし、顔立ちもそれなりに整っているのだが、美女と並べばどうひいき目に見ても、『女王様とオマケ一同』にしか見えない。
「分かっている。さて、婿殿。恐らく婿殿は、何故今自分がこの様なところにいるのか、何も分かっておらぬであろう? 一連の状況について、私に説明と弁明をさせてもらえぬだろうか?」
「え? あ、は、はい」
善治郎は、言葉の意味を理解したというより、美女の迫力ある笑みに押されるようにして首を縦に振った。
善治郎の素直な答えに、美女は笑みを深める。
「よかった。では、婿殿。この様な薄暗い場所で長話も何であろう。場所を変えたいので、ついてきて戴きたい」
美女はそう言うと、大きく波打った赤い髪を翻し、歩き出す。
「その乗り物はこちらでお預かりします」
「あ、う、うん。お願いします」
何がなにやら分からぬまま、自転車を降りた善治郎は、半ば無意識のうちに、自転車のスタンドをたて、ズボンのポケットから取りだした鍵を掛けると、入り口でこちらを振り返る美女の背中を、早足で追いかけていった。
プロローグ2【いきなり、結婚の申し込み】
壁も床も石作りの長い廊下を通り、善治郎が案内されたのは、明るい日差しの差し込む、広い部屋だった。大きな革張りのソファーが二つ、長い石作りのテーブルをはさむ形で、向かい合わせに設置されている。
善治郎は美女に勧められるまま、そのソファーに腰を下ろす。
善治郎が座ったのを確認した後、善治郎の正面に座った美女はおもむろに口を開く。
「まずは自己紹介から入ろうか。私は、アウラ?カープァという。貴方にはアウラと呼んでもらいたい」
「あ、はい、アウラさんですか。俺、いや、私は、山井?善治郎といいます。山井が名字で、善治郎が名前です」
「ふむ。では、ゼンジロウ殿とお呼びしてもよろしいか?」
「はい」
首肯する善治郎を見て、美女――アウラは、嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、ゼンジロウ殿。では、これから私が、ゼンジロウ殿になにをやったのか。一連の行いを簡単にご説明させていただく。おそらく、ゼンジロウ殿にとっては腹に据えかねる暴挙に聞こえるであろうが、現状は決して取り返しの付かない状況ではない。
ゼンジロウ殿の意にそぐわぬというのであれば、全てを元通りに戻すこと、これだけは私の名誉にかけてお約束する。だから、まずは、黙って私の話に耳を貸してもらえぬだろうか?」
打って変わって真剣な面持ちで、随分と物騒な前置きをするアウラに、少し嫌な予感を覚えた善治郎であったが、少し考えた後、結局は首を縦に振った。
どのみち、善治郎は今自分がどのような状況に置かれているのかも全く理解できていないのだ。アウラの言うとおり、怒りをあらわにするにもまずは、状況を理解しないことには、怒りのぶつけようもない。
取引先にクレームをつけるのは、まず相手側の言い分を全て聞いた後だ。
「分かりました。では、お話を聞かせてください」
善治郎に答えに、ホッと安堵の息をついたアウラは、一度大きく息を吸うと、話し始める。
「まずは、最初にここがどこであるかから、説明させていただく。ここは、ランドリオン大陸西方に位置する、カープァ王国。その王都カープァの中心に存在する王宮の一室だ。恐らくこれらの名は、ゼンジロウ殿にとって全く聞き覚えのないものであろう。
それも当然。ここは、ゼンジロウ殿が生まれ育った世界とは、界を別とする世界。言うならば『異世界』なのだ」
「い、いせ、かい……?」
まだ状況が理解できず、首を傾げる善治郎を尻目に、アウラはとうとうと説明を続けた。