マッティとは去年の冬、福島県いわき市の地元から西へ車を走らせ2〜3時間位したところにある磐梯山の山頂付近で出会った。
雪山を登って滑ろうと尾根を歩いていたら、反対側の尾根から二人のスノーボーダーが登ってきていた。
その尾根どうしがちょうど重なるところでマッティと出会ったのだ。
話していたら一緒に滑って落とすことになり、磐梯山の気持ちのいいラインを共に味わった。
それから日本を一緒に10日間ほどサーフボードと雪板、スノーボードを持って旅して周ったのだ。
そんなご縁からマッティと連絡を取り合っていたら、今度はそれをフィンランドでやろうというお誘いを受けた。
それで今、僕はフィンランドにいる。
ちなみに地元いわき市からマッティの家までは36時間ほどかかった。
フィンランドの今の印象はとりあえず真っ平らな国だということだ。
マッティの家に来てからは、毎日のようにパウダースノーで雪板三昧だった。
雪板とは板の上にただ乗ってやるサーフィンを山でやるようなものだ。
雪板はすごく楽しい。
飛べそうなところがあったら飛んだり、ツリーランをしたり、それに腕に自信があれば結構なラインも落とせる。
オレは正直、マッティと遊んでて雪板の遊び方を教わった。
マッティは元プロスノーボーダーというだけあって、雪板がすごくうまい。
それに雪板を愛してやまない。
マッティの影響もあって、そんな雪板にオレもハマった。
すごく楽しい。
初めはマッティの家のあるsyo"te近辺の山から、雪のいい夜に滑りに行った。
その場所に寝袋と食糧等をもって、それにマッティの犬エスカベルナも一緒に一晩キャンプをしに行ったこともあった。
森の中にいると、心がゆっくりと落ち着く。
あの静けさ、澄んだ空気の感覚、火の暖かさ。
全部が神聖に感じる。
それに雪化粧だったから余計にそう感じたのだろう。
そんな夜に雪板で、ライトを照らし地形とパウダーで遊びまくった。
滑り終えた後に紅茶と一緒に食べた、マッティが焚き火で作ったチョコレートバナナは本当にうまかった。
それから数日経ってから、2人でロードトリップに行くことになった。
10日間位フィンランドからノルウェーまであるラプランドと呼ばれる地域まで、スノーボードと雪板をもって旅をした。
2019年3月20日
まずはじめに訪れたのはマッティの乗っている、ILAHUというブランドの雪板シェイパーのヤンの家に行った。
ヤンはセーリングボートなどを作る職人でもある。
最近は雪板を作るのに情熱を持っている。
一緒に紅茶とクッキーを食べながら雪板のことやサーフィンのことを話しした。
ヤンの板はフィンランド産の材料で成り立っていて、それにボトム素材にリサイクルペーパーでできたものを使用していたりと、自然の環境のことをすごく考えられて作られている。
それにシェイプがすごくかっこいい。
ヤンの家を出発してからは、旅に出るようの食糧を購入し、そこから何時間も北に走らせたところにあるレヴィという町まで行った。
そこのスキー場近辺のキャラバンパークにある、マッティ友達のキャラバンに泊まった。
ちなみにマッティの友達は留守だったので、オレとマッティで二人でそこに宿をとった。
到着したのは夜の12時近かった。
二人でビールを飲みちょっとした後、就寝。
夜も遅かったせいか、2人で次の日の朝は遅起きした。
2019年3月21日
昼頃に近くの山に登って雪板のツリーランをした。
頂上まで30分位の小さな山だ。
そこにあった、谷でジャンプしたりして遊んだりもした。
雪板ではちょっとした地形が、スノーボードをしている時より大きく見えるし難しくなる。
ただ、足がバインディングで繋がってない分、自由を感じすごくクセになる。
僕は今まで、雪板経験はそこまでなので、たくさんたくさんコケまくった。
多分ライディングの8割はコケているだろう。
それでもむちゃくちゃ楽しい。
とりあえず2時間位遊んだのちキャラバンに戻ってゆっくりとくつろぎ、夕飯をたべ早めに就寝。
外はたくさんの雪が降っていた。
よ来る日、早起きして山頂で日の出をみた。
朝日が澄みきったオレンジ色の光で照らし美しかった。
それにすがすがしく気持ちよかった。
2019年3月22日
前の日に降ったフワフワの新雪で、二人でスノーサーフィンしまくった。
オレら以外には一人のスキーヤーをちょこっとみかけただけで後はずっと無人の山だった。
地形がいろいろとあって最高だった。
それからまたキャラバンに戻って、後はお昼を食べながらゆっくりと過ごした。
そして同日、僕達はさらに北に向かって車を走らせた。
冬の終わりということもあり、気温の低い方へパウダースノーを求め北上して行った。
道の途中でマッティの友達のサーミ人がやっているお土産屋さんにも立ち寄った。
サーミ人とはフィンランドからノルウェーにかけての先住民の人達だ。
