ウ殿の魔力量は明らかに、準王家クラスだ。
私の召喚魔法に反応したということは、ゼンジロウ殿が『カープァ王家』の血筋であることは間違いなく、その魔力量から判断するに血の濃さも相当なモノであると推測される。こう言うのを嬉しい誤算、と言うのだろうな。
まるで、そちらの世界に渡った人間が、意図的に近親婚を繰り返して血筋を保っていたかのようだ」
アウラのその言葉に、善治郎はふとある事実に思いたる。
「あ、そうか! そう考えれば、つじつまは合う、のか?」
「ゼンジロウ殿? なにか、思い当たることがあるのだろうか?」
小首を傾げて問いかけるアウラに、善治郎は少し考えながら答える。
「あ。はい。実は私の実家は、かなり歴史のある閉鎖的な農村なんです。昔から、外からの嫁入り、婿入りは一世代に一人か二人といった具合の」
そんな閉鎖的で代わり映えのしない田舎に嫌気がさした善治郎は、関東圏の大学に進学し、そのまま就職を決めて、都会での生活をスタートさせたのだ。
言われてみれば、少し前に死んだ両親をはじめ、あの村の人間には、日本人にしてはやけに肌の色が濃く、髪の色が赤みがかっている人間が多かった気がする。
善治郎の言葉に、アウラは口元に手を当て、得心がいった言わんばかりに頷く。
「なるほど、その村の閉鎖性が結果として、異世界に流れた王家の血の拡散を押しとどめたと言うことか」
「はい、そう考えれば、つじつまは合いますね」
(マジ? 実は俺、純粋な日本人じゃなくて、大半は異世界人? 聞いたことねえぞ、そんな話!?)
そう、つじつまはあう。あってしまう。善治郎は表面上は引きつった笑みを浮かべながら、内心では頭を抱えたくなるくらいのパニックに襲われていた。プロローグ4【あまりにうますぎる話】
思わぬご先祖様の秘密を知り、顔を引きつらせる善治郎に、アウラはニコニコとさも嬉しそうに笑いながら、詰め寄る。
「やはり、ゼンジロウ殿こそ、私の求める伴侶ということであるな。どうだろうか、ゼンジロウ殿。急な話で混乱しているだろうが、私と婚姻を結び、この世界で生きるという選択肢を、真剣に考えてはもらえないだろうか?」
一転、真面目な表情でそう切り出してくるアウラに、善治郎は少し冷静になった頭で考える。
目の前の美女と結婚をする。それ自体は、決して悪い話ではない。先にも行ったとおり、アウラの外見は、善治郎のストライクゾーンど真ん中だし、こうして話をしている感じでは、その人間性も悪くなさそうだ。
もっとも、女王などという腹芸を求められる職をこなしているのだから、これまでの態度だけでその人間性を推し量るのは危険だが。
だが、それ以上に問題なのは、これはアウラの嫁入りではなく、善治郎の婿入りの要請であるということだ。
この提案に首を縦に振った瞬間、善治郎は地球とおさらばすることになる。いかに目の前の美女が好みのタイプだとは言っても、仕事や友人、地球でしか楽しめない娯楽や食文化といった全てのモノと引き替えに出来るかというと、流石にそこまでは踏ん切りが付かない。
まだ、頭の片隅で「これは夢じゃないのか?」と思っている善治郎の働かない脳みそでも、即答は出来かねる問題だ。
そこまで考えたところで、善治郎はふと一番大事な問題に触れていないことに気がついた。
「あ、あの。そもそも私はこうして、もうこの世界に来てしまっているのですが、もし、もしですよ。あくまで仮定の話ですけど、アウラさんとの結婚を拒んだら……どうなるのでしょうか?」
恐る恐る、尋ねてくる善治郎に、アウラは安心させるように努めて笑顔で答えた。
「その場合は無論