店のオーナーの女性の名はサンナさんで、顔が若干日本に似ていた。
サンナさんも同じことを言っていて、日本人とサーミは何か繋がりがあるんじゃないかとのことだ。
ちなみにそのお土産屋さんにはサーミ文化で使っていたものなど面白いものがたくさん売っていた。
僕は旅の記念に木でできたサーミのティーカップを購入。
サンナはコップに手書きの名前も焼き入れしてくれた。
その後更に北上。
夜も更けてきて、寝る場所を探していた。
外は吹雪いていた。
夜中までずっと車を走らせた後に、途中の湖のほとりにある車の駐車場を見つた。
キルピスヤラビという町の近辺だ。
そこにテントを張ることにした。
吹雪だったので、テントを張るときテントがバサバサ舞って張るのが大変だった。
それに地面がカチカチに凍りついていたのでペグが刺さらなかった。
代わりに車にテントロープで固定して、反対側は駐車場の前に除雪された山に固く大きく氷状になった雪を運んでそれを重しにし、テントロープを結びつけ今夜の宿を作った。
飯を食った後に冬用の寝袋に包まれ横になった。
温くくて寝袋が気持ちよかった。
夜中に風がバサバサテントを揺らしていたのを覚えている。
それでも疲れていたせいか、心地よく眠れた。
2019年3月23日
朝起きたら風も雪もおさまっていて、テントから出たらあたりの景色に魅了された。
雪化粧をした大きな岩山に白く遠くまで凍っている湖。
他に駐車場でキャンプしていた人達がその凍った湖の上でスノーモービルをしていた。
少しゆっくりした後に僕達ははまた更に北へ向かってとりあえず車を走らせた。
結局途中どこかで滑ろうと2人で考えていたが、その日はそんなムードでもなかったのでノルウェーまで行くことにした。
そうこう走っていたらノルウェーの国境。
国境にはただ、信号機が青に点灯していただけですんなりノルウェー入り。
ただ、ノルウェーに入った途端に景色は大きく変わっていった。
山がどんどん大きくなり、スケールの大きさに心を奪われた。
そして今回の旅での初めての海を見た。
山沿いの道をずっと走っていたし、フィンランドの内陸にいたこともあり海を見た途端どこかで心が緩む感覚が自分の中にあった。
それに、海からいきなり急な山が飛び出るような景色は素晴らしかった。
その日は海と川が重なる河口にテントを張ってゆっくり過ごした。
天気は快晴で地面の雪もシャバシャバになっていて、春の訪れを感じた。
川のほとりには氷河が打ち上がっていた。
1人で散歩していた時にしばらく大きくゆらゆら流れる川を眺めぼーっとしていた。
気が抜けた時間が止ったかのような感じだった。
マッティはハンモックを木にはってゆらゆらとくつろいでいた。
その後2人で目の前の川で行水。
冷たい水に浸かると、身体も心も引き締まる。
それにフィンランドの文化では、凍るような冷たい水に入る。
健康にいいらしく僕がそれを初めてやった時は、肌が痛いくらいに寒かったがやっていくうちに身も心も慣れて、心地よくなりクセになる。
それに気分も良くなる。
夜にはパスタを作って食べた。
寒いところでの暖かい食べ物は心があったまる。
それに大自然を目の前にして食べるとまた一段とうまい。
2019年3月24日
夜遅くには雪がチラついていた。
朝起きて辺りの景色を見ながら軽い朝食をとって、散歩に出た。
潮が引いていたので川を渡って氷河がたくさん集まっているところにも行けた。
氷河によっては、すごく綺麗な透き通った青いものもあり宝石のような美しさに魅了された。
僕達は10時頃にキャンプ地を出発して、Lyngenという地域に行った。
マッティの友達の羊飼いのおじさんの家を訪れた。
行った時はおじさんは留守だったので、そのおじさんの家の前にある山を登って滑ることになり準備していた。
その途中おじさんは帰ってきて、マッティはおじさんと久々の再会の挨拶。
2人とも久々の再会が嬉しそうだった。
2人はマッティが友達とそこの近辺を旅していた時に偶然出会い、それからマッティとその友達はおじさんの羊飼いの仕事を手伝いながらそこに住まわせてもらったことのある仲とのことだ。
僕達も山を滑った後に、おじさんの家に泊めてもらえることになった。
ちなみにおじさんの名前はトリスティン。
おじさん1人と約100頭の羊で家に住んでいる。
とりあえず僕とマッティは山をハイクして登った。
気温が徐々に上がってきていて、雪はパウダーではなかったので雪板ではなくスノーボードを持っていった。
途中で飛べそうなところがあり、キッカーを作って遊ぶことにした。
マッティは僕にバックフリップをやれと言ってきて、冗談半分でやると返事したら本当にバックフリップをチャレンジすることになった。
マッティはやり方を僕に見せてくれて教えてくれた。
マッティはちょいとそれを当たり前のようにやっていた。
ちなみに僕はバックフリップは今までメイクしたことはない。
以前に一度チャレンジしてみて、失敗しケガをしたことがあり、それからは自分のやることではないと自分に言い聞かせていた。
でも、興味はあった 。
怖かったが、ここぞとばかりにやってみた。
1本目は回転が足りず肩から落下。
でも、自分の思っていたよりどことなくできる気がした。
それから2本、3本と失敗していったが、おしかった。
それにやっていくうちに徐々にコツがわかっていった。
6本目のこれで最後の一本という時にほぼメイクしたが転んでしまい失敗。
マッティはオレにあと一本やってみ。
と泣け押しの7本目。
マッティもオレに教えてくれてるし、しっかり飛ぼうと思いキッカーをジャンプ。
そしたらいつの間にか回って、いつの間にか人生初バックフリップをメイクすることができた。
オレはストークしていた。
教えていたマッティもストークしていた。
できないことができるようになるって大きな喜びを感じる。
それにマッティに素直に教えてもらえたことに感謝した。
それから僕達は更に山を上に登って、その山のツリーランを落とした。
久々のスノーボードはスピード感があり楽しかった。
それにスノーボードに対して雪は良かった。
夜にはトリスティンろマッティとでピザとビールでパーティーをした。
トリスティンがピザをご馳走してくれたのだが、食いきれないくらい作ってくれたのでお腹はパンパンだった。
山も滑って、夜もみんなで笑って最高の1日だった。
2019年3月25日〜27日
トリステインの家に数日間世話になった。
毎日どこかしらの山を滑っていた。
パウダーの日は雪板。
夜にトリステインのスノーモービルで山の上まで引っ張ってもらい、スノーボードをした日もあった。
それにトリステインの羊の餌やりの手伝いも、世話になっていたぶん毎日のようにしていた。
羊はかわいい。
それに餌がくると、これでもかってくらいに勢いよく餌の方に群がってくる。
また、こんなに食べるんだって思ったくらい干し草をひたすら与えた。
トリステインが重機で干し草の束を干し草を細かく砕く機械に入れてから、その機械をトリステインが機械で持ち上げる。
機械が砕いた干し草を僕とマッティが羊のところへネコ車を使って運ぶ。
ひたすらそれを1〜2時間位する。
ちょっとした力仕事だ。
僕はそんなリズムのある日々が好きだったし、楽しかった。
ノルウェーのおもしろいおじさんとフィンランド人の友達マッティ、それに僕。
トリステインは英語が話せないからいつもほぼ何を言っているかわからないけど、目と感覚で話していてそれがなんか大雑把で良かった。
トリステインが僕達にパンケーキを作ってくれたのでそれをみんな食べてパンケーキパーティーもした。
また毎日のようにペプシマックスを飲むトリステイン。
一緒に過ごしていて最高におもしろかった。
それに優しい。
とりあえず覚えたノルウェー語は、「メレピッツァ」。
「ピザもっとどうぞ」だ。
2019年3月28日
僕とマッティはトリステインの家を出た。
パウダーが雨が降ってなくなったからだ。
朝からトリステインの家でゆっくりしたのち、荷物を詰めて出発。
前の日の夜にみんなでビールを片手にパーティーをしトリステインとのお別れ会もした。
僕とマッティは車を南に走らせてリクスグランセンを目指した。
リクスグランセンはノルウェーとスウェーデンのちょうど国境のスウェーデン側にあるスキー場だ。
その時の予報だとそこに雪が降る予報だったからだ。
Lyngenを昼すぎごろ出発して、リクスグランセンに到着したのは夜の19時位だった。
そのまま僕達はそこに一泊して、次の日リクスグランセンのスキー場を雪板で遊んだ。
パウダーはあったものの人が多くて、人が滑った後がボコボコしてて雪板をするのが難しかった。
しばらく滑った後スキー場の裏に入って人が滑ってないところで遊んだ後、僕達は滑るのをやめてマッティの家に帰ることにした。
帰りしなの途中マッティと道の脇にあったラインを滑ろうと登ったが、雪がよくなかったから途中で引き返し滑って降りてきた。
僕達はもうその日は滑らなくてもいいって素直に思う位満足していた。
それに帰りの車で景色がフィンランドに行くにつれて平坦になって行き、それを見ていて心がどこかしらホッとしている自分がいた。
いい帰り道だった。
夜中まで走らせた車の中でいろんな話しをしていた。
マッティと旅をして、初めから終わりまでそれ全部がラインを滑っているんだと僕は感じた。
やっぱり上手くなりたいって気持ちもあったりするが、それだけではなく楽しいっていうのってすごく大事だって思っていた。
それにマッティと一緒に旅をしたことによって、お互いに何か学びあった気もする。
人とお互いをわかりあうこと。
好きなことへの情熱でお互いを認め合うこと。
一つの旅が大きな一本のラインだった。